呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:288

3次治療以降の進行NSCLCへのdurvalumab単剤療法(ATLANTIC)/日本肺癌学会

 2レジメン以上の化学療法後に進行した非小細胞肺がん(NSCLC)患者への治療選択肢は少なく、予後は不良である。ATLANTIC試験は、プラチナベース化学療法を含む2レジメン以上の化学療法治療歴のある局所進行・転移性NSCLC患者(Stage IIIB~IV)を対象とした、抗PD-L1抗体durvalumabの第II相非盲検単群試験。第58回日本肺癌学会学術集会において、宮城県立がんセンターの前門戸 任氏が結果について発表した。

呼吸器感染症の抗菌薬投与、プロカルシトニンガイドで生存率は?

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年2月、急性呼吸器感染症患者への抗菌薬投与を判断するための血中マーカーとしてプロカルシトニンを承認した。今回、スイス・アーラウ州立病院/バーゼル大学のPhilipp Schuetz氏らの研究グループによるメタアナリシスの結果、急性呼吸器感染症の抗菌薬治療のマーカーとしてのプロカルシトニンの使用が、抗菌薬の曝露や副作用を減少させ、生存率を改善することが示された。著者らは、「急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン・プロトコールの普及は、抗菌薬マネジメントを改善し、臨床転帰および多剤耐性菌増加の脅威に対してプラスの効果をもたらす可能性がある」としている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2017年10月13日号に掲載。

NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療のOS結果(KEYNOTE-024)/WCLC2017

 KEYNOTE-024試験は、未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)の転移性NSCLC患者305例を対象にペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)単独投与群(n=154)と標準治療プラチナベースの化学療法群(n=151)を比較した、国際無作為化オープンラベル第III相臨床試験。本年(2017年)9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)では、追跡期間11.2ヵ月の中間解析が発表され、ペムブロリズマブ群の有意なPFSの改善が報告されたが、OSは未到達であった。10月に横浜で開催された第18回世界肺癌学会(WCLC2017)では、アップデートされたOSの結果が米国・The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのJulie R Brahmer氏により発表された。

新規インフルエンザ薬S-033188、先駆け審査指定制度下で国内承認申請

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、自社創製の新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬S-033188について、成人および小児におけるA型又はB型インフルエンザウイルス感染症を適応症として、2017年10月25日付で日本国内における製造販売承認申請を行ったと発表。

lorlatinibのALK/ROS1陽性NSCLCにおける成績発表/WCLC2017

 lorlatinibは、高い選択性と強力な活性を持ち、良好な脳浸透性を示す次世代ALK/ROS1-TKIである。とくにALKキナーゼ領域の変異に対する活性が知られており、第1世代、第2世代ALK-TKI後に発現するG1202Rなどの耐性変異に対し、最も広いスペクトラムを有する。横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)では、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏が、lorlatinibの第Ⅱ相試験の主要な結果について発表した。

BRCA1レベルに基づくNSCLCアジュバントは生存率を上昇させたか(SCAT)/WCLC2017

 Stage II~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)切除患者では、プラチナベースの術後補助化学療法が標準治療である。しかし、他レジメンとの直接比較研究はない。一方、BRCA1は、二本鎖DNA切断を修復する作用を有し、またその発現レベルにより予後および効果予測因子ともなる。SCAT研究は、BRCA1発現レベルに基づき個別化した術後補助化学療法が上記患者の生存率を改善するかを評価したSpanish Lung Cancer Cooperative Groupの試験。横浜市で開催された第18回世界肺癌会議(WCLC)において、スペイン・Alicante University HospitalのBartomeu Massuti氏が結果を発表した。

Stage III肺がんのdurvalumab維持療法、QOLを維持:PACIFIC/WCLC2017

 切除不能なStage III局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)における同時化学放射線療法(CCRT)後のdurvalumab維持療法を評価するPACIFIC試験。すでにPFSの改善と高い忍容性が報告されているが、今回は副次評価項目である患者報告結果(PRO)についてオーストラリア・University of Sydney/Westmead HospitalのRina Hui氏が、横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)で発表した。

durvalumab、Stage III肺がんに対しEMA が販売承認申請を受理

 AstraZeneca(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):Pascal Soriot)とその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年10月9日、欧州医薬品庁(EMA)が放射線とプラチナベース化学療法の同時併用療法後に病勢進行の認められない、局所進行切除不能(Stage III)非小細胞肺がん(NSCLC)に対するdurvalumabの販売承認申請(MAA)を受理したことを発表した。EUにおけるdurvalumabの承認申請はこれが初めて。

非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会

 2017年10月14日、第58回日本肺癌学会学術集会で、岡山大学病院の久保 寿夫氏が、国際共同第III相臨床試験OAK試験の日本人集団の解析結果を発表した。OAK試験は、プラチナ製剤を含む化学療法中または後に増悪した局所進行・転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者1,225例を対象に、抗PD-L1抗体atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討したオープンラベル無作為化試験。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間(OS)、副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などである。すでに発表されている全集団における解析では、ドセタキセル群と比較してOSを4.2ヵ月延長し(OS中央値:13.8ヵ月 vs.9.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87)、良好な安全性が示されている。