呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:38

スパイロメトリー正常の喫煙者、症状有無で呼吸器機能の経過に違いは?/JAMA

 症候性のタバコ曝露あり・スパイロメトリー正常(tobacco exposure and preserved spirometry:TEPS)者は、無症候性TEPS者と比べて、FEV1低下速度や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)発生率に有意差はみられないことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のWilliam McKleroy氏らによる多施設共同長期観察試験「SPIROMICS II試験」で示された。一方で、症候性TEPS者は追跡期間中央値5.8年の間に、呼吸器症状が増悪した被験者が有意に多かったという。喫煙者はスパイロメトリー正常でも呼吸器症状を有することがあるが、これらの人々は通常、COPD治験では除外され、エビデンスベースの治療が欠落している。研究グループは、無症候性TEPSと症候性TEPSの自然経過を明らかにする検討を行った。JAMA誌2023年8月1日号掲載の報告。

わが国の平均寿命、コロナの影響などで男女とも低下/厚生労働省

 厚生労働省は、7月28日に令和4年の簡易生命表の概況を発表した。これによると男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09歳となり、前年と比較し男性は0.42年、女は0.4年下回ったほか、平均寿命の男女差は6.03年で前年より0.07年縮小した。  平均寿命の前年との差を死因別に分解すると、男性は悪性新生物(腫瘍)などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いていたが、男女とも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、心疾患(高血圧性を除く)、老衰などの死亡率の変化が平均寿命を縮める方向に働いていた。

1日3.4分の高強度の身体活動で、がんリスク17%減

 高強度の身体活動(Vigorous Physical Activity:VPA)は、がん予防のために推奨される身体活動(Physical Activity:PA)を達成するための効率のよい方法であるが、多くの人にとって継続のハードルが高い。「日常生活中の高強度の断続的な身体活動(Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity:VILPA)」を継続することで、がん発症のリスクを大幅に低下させる可能性があることが、新たな研究で明らかになった。オーストラリア・シドニー大学のEmmanuel Stamatakis氏らによる本研究の結果は、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月27日号に掲載された。

進行NSCLC、治療開始前に遺伝子検査結果があるとOS良好

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者において、がん遺伝子検査が推奨されているが、1次治療開始前における遺伝子検査の結果の有無と全生存期間(OS)との関連は明らかになっていない。そこで、米国・ペンシルベニア大学のCharu Aggarwal氏らは、転移を有する非扁平上皮NSCLC患者を対象に、1次治療開始前における遺伝子パネル検査の結果の有無とOSとの関連を検討した。その結果、1次治療開始前に遺伝子パネル検査の結果が得られている患者はOSが良好であり、分子標的薬による治療を受けていない患者集団においても、同様の結果が得られた。本研究結果は、JCO Precision Oncology誌2023年7月27日号で報告された。

コロナ異種ワクチンによる追加接種を支持するエビデンス/BMJ

 オミクロン株が優勢な時期における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種では、プライマリ接種スケジュール(2回接種)や同種ブースター接種(3回)と比較して、異種ブースター接種(3回)はCOVID-19による入院や死亡の予防効果が優れていたことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年7月24日号に掲載された。

喘息の増悪発生に地域差/AZ

 アストラゼネカ(以下、AZ)は、喘息増悪の発生状況を地域別に検討した「Asthma heatmap研究」を実施し、喘息の増悪発生率に日本国内で地域差があることを初めて明らかにしたと発表した。本研究の結果を基に、地域の実情に即した喘息治療の適正化を目指した活動を実施していくとしている。  日本において、喘息に罹患している患者(小児を含む)は約800万人といわれている。喘息による死亡数は年々減少傾向にあり、2021年では1,038人と報告されている一方で、症状が残存する患者はいまだ残されており、患者の5~10%は従来の治療でコントロールできない重症喘息と推定されている。本研究では、複合アウトカムで定義した喘息増悪が平均で100人年当たり39.87件生じており、その頻度に地域差があることが示された。都道府県別にみると、複合アウトカムに示された喘息増悪発生率は、最多の地域では最少の地域の6.7倍であった。

不要な抗菌薬処方、60歳以上の医師に多く特定の医師に集中か

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含むウイルス感染症には、抗菌薬が無効であるにもかかわらず、抗菌薬が処方されている実態が報告されている。ただし、抗菌薬処方に関連する医師や患者の特徴については明らかになっていない。そこで、東京大学大学院医学系研究科の宮脇 敦士氏らは、本邦の一般開業医を対象としたデータベース(Japan Medical Data Survey:JAMDAS)を用いて、COVID-19の外来受診データを分析した。その結果、本邦のCOVID-19のプライマリケアにおいて、抗菌薬の処方は少数の診療所に集中していた。また、60歳以上の医師は抗菌薬の処方が多かった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年7月25日号のリサーチレターで報告された。

オメガ3脂肪酸、肺機能にも好影響

 肺機能の低下や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症には炎症が関与する。そこで、抗炎症作用を有するオメガ3脂肪酸が肺機能の低下やCOPDの予防に役立つ可能性が考えられており、オメガ3脂肪酸の血中濃度が高いと肺機能が高いことも報告されている。しかし、オメガ3脂肪酸の血中濃度と肺機能の経時変化を調べた報告はなく、因果関係は不明である。そこで、米国・コーネル大学のBonnie K. Patchen氏らは、前向きコホート研究およびメンデルランダム化研究により、オメガ3脂肪酸の血中濃度と肺機能、気流閉塞との関連を検討した。その結果、オメガ3脂肪酸(とくにドコサヘキサエン酸[DHA])の血中濃度が高いと肺機能の維持に良い影響があることが示された。本研究結果は、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2023年7月20日号で報告された。

小児の16%にコロナ後遺症、多くみられる症状は?~メタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経験した小児でも、コロナ後遺症(コロナ罹患後症状、long COVID)の報告が増加している。19歳以下の小児におけるSARS-CoV-2感染の長期的な臨床的特徴を明らかにするために、カナダ・トロントのThe Hospital for Sick ChildrenのLi Jiang氏らによって系統的レビューとメタ解析が実施された。その結果、COVID-19小児患者の16.2%がコロナ後遺症を経験し、男児よりも女児に特定の症状が発生するリスクが高いことなどが判明した。

コロナ肺炎からの回復、アバタセプトやインフリキシマブ追加で短縮せず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する肺炎による入院患者において、アバタセプト、cenicrivirocまたはインフリキシマブはCOVID-19肺炎からの回復までの期間を短縮しなかった。米国・セントルイス・ワシントン大学のJane A. O'Halloran氏らが、米国および中南米の95病院で実施したマスタープロトコルデザインによる無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines (ACTIV)-1 Immune Modulator:ACTIV-1 IM試験」の結果を報告した。本検討は、COVID-19の予後不良の一因として免疫調節異常が示唆されていたことから実施された。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。