呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:77

新型コロナ、コミュニティ迅速抗原検査は入院を減少/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の無症状者を対象とした全市的なコミュニティ迅速抗原検査の導入は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連入院の大幅な減少と関連していることが、英国・リバプール大学のXingna Zhang氏らによる合成コントロール研究の結果、示された。多くの国が、COVID-19の拡大を制御するために住民ベースの無症状者対象検査プログラムを展開したが、地域での大規模な自主検査が感染拡大を阻止しCOVID-19の重症化を抑制するかどうかのエビデンスは不足していた。著者は、「SARS-CoV-2の大規模なコミュニティ迅速抗原検査は、感染減少および入院予防に役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年11月23日号掲載の報告。

オミクロン株BQ.1.1とXBBに対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 新型コロナウイルス感染症の第8波では、オミクロン株BA.5がまだ主流ではあるものの、主に欧米で見られるBQ.1.1系統(BA.5系統から派生)や、インドやシンガポールなどのアジア諸国で急激に増加しているXBB系統(BA.2系統から派生)の感染例が、国内でも徐々に増加している。河岡 義裕氏らによる東京大学、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所、米国ウィスコンシン大学が共同で行った研究において、患者から分離したBQ.1.1とXBBに対して、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、抗体薬はいずれも感染を阻害しなかったが、抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示した。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年12月7日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

オシメルチニブのNSCLCアジュバント、日本人でも有効(ADAURA)/日本肺癌学会

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの術後補助療法は、日本人においても有効で、グローバルと同等の成績を示した。  第63回日本肺癌学会学術集会で、神奈川県立がんセンターの加藤晃史氏が、オシメルチニブ術後補助療法の第III相試験ADAURAの日本人サブセットを発表している。

肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

 最近、いくつかの研究において、フレイルの増加による認知機能低下および認知症のリスク増加に、肺炎が影響を及ぼす可能性が報告されている。大阪大学のParamita Khairan氏らは、肺炎歴とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、肺炎歴の有無にかかわらずフレイルおよびプレフレイル(フレイルの前駆状態)が、日本人高齢者の認知症リスク増加と関連していることが示唆された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年11月号の報告。

黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。

がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022、利用者の意見反映

 『がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン』が6年ぶりに改訂された。2016年の初版から分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療の知見が増えたことや腎障害にはさまざまな分野の医師が関与することを踏まえ、4学会(日本腎臓学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本腎臓病薬物療法学会)が合同で改訂に携わった。  本書は背景疑問を明確に定義する目的で16の「総説」が新たに記載されている。また、実用性を考慮して全体を「第1章 がん薬物療法対象患者の腎機能評価」(治療前)、「第2章 腎機能障害患者に対するがん薬物療法の適応と投与方法」(治療前)、「第3章 がん薬物療法による腎障害への対策」(治療中)、「第4章 がんサバイバーのCKD治療」(治療後)の4章にまとめている。

葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏でコロナ増悪抑制の可能性/東北大学ほか

 軽症および中等症Iの新型コロナウイルス感染症患者に対し、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を追加投与することで、発熱症状が早期に緩和し、呼吸不全への増悪リスクが低かったことが、東北大学大学院医学系研究科漢方・統合医療学共同研究講座の高山 真氏らの研究グループによる多施設共同ランダム化比較試験で明らかになった。Frontiers in pharmacology誌2022年11月9日掲載の報告。

ソトロビマブ、高リスクCOVID-19で優れた重症化予防効果/BMJ

 オミクロンBA.1およびBA.2変異株が優勢な時期のイングランドでは、重症化のリスクが高い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の日常診療において、中和モノクローナル抗体ソトロビマブは抗ウイルス薬モルヌピラビルと比較して、28日以内の重症化の予防効果が優れ、60日の時点でも結果はほぼ同様であったことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のBang Zheng氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年11月16日号で報告された。  研究グループは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染し、COVID-19による重症転帰のリスクが高い患者において、重症化の予防効果をソトロビマブとモルヌピラビルで比較する目的でコホート研究を行った(UK Research and Innovation[UKRI]などの助成を受けた)。

既治療のNSCLCに対するアテゾリズマブ単剤のリアルワールドデータ(J-TAIL)/日本肺癌学会

 既治療の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブの単剤療法は、実臨床においても開発治験と同様の臨床効果を示すことが明らかとなった。  既治療の切除不能NSCLCにおいて、ドセタキセルに対し優越性を示したOAK試験の結果に基づき、アテゾリズマブの単剤療法は2次治療以降の治療選択肢となっている。しかし、開発治験における日本人データは限定されており、日常臨床での再現性は明らかではない。  そこで、日本の実臨床における同レジメンの安全性と有効性を検討する前向き試験J-TAILが行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、松坂市民病院の畑地治氏がJ-TAIL試験の最終解析を発表した。

EGFR陽性T790M陰性NSCLCに対するオシメルチニブの2次治療は有効(WJOG12819L/KISEKI)/日本肺癌学会

 第1/2世代EGFR-TKIで増悪したEGFR陽性T70M陰性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、オシメルチニブの2次治療が有効性を示した。  第1/2世代EGFR-TKIのPD症例に対するオシメルチニブの2次治療は、T790M変異陽性例にのみ適用できる。反面、残りの半数のT709M陰性例は、オシメルチニブによる治療の恩恵を受けることができないのが現状である。  そのような中、第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ化学療法耐性のEGFR陽性T70M陰性NSCLCに対するオシメルチニブ2次治療を評価するWJOG12819L/KISEKI試験が行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、奈良県立医科大学の武田真幸氏が、同試験の初回解析結果を発表した。なお、この試験は、わが国初の患者提案型医師主導試験である。