呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:76

コロナ罹患後症状別、持続しやすい患者/国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センターの森岡 慎一郎氏らの横断研究により、COVID-19回復患者の4分の1 以上で、ほとんどが急性期に軽症にもかかわらず、COVID-19の発症または診断から6、12、18、24ヵ月後に1つ以上の症状を有していることがわかった。本研究では、各症状の持続と関連する因子も検討した。Public Health誌オンライン版2023年2月13日号に掲載。  2020年2月~2021年11月に、COVID-19から回復し国立国際医療研究センターで受診した患者に調査を実施した。人口統計学的データ、臨床データ、COVID-19罹患後症状の存在と期間に関するデータを取得し、多変量線形回帰分析を用いて、症状持続の関連因子を調べた。  主な結果は以下のとおり。

世界初のRSVワクチン誕生へ向けて、下気道疾患の予防効果80%超/NEJM

 多くの人は2歳までにRSウイルス(RSV)に感染する。生涯を通じて再感染することがあり、通常は症状が軽いもしくは無症状とされている。しかし、高齢者や合併症を有する患者では、下気道疾患が引き起こされ、基礎疾患の増悪、入院、死亡につながる可能性がある。先進国の60歳以上の成人においては、2019年にRSV感染が約520万例の急性呼吸器感染症、約47万例の入院、約3万3千例の院内死亡をもたらしたと推定されている。しかし、現在までに承認されているRSVワクチンは存在しない。そこで、宿主細胞との膜融合に関与するfusion(F)タンパク質について、立体構造を安定させた融合前(prefusion)Fタンパク質を含有するワクチンが開発され、60歳以上の成人を対象とした第III相試験において、RSVに関連する下気道疾患および急性呼吸器感染症の予防効果が示された。本研究はAReSVi-006 Study Groupによって実施され、結果はイタリア・フェラーラ大学のAlberto Papi氏らによって、NEJM誌2023年2月16日号で報告された。

コロナワクチン接種者と未接種者、死亡率の差は?/CDC

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国の24地域において、12歳以上に対する新型コロナウイルスワクチンの効果について、デルタ株からオミクロン株BA.4/BA.5流行期にかけて、接種者と未接種者の比較調査を行った。本結果によると、2価ワクチン接種者は、1価ワクチン接種者やワクチン未接種者と比べて、感染に対する予防効果が高く、とくに高齢者において、死亡に対する予防効果が未接種者の10.3~23.7倍と有意に高いことが示された。本結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report誌2023年2月10日号に掲載された。

オシメルチニブのEGFR陽性非小細胞肺がんアジュバントによるDFS改善、最終解析でも維持(ADAURA)/JCO

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の第III相ADAURA試験。初回解析では、オシメルチニブとプラセボの臨床的に有意な無病生存率(DFS)の利点が実証された(DFSハザード比[HR]:0.20、99.12%信頼区間[CI]:0.14~0.30、p<0.001)。Journal Of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号では、DFSの最終的な分析データが発表されている。

5歳未満へのコロナワクチン、3回接種の発症予防効果73.2%/NEJM

 生後6ヵ月~4歳児に対する新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」3μgの3回接種は安全で免疫原性があり、症候性COVID-19に対し有効であることを、米国・Baylor College of MedicineのFlor M. Munoz氏らが、約4,500例を対象とした試験の結果を報告した。3回目接種後1ヵ月時点の、免疫ブリッジング成功基準も満たし、反応原性イベントの大部分が軽度~中等度で、Grade4のイベントは認められなかった。NEJM誌2023年2月16日号掲載の報告。  研究グループは、6ヵ月~11歳の健康な小児を対象にBNT162b2ワクチンの第I相用量設定試験を完了し、現在第II~III相の安全性・免疫原性・有効性試験を行っている。

ニルマトレルビル/リトナビル、オミクロン下の外来患者リアルワールドデータ

 ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)は、コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクの高い患者において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株および初期のオミクロン株に対する重症化抑制効果が示されている。重症化リスクの高いワクチン未接種の成人を対象とした、ランダム化比較試験「EPIC-HR試験」では、重症化リスクを89%低下させたことが報告されている。しかし、EPIC-HR試験はデルタ株流行期に行われた試験であり、オミクロン株流行期に主流となったBA.4系統、BA.5系統などに対する効果は明らかになっていない。そこで、米国・コロラド大学医学部のNeil R. Aggarwal氏らは、コロラド州の医療システムの記録を用いて、オミクロン株流行期の実臨床におけるニルマトレルビル/リトナビルの外来患者に対する有用性を検討した。その結果、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院、全死亡、救急受診を減少させ、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院の減少は、ワクチン接種状況や年齢、感染時期などに関係なく認められた。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月10日掲載の報告。

ソトラシブ、KRASG12C変異陽性NSCLCのPFSを延長/Lancet

 既治療のKRAS G12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、KRASG12C阻害薬ソトラシブは標準治療であるドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長し、安全性プロファイルも優れることが、オランダがん研究所のAdrianus Johannes de Langen氏らが実施した「CodeBreaK 200試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2023年2月7日号で報告された。  CodeBreaK 200試験は、日本を含む22ヵ国148施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2020年6月~2021年4月の期間に患者の登録が行われた(Amgenの助成を受けた)。

第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023

 2023年2月16日、日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを開催し、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが、第20回学術集会(2023年3月16~18日)の注目演題などを発表した。  今回のテーマは「Cancer, Science and Life」で、科学に基づいた知見ががん医療の進歩を支え、患者さんが満足できる生活、実りある人生を送っていただく助けになることを目的とする。演題数は1,084であり、うち海外演題数は289と過去2番目の多さになる。  プレジデンシャルセッションでは発表者の他に、国内外の専門家がディスカッサントとして研究成果の意義を解説する。演題は学術企画委員会が厳正に審査を行い、全分野より合計19演題が選定された。

ペグIFN-λ、高リスクCOVID-19の重症化を半減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種者を含むCOVID-19外来患者において、ペグインターフェロンラムダ(IFN-λ)単回皮下投与は、COVID-19進行による入院または救急外来受診の発生率をプラセボ投与よりも有意に減少させた。ブラジル・ミナスジェライスカトリック大学のGilmar Reis氏らTOGETHER試験グループが報告した。NEJM誌2023年2月9日号掲載の報告。  TOGETHER試験は、ブラジルとカナダで実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照アダプティブプラットフォーム試験である。研究グループは、ブラジルの12施設およびカナダの5施設において、SARS-CoV-2迅速抗原検査が陽性でCOVID-19の症状発現後7日以内の18歳以上の外来患者のうち、50歳以上、糖尿病、降圧療法を要する高血圧、心血管疾患、肺疾患、喫煙、BMI>30などのリスク因子のうち少なくとも1つを有する患者を、ペグIFN-λ(180μg/kgを単回皮下投与)群、プラセボ群(単回皮下投与または経口投与)または他の介入群に無作為に割り付けた。