呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:84

ファイザーとモデルナのBA.1対応追加接種用2価ワクチンを承認/厚生労働省

 厚生労働省は9月12日、ファイザーおよびモデルナのオミクロン株BA.1に対応した新型コロナウイルス2価ワクチンを承認(特例承認医薬品における効能・効果、用法・用量の一部変更承認)したことを発表した。2価ワクチンの販売名は、ファイザーが「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」、モデルナが「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」となる。両ワクチンともに追加接種用で、ファイザー製は12歳以上、モデルナ製は18歳以上が対象となる。

小児のコロナ後遺症は成人と異なる特徴~約66万人の解析

 小児における新型コロナウイルス感染症の罹患後症状には、成人とは異なる特徴があることを、米国・コロラド大学医学部/コロラド小児病院のSuchitra Rao氏らが明らかにした。同氏らは、新型コロナウイルスの感染から1~6ヵ月時点の症状・全身病態・投与された薬剤を調べ、罹患後症状の発生率を明らかにするとともに、リスク因子の特定を目的に、抗原検査またはPCR検査を受けた約66万人の小児を抽出して後ろ向きコホート研究を行った。

BA.1/2既感染者はBA.5の防御効果が高い?/NEJM

 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の主流となったオミクロン株BA.5については、従来株の感染既往があっても免疫逃避して再感染しやすいと認識されていた。しかし、早期にBA.5が優勢になった国の1つであるポルトガルにおいて、従来株の感染既往がある人におけるBA.5感染リスクを調査したところ、BA.1/BA.2の感染既往がある人は、ほかの変異株の感染既往よりも、BA.5に対する高い防御効果を有しているということが判明した。本結果は、ポルトガル・Instituto de Medicina Molecular Joao Lobo AntunesのJoao Malato氏らが、NEJM誌2022年9月8日号のCORRESPONDENCEで報告した。  本研究では、1,034万4,802人が登録されている全国コロナウイルスレジストリSINAVEのデータが用いられ、2022年7月4日時点の12歳以上の930万7,996人が対象となっている。このレジストリには、臨床症状を問わず、ポルトガル国内で報告されたすべての症例が記録されている。遺伝子検査により各変異株が90%以上を占める期間を特定し、優勢期として設定した。BA.1とBA.2は流行の移行が緩やかだったため優勢期が統合された。各優勢期に初めて新型コロナに感染した人を特定し、各変異株の感染既往群および未感染群のBA.5に対する感染リスクを算出した。ポルトガルでは2022年6月1日よりBA.5の優勢期となっている。なお、2022年以前に被験者の98%以上が新型コロナワクチンの初回シリーズを接種完了しているため、感染者はブレークスルー感染と見なされる。

新型コロナの重症度と予後を予測するバイオマーカーを発見/横浜市大、神奈川県立がんセンター

 血清ヘムオキシゲナーゼ-1(Heme oxygenase-1:HO-1)濃度が、COVID-19の重症度と生命予後予測の指標となることを、横浜市立大学大学院医学研究科の原 悠氏らと神奈川県立がんセンターの築地 淳氏らの研究グループが発見した。PLOS ONE誌オンライン版2022年8月24日掲載の報告。  HO-1は、M2マクロファージによって産生されるストレス誘導タンパク質で、可溶性CD163(sCD163)を産生する。sCD163は、COVID-19の生命予後の予測性能において有用性が期待されている。研究グループは、血清HO-1がCOVID-19患者の重症度と生命予後予測の両方を評価するバイオマーカーになりうると考え、M2マクロファージマーカーとされる血清HO-1とsCD163の有用性を検証した。  解析対象は、入院治療を必要としたCOVID-19患者64例(軽症11例、中等症38例、重症15例)であった。入院時に血清HO-1とsCD163の血清濃度を測定し、臨床パラメーターおよび治療経過との関連性を解析した。

コロナ潜伏期間は変異株ごとに短縮、年齢による違いも~メタ解析

 新型コロナウイルスの変異株の進化に伴い、アルファ株からオミクロン株へ、その潜伏期間が徐々に短縮していることが示唆された。また、小児および高齢患者で潜伏期間が長い傾向がみられている。中国・北京大学のYu Wu氏らは、それぞれの変異株によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期間を体系的に評価することを目的にシステマティックレビューとメタ解析を実施。JAMA Network Open誌オンライン版2022年8月22日号に報告した。  2019年12月1日~2022年2月10日に、PubMed、EMBASE、ScienceDirectが検索され、PRISMAガイドラインに基づきレビュー担当者が適格な研究からデータを個別に抽出した。パラメータ等は、変量効果モデルによるメタ解析から明らかにされた。潜伏期間は感染から徴候や症状の発症までの時間と定義され、主要評価項目はSARS-CoV-2株ごとの潜伏期間の平均推定値とされた。  主な結果は以下のとおり。

鼻腔拭い液のコロナ検査、自己採取と医療者で結果は異なるか/JAMA

 4~14歳の小児が簡単な説明資材を視聴した後に自己採取した鼻腔拭い液からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出率は、医療従事者が採取した鼻腔拭い液での検出率とほぼ一致したことが、米国・エモリー大学のJesse J. Waggoner氏らが実施した横断研究の結果、示された。SARS-CoV-2の検査が拡大しているが、小児の自己採取が検査の精度に及ぼす影響が不明であるため、14歳未満の自己採取による鼻腔拭い液を用いた検査は緊急使用許可(EUA)が得られていなかった。JAMA誌オンライン版2022年8月26日号掲載の報告。

オミクロン株流行中のニルマトレルビルによるCOVID-19の重症化転帰(解説:寺田教彦氏)

ニルマトレルビルは、本邦では商品名「パキロビッドパック(以下パキロビッド)」としてCOVID-19重症化予防薬として用いられている。「パキロビッド」はニルマトレルビルをリトナビルでブーストした薬剤であり、効果的な経口抗ウイルス薬である。ただし、リトナビル成分のため、併用禁忌や併用注意の薬剤が多いことが知られており、投薬時には投薬歴を確認する必要がある。同薬剤は、症状を伴うCOVID-19に罹患した、重症化リスクの高いワクチン未接種の成人を対象とした試験(EPIC-HR試験)においてプラセボと比較して、入院または死亡のリスクを88%低減させ、高い有効性を示した

ブースター接種、異種のほうが効果が持続する可能性

 世界的に新型コロナワクチンのブースター接種が進む中で、同種・異種ワクチンのどちらがブースター接種により適しているかを検討した研究結果が発表された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのC.Sabrina Tan氏らによる本研究は、JAMA Network Open誌2022年8月1日号に掲載された。  研究者らは、少なくとも6ヵ月前にBNT162b2(ファイザー製)の2回接種を完了した68例を対象に、ファイザー製とAd26.COV2.S(Johnson & Johnson製)によるブースター接種を行い、4ヵ月後の液性および細胞性免疫反応を評価した。

国内での3回接種によるBA.5への有効性など追加、コロナワクチンに関する提言(第5版)修正版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、8月30日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言」の第5版を一部変更・加筆した第5版修正版を公開した。  今回の修正版では、わが国におけるBA.5に対する3回目接種の有効性や5~11歳へのワクチンの有効性の情報を追加したほか、現時点の知見を追加している。 【1. わが国で承認されているCOVID-19ワクチン】 ・5~11歳への接種にも努力義務を課すことが決定され、臨時接種対象者すべてに努力義務が課されることになった。 ・COVID-19ワクチンは他のワクチンと13日以上の間隔をあけて接種することとされていたが、インフルエンザワクチンに関しては接種間隔に関する制約がなくなり、同時接種も可能となった。

乳幼児の新型コロナ感染、約4割が無症状

 学校や保育所において小児の新型コロナの集団感染が多発しているが、小児は感染しても無症状であることが多く、感染防止には症状のスクリーニングでは不十分であることがわかったという。ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のRuth A Karron氏らによる本研究は、JAMA Network Open誌2022年8月31日号に掲載された。  この前向きコホート研究では、2020年11月24日~2021年10月15日に、0~4歳の子供が1人以上いるメリーランド州の175世帯の690人に対して調査を実施した。登録から8ヵ月間、参加者は毎週症状に関するアンケートに回答し、PCR検査によってSARS-CoV-2感染の有無を確認した。