外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:101

乳がんリンパ浮腫のセルフケア、Webとパンフレットどちらが効果的

 乳がん治療関連リンパ浮腫(BCRL)患者のケアに対するウェブベースのマルチメディアツールを用いた介入(WBMI)の結果が示された。米国・ヴァンダービルト大学のSheila H. Ridner氏らによる検討で、WBMIを受けた患者は、対照(パンフレットのみ)より生物行動症状(気分)が改善し、介入に対する知覚価値も高いことが示されたという。ただし、WBMI群は完遂率が低く、他の評価項目については大きな違いはみられなかったとしている。Journal of Women's Health誌オンライン版2019年7月17日号掲載の報告。

認知機能低下と入院の関連、外科と内科で違いは/BMJ

 手術による2泊以上の入院は、平均的な認知機能の経過(the cognitive trajectory)にわずかながら影響を及ぼしたが、非外科的入院ほどではなかった。重大な認知機能低下のオッズは、外科手術後で約2倍であり、非外科的入院の約6倍よりも低かったという。米国・ウィスコンシン大学のBryan M. Krause氏らが、加齢に伴う認知機能の経過と大手術との関連を定量化する目的で行った前向き縦断的コホート研究の結果を報告した。手術は長期的な認知障害と関連する可能性があるが、これらの関連性を検討した先行研究では、認知機能低下が加齢に伴い加速するという認知機能の経過を考慮しておらず、方法論的な問題のため一貫した結果が得られていなかった。著者は、「本研究の情報は、インフォームドコンセントの際に、手術による健康上の有益性の可能性と比較検討されるべきである」とまとめている。BMJ誌2019年8月7日号掲載の報告。

心房細動リスクが低いコーヒー摂取量~医師1万9千人の調査

 発作性心房細動患者ではコーヒー摂取が心房細動のトリガーとしてしばしば報告されているが、コーヒー摂取と心房細動リスクの関連を検討した前向き研究の結果は一貫していない。今回、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のVijaykumar Bodar氏らが男性医師で調査したところ、1日1~3杯のコーヒー摂取で心房細動リスクが低いことが示唆された。Journal of the American Heart Association誌2019年8月6日号に掲載。  本研究は、Physicians' Health Study(1万8,960人)に参加した男性医師における前向き調査。コーヒー摂取量は自己申告による食事摂取頻度調査票により評価した。心房細動発症率は年次調査票により評価し、副次サンプルの診療記録により検証した。Cox比例ハザードモデルを用いて心房細動のハザード比と95%信頼区間(CI)を計算した。

治療の中止も重要な介入(解説:後藤信哉氏)-1095

刑事裁判では冤罪を起こさないことが、犯罪者を見落とさないことより重要との立場がある。長年医師をしていると、「予後を改善させるかもしれない介入」よりも「予後を悪化させない介入」が重要に思えてくる。日本では静脈血栓塞栓症の頻度は少ないが、発症してしまった症例には血栓性素因がある場合が多い。活性化プロテインC抵抗性のfactor V Leidenの多い欧米人では入院、安静のみにて静脈血栓が起こる。このような症例には3ヵ月の抗凝固療法で十分かもしれない。本論文は、欧米人であってもunprovoked VTEでは抗凝固薬中止後の血栓イベントが無視できないことを示唆している。

全がんの5年相対生存率は66.1%

 国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)は、2019年8月8日にニュースリリースとして「がん診療連携拠点病院等院内がん登録2012年3年生存率、2009年から10年5年生存率」を公表した。今回のリリースでは、初めて「喉頭・胆嚢・腎・腎盂尿管がん」の3年生存率の集計も発表された。  これは同センターが、全国のがん診療連携拠点病院などから収集した院内がん情報を用い、(1)2012年に診断された患者の3年を経過した生存率(2012年3年生存率集計)と、(2)2009年、2010年に診断された患者につき、治癒の目安とされる5年を経過した生存率(2009年から10年5年生存率集計)を報告書にまとめ、同センターのウェブサイトで公開したもの。

アントラサイクリンの心毒性、運動で予防できるか

 アントラサイクリン系薬に関連した心毒性(ARC)への予防戦略として、運動介入の有効性を検討する無作為化試験が行われるようだ。アントラサイクリン系薬は乳がんの治療によく用いられるが、心毒性の累積リスクとも関連している。そのため心臓への影響を最小化する予防戦略が必要で、非薬理学的アプローチとして運動が提案されていた。しかし、これまで行われてきたのはほとんどが動物実験によるもので、患者において有効性が示された研究はわずかで限られていた。ポルトガル・Universidade da Beira InteriorのPedro Antunes氏らが、「ARCを軽減する運動の有効性をよりよく理解するためには、実臨床において正確かつ有用なバイオマーカーを用いた大規模な研究が必要である」として現在、バイオマーカーの連続測定と画像検査により心機能を調査する臨床研究を行っているという。そのプロトコルについて発表した。Trial誌2019年7月号掲載の報告。

抗凝固療法終了後のVTE、10年で3分の1以上が再発/BMJ

 非誘発性の静脈血栓塞栓症(VTE)の初回エピソードを発症し、3ヵ月を超える抗凝固療法を終了した患者における累積VTE再発率は、2年で16%、5年で25%、10年では36%に達することが、カナダ・オタワ大学のFaizan Khan氏らMARVELOUS共同研究グループの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年7月24日号に掲載された。抗凝固療法は、非誘発性VTEの初回エピソード後のVTE再発リスクの抑制において高い効果を発揮するが、この臨床的な有益性は抗凝固療法を中止すると維持されなくなる。抗凝固療法を無期限に中止または継続すべきかの判断には、中止した場合のVTE再発と、継続した場合の大出血という長期的なリスクとのバランスの考慮が求められるが、中止後のVTE再発の長期的なリスクは明確でないという。

術前化学療法を受けた乳がん患者の術後上肢リンパ浮腫、リスク因子は?/JAMA Surgery

 乳がん患者の術後リンパ浮腫に関して、従前にない知見が示された。これまでのリンパ浮腫に関する大部分の研究は、対象集団が不均一で術後補助化学療法を受けた患者に重点を置いているが、米国・ミズーリ大学コロンビア校のJane M. Armer氏らは、術前化学療法と乳がん手術+腋窩リンパ節郭清を受けた患者のリンパ浮腫について検討。ACSOG Z1071研究の登録患者について解析を行い、長期の術前補助化学療法と肥満がリンパ浮腫の発現と関連していることを明らかにした。著者は、「このようなリスク因子を有する患者では、リンパ浮腫のサーベイランスを強化することが有益であろう」とまとめている。JAMA Surgery誌オンライン版2019年7月17日号の掲載。

人工呼吸器からのウィーニング方法についての検討(解説:小林英夫氏)-1091

病態が改善してきた人工呼吸器装着症例において、どのような手順でウィーニングを成功させるかというテーマは、数十年前から議論されてきたが今もって完全な結論は得られていない。本論文を簡潔化すると、圧制御換気がTピース換気よりも人工呼吸から離脱しやすいようである、と結論している。この結論は、近年の多くの論文、総説と同様の結果であり、解説者も特段の異論は有していない。さて、集中治療領域は別にして、大半の本サイト閲覧氏にとって人工呼吸は日々関わることのない特殊分野であろう。圧制御換気は吸気時に一定圧を機械で補助する方式、Tピース換気はT字型に組み合わせたチューブを取り付ける昔ながらの方式である。

トラスツズマブを用いた術後補助療法は6ヵ月間で十分か?‒PHARE試験の結果から(解説:岩瀬俊明氏)-1085

これまでHER2陽性早期乳がんに対するトラスツズマブを用いた術後補助療法の標準投与期間は12ヵ月とされていたが、心毒性、高額な医療費、また長期の通院等のデメリットが憂慮される。そのため治療期間を短縮するオプションがいくつかの臨床試験で検討されてきたが、コンセンサスは得られていない。以上の背景から、本試験はHER2陽性早期乳がんにおいて12ヵ月のトラスツズマブ治療に対して6ヵ月の治療効果を第3相ランダム化非劣性試験で比較した。