外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:115

本庶 佑氏ノーベル賞授賞式に…世界のがん治療に進化を与えた日本の研究

 2018年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した、本庶 佑氏(京都大学高等研究院 特別教授)とJames P. Allison氏(テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター 教授)が、12月10日、授賞式に出席した。本庶氏と同じく京都大学出身で、現在、腫瘍内科医として、米国でがん臨床に携わるダートマス大学 腫瘍内科 准教授の白井敬祐氏に聞いた。  ニューヨークタイムスなどの一流紙でも取り上げられるなど、多くのメディアで報道されています。新聞の切り抜きを持って来院し、「この薬は私には使えないか」「これは私が使っている」などと尋ねる患者さんも多くなりました。医療者のみならず、患者さんや家族、サバイバーといった一般の方に対しても大きな反響があります。

第一三共のADC U3-1402、乳がん第I/II相試験で良好な結果

 第一三共株式会社は、2018年12月6日、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2018で発表された、乳がん患者を対象としたU3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体)の第I/II相臨床試験における安全性と有効性に関する最新データの概要を公表した。  安全性については、HER3陽性の乳がん患者42例において、Grade3以上の主な有害事象(発現率>10 %)として、血小板数減少(35.7 %)、好中球数減少(28.6 %)、白血球数減少(21.4 %)、貧血(16.7 %)、ALT増加(11.9 %)がみられた。また治療に関連した重篤な有害事象がみられた患者は16.7 %であった。

がん治療に大変革をもたらした2つの研究~がん免疫療法のいま・未来~

 2018年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した、本庶 佑氏(京都大学高等研究院 特別教授)とJames P. Allison氏(テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター 教授)が、現地時間の12月10日(日本時間 12月11日未明)、授賞式に出席した。  両氏の研究成果は、がん免疫療法の発展に大きく寄与している。本庶氏は日本医師会での講演にて、がん免疫療法によって「今世紀中にがん死はなくなる可能性が出てきた」と語っている。いま一度、両氏の功績を振り返るとともに、がん治療に大変革をもたらした免疫チェックポイント阻害薬の開発までの軌跡をたどる。

第5回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同院消化器化学療法外科、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、2019年1月13日(日)に、第5回「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同院が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の5回目となる。今回は『がん治療とQOL(生活の質)』をテーマに、がん治療中のQOLの維持に積極的に取り組む意味や、QOLの維持に役立つ情報を広く知ってもらうための内容となっており、各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が多数予定されている。

がん種横断的MSI検査キット保険適用

 株式会社ファルコバイオシステムズが製造販売を行う、局所進行性又は転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)がんを検出するコンパニオン診断薬「MSI検査キット(FALCO)」を用いた検査が平成30年12月1日より保険適用となった。  「MSI検査キット(FALCO)」は、局所進行性又は転移性のMSI-Highがんに対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請中であるペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の適応を判定するためのコンパニオン診断薬。

免疫チェックポイント阻害薬であるアテゾリズマブとnab-PTXの併用は未治療の進行/転移性乳がんの予後を改善する(解説:矢形寛氏)-962

乳がん領域での免疫チェックポイント阻害薬の有効性に関する初のP3 RCTの報告である。化学療法は腫瘍抗原の放出と免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を高めるようであり、とくにタキサンはToll様受容体の活性化と樹状細胞の活動性を促進するため、併用効果が期待されてきた。本試験ではnab-PTXとヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブの併用効果が検証され、追跡期間約1年でPFSの有意性が示された。また、PD-L1が免疫染色にて腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上発現がみられるものは、より有効性があるようであった。Grade3以上のアテゾリズマブに関連する有害事象はとくにないようであった。OSはmarginalであったが、症例数の設定とTNBCという一般的に予後が短い特殊な集団であることを考えると、OSへの寄与も十分見込めるのではないかと考えられる。

フルベストラント+パルボシクリブはOSも延長しうる(解説:矢形寛氏)-963

フルベストラント+パルボシクリブがフルベストラント単独に比べPFSを延長することはすでに示されている。今回は最終結果ではなく、生存者が40%になったところでの解析である。OSにおいて統計学的有意性はないものの、6.9ヵ月の絶対差が認められた。あらかじめ計画されたサブグループ解析では、過去に内分泌療法の感受性があった患者で、OSに10.0ヵ月の実質的な差がみられた。 本研究における主要評価項目はPFSであり、症例数もPFSを基準として設定しているため、副次評価項目であるOSをみるには絶対数が少ない。しかし、大規模な症例数での臨床試験は困難であり、PFSの有意性をみつつ、少ない症例数からのOSへの影響をみていく必要がある。臨床的感覚でも過去の内分泌療法薬に感受性があった患者での効果はより大きく、その点でも本結果はリーズナブルと思われる。より長期的な観察での生存率への影響をみたい。

ペムブロリズマブ、単剤と化療併用で頭頸部扁平上皮がん1次治療のOS改善(KEYNOTE-048)/ESMO2018

 再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)治療では、プラチナ製剤による化学療法後の2次治療として、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ、ニボルマブの有効性が確認されており、本邦ではニボルマブが2017年3月に適応を取得している。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、HNSCCの1次治療におけるペムブロリズマブ単剤および、化学療法との併用療法が、抗EGFR抗体セツキシマブと化学療法の併用療法と比較して全生存期間(OS)を改善することが明らかになった。イェールがんセンターのBarbara Burtness氏が発表した第III相KEYNOTE-048試験の中間解析結果より。

「がんだけ診ていればよい時代」は終わった?日本腫瘍循環器学会開催

 2018年11月3~4日、都内にて第1回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催され、盛んな議論が行われた。  がんと心血管疾患の関係は以前から見られる。近年、がん治療の進歩が生存率も向上をもたらした。そこにがん患者の増加が加わり、がんと心血管疾患の合併は増加している。がん治療の副作用は、心血管系合併症のリスクを高め、生命予後にも影響することから、がん患者・サバイバーに対する心血管系合併症管理の重要性が増している。実際、乳がん患者の死因は、2010年に、がんそのものによる死亡を抜き、心血管疾患が第1位となっている。