外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:113

T-DXd、HER2+乳がん脳転移例で良好な結果(DESTINY-Breast01)/ESMO BC2020

 CNS転移を有する既治療のHER2陽性乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)の有効性が示された。ベルギー・リエージュ大学のGuy Jerusalem氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020、2020年5月23~24日)でDESTINY-Breast01試験のサブグループ解析結果を報告した。  DESTINY-Breast01試験は、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)治療を受けたHER2陽性の再発・転移を有する乳がん患者を対象としたグローバル第II相試験。独立中央判定委員会による奏効率は60.9%、PFS中央値は16.4ヵ月であり、持続的な腫瘍縮小効果が示されている。

TN乳がん1次治療へのipatasertib+PTXのOS結果(LOTUS)/ESMO BC2020

 手術不能な局所進行または転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療において、経口AKT阻害薬ipatasertibをパクリタキセル(PTX)に併用することにより、全生存期間(OS)が延長する可能性が、二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であるLOTUS試験の最終解析で示された。シンガポール・National Cancer Centre SingaporeのRebecca Dent氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020、2020年5月23~24日)で報告した。なお、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)については、すでに有意に延長することが報告されている。

COVID-19に伴う乳がん診療トリアージについて/日本乳癌学会

 日本乳癌学会は5月25日、COVID-19に伴う乳がん診療トリアージについて指針を公開した。欧米の診療トリアージを参考に、日本における現在の診療に即した形となるようまとめたもの。外来診療、画像診断、外科療法、放射線療法、薬物療法それぞれについて、緊急度を高優先度/中優先度/低優先度の3つに分けて指針を示している。本稿では、外科療法、放射線療法、薬物療法について抜粋して下記紹介する。

HER2陽性乳がんに、トラスツズマブ デルクステカン発売/第一三共

 第一三共は、トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)について、2020年5月25日、国内で新発売したと発表。  同剤は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたグローバル第II相臨床試験(DESTINY-Breast01、北米、欧州及び日本を含むアジアで実施)の結果に基づき、2020年3月に「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応として、国内製造販売承認を取得した。なお、同剤の添付文書の「警告」欄に間質性肺疾患(ILD)が記載されている。

乳がん患者、治療開始の遅れが生存に及ぼす影響

 早期乳がん患者では、乳がんと診断されてから術前化学療法開始までが61日以上となると、死亡リスクの増加と関連することが示唆された。これまでに、手術や術後化学療法開始の遅れが生存に影響することが報告されてきたが、術前化学療法を必要とする患者は一般的に高リスクの腫瘍を有するため、より影響が大きい可能性が考えられた。ブラジル・Hospital Beneficencia PortuguesaのDebora de Melo Gagliato氏らは、米国・MDアンダーソンがんセンターで術前化学療法を受けた早期乳がん患者のデータを解析した。Oncologist誌オンライン版2020年5月20日号掲載の報告より。  研究者らは、1995年1月~2015年12月にMDアンダーソンがんセンターで術前化学療法を受けた原発性浸潤性乳がん患者(Stage I~III)を特定。乳がんと診断されてから術前化学療法までの時間(日数)に従って、3つのサブグループに分類した:0~30日、31~60日、および≧61日。主要評価項目は全生存期間(OS)、記述統計とCox比例ハザードモデルが用いられた。

高齢者のがん、発症前に歩行速度が急激に減少

 高齢者におけるがん診断前と後におけるサルコペニアの尺度の減少度をがんではない高齢者と比較した場合、診断前に歩行速度の減少度が大きいことがわかった。米国・アラバマ大学のGrant R. Williams氏らが報告した。JAMA Network Open誌2020年5月1日号に掲載。  著者らは、サルコペニアの3つの尺度(四肢除脂肪量[ALM]、握力、歩行速度)について、がんと診断された高齢者の診断前の減少度と診断後の減少度を、がんではない高齢者の減少度と比較し、さらにサルコペニアの尺度とがん患者の全生存率および主な身体障害との関連を評価した。

コロナウイルス感染と血栓症の関係(解説:後藤信哉氏)-1229

本稿執筆時点で日本では大きく問題とされていないが、中国、米国、欧州ではコロナウイルス感染と血栓イベントの深い関係が注目されている。血栓イベント増加の主要原因として、コロナウイルスの血管内皮細胞への浸潤などが想定されているがメカニズムの詳細は未知である。確かに、本稿の著者に指摘されてみればa-PTTは延長していることが多い。PT、a-PTTが延長してD-dimerの高い症例が多いというのが筆者の認識であるが、ICUに入院する時点にてヘパリンを投与されている症例が多いのでヘパリンの影響かと思っていた。

早期乳がん術後放射線療法、26Gy/5回/1週が有用か/Lancet

 早期乳がんの初回手術後の局所放射線療法では、5年後の局所コントロールおよび正常組織への影響に関する安全性について、総線量26Gyの5分割1週間照射は、標準的な40Gyの15分割3週間照射に対し非劣性であることが、英国・ノースミッドランズ大学病院のAdrian Murray Brunt氏らの「FAST-Forward試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年4月28日号に掲載された。早期乳がんの術後放射線療法は、従来、1.8~2.0Gy/日を週5日間、5週間以上照射する方法が標準であったが、カナダや英国、次いで中国とデンマークの無作為化第III相試験により、2.7Gy/日の15または16分割照射の安全性と有効性が示されている。さらに、最近では、5分割の1週間照射の長期アウトカムが報告され、早期乳がんにおける根治的放射線療法のいっそうの簡便化の可能性が示唆されている。

早期乳がんの術後AIの服薬アドヒアランス/JCO

 早期乳がんの術後補助療法におけるアロマターゼ阻害薬(AI)の服薬アドヒアランスは一般に低く、再発リスクにつながる。今回、大規模な長期無作為化試験(SWOG S1105)の結果、AIのアドヒアランス失敗率が高いこと、週2回のテキストメッセージ受信ではアドヒアランスが改善しなかったことを米国・コロンビア大学のDawn L. Hershman氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年5月5日号に掲載。  本試験は、米国の40施設においてテキストメッセージ(TM)群とテキストメッセージなし(No-TM)群を比較した無作為化試験。対象は、AI投与が36ヵ月以上計画され、30日以上服薬している早期乳がんの閉経後女性で、メッセージは週2回、36ヵ月送信した。

COVID-19流行下で不安募らせるがん患者、医師は受け身から能動へ?

 がん患者の自分が感染したら致命的なのではないか、治療を延期しても大丈夫なのか、この発熱は副作用かそれとも感染か―。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が拡大する中、がん患者の不安は大きくなってしまっている。エビデンスが十分とはいえない中、また医師自身にも感染リスクがある中で、治療においてどのような判断をし、コミュニケーションを図っていけばよいのか。4月21日、「新型コロナ感染症の拡大を受け、がん患者・家族が知りたいこと」(主催:一般社団法人CancerX)と題したオンラインセッションが開催され、腫瘍科や感染症科など各科の専門医らが、患者および患者家族からの質問に答える形で議論を行った。