外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:114

大腸手術前のMOABPは有益か/Lancet

 大腸手術において、機械的腸管前処置と経口抗菌薬の併用による腸管前処置(MOABP)は、腸管前処置なし(NBP)と比較して、手術部位感染(SSI)や術後合併症は低下しないことが示された。フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Koskenvuo氏らが、現在推奨されているMOABPの日常的な使用について検証した前向き多施設共同無作為化単盲検並行群間試験「Mechanical and oral antibiotic bowel preparation versus no bowel preparation for elective colectomy:MOBILE試験」の結果を報告した。これまで行われたいくつかの大規模後ろ向き研究において、MOABPによりNBPと比較しSSIと術後合併症が減少することが報告されている。米国ではそれらのデータに基づいてMOABPの実施が推奨されているが、著者は今回の結果を受けて、「結腸切除術でSSIや合併症を減らすために、MOABPを推奨することは再考されるべきであると提案したい」とまとめている。Lancet誌オンライン版2019年8月8日号掲載の報告。

がん患者が言い出せない、認知機能障害への対応策/日本臨床腫瘍学会

 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害(cancer-related cognitive impairment;CRCI)は海外で研究が進みつつあるものの、国内での認識は医療者・患者ともに低い。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「がんと関連した認知機能障害:病態解明・診断・治療/ケアはどこまで進んだか」と題したシンポジウムが開かれ、国内外の知見が紹介された。本稿では、橋本 淳氏(聖路加国際病院 腫瘍内科)、谷向 仁氏(京都大学大学院医学研究科)による発表内容を中心に紹介する。  がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害は、現時点で有効な評価方法や治療は確立されていないが、がんそのものによる肉体的・精神的影響によって治療前からみられるもの、化学療法や手術、内分泌療法などの治療に伴ってみられるものがあると考えられている。橋本氏は、乳がん、卵巣がん、消化器がんなどにおける海外の報告を紹介。治療前は20~30%の患者で1)、化学療法に伴うものとして17~75%の患者でみられたという報告がある(報告により認知機能の評価法が異なり、幅のある結果となっている)2~3)。

エヌトレクチニブ、NTRK固形がんとROS1肺がんでFDA承認

 2019年8月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、NTRK融合遺伝子陽性でほかの治療法がない固形がんに対して、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブを迅速承認した。同時に、転移のあるROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対しても承認している。  NTRK陽性がんの有効性は、ALKA、STARTRK-1、STARTRK-2の3つの多施設単群臨床試験のいずれかでエヌトレクチニブを投与された54例の成人患者で検討された。54例の独立評価委員による全奏効率(ORR)は57%(95%CI:43~71)であった。奏効期間(DOR)は、患者の68%が6ヵ月以上は、45%が12ヵ月以上であった。

非糖尿病者でHbA1cとがん発症にU字型の関連

 HbA1cとがん発症との関連を経時的に評価するため、聖路加国際病院の小林 大輝氏らがHbA1cを複数回測定する縦断研究を実施した。その結果、非糖尿病者においてHbA1cレベルとがんリスクとの間にU字型の関連がみられたが、前糖尿病レベルで追加リスクは認められなかった。また、HbA1c低値が乳がんおよび女性性器がんの発症と関連することが示唆された。Acta Diabetologica誌オンライン版2019年8月9日号に掲載。  本研究は、聖路加国際病院で実施された後ろ向き縦断研究で、2005~16年に同病院で自主的に健康診断を受けたすべての参加者を含む。アウトカムはがん発症で、HbA1cレベルのカテゴリー間で比較した。HbA1cの変動を考慮するために、HbA1cの経時的な測定を適用した混合効果モデルを使用し縦断的に分析した。

乳がんリンパ浮腫のセルフケア、Webとパンフレットどちらが効果的

 乳がん治療関連リンパ浮腫(BCRL)患者のケアに対するウェブベースのマルチメディアツールを用いた介入(WBMI)の結果が示された。米国・ヴァンダービルト大学のSheila H. Ridner氏らによる検討で、WBMIを受けた患者は、対照(パンフレットのみ)より生物行動症状(気分)が改善し、介入に対する知覚価値も高いことが示されたという。ただし、WBMI群は完遂率が低く、他の評価項目については大きな違いはみられなかったとしている。Journal of Women's Health誌オンライン版2019年7月17日号掲載の報告。

認知機能低下と入院の関連、外科と内科で違いは/BMJ

 手術による2泊以上の入院は、平均的な認知機能の経過(the cognitive trajectory)にわずかながら影響を及ぼしたが、非外科的入院ほどではなかった。重大な認知機能低下のオッズは、外科手術後で約2倍であり、非外科的入院の約6倍よりも低かったという。米国・ウィスコンシン大学のBryan M. Krause氏らが、加齢に伴う認知機能の経過と大手術との関連を定量化する目的で行った前向き縦断的コホート研究の結果を報告した。手術は長期的な認知障害と関連する可能性があるが、これらの関連性を検討した先行研究では、認知機能低下が加齢に伴い加速するという認知機能の経過を考慮しておらず、方法論的な問題のため一貫した結果が得られていなかった。著者は、「本研究の情報は、インフォームドコンセントの際に、手術による健康上の有益性の可能性と比較検討されるべきである」とまとめている。BMJ誌2019年8月7日号掲載の報告。

心房細動リスクが低いコーヒー摂取量~医師1万9千人の調査

 発作性心房細動患者ではコーヒー摂取が心房細動のトリガーとしてしばしば報告されているが、コーヒー摂取と心房細動リスクの関連を検討した前向き研究の結果は一貫していない。今回、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のVijaykumar Bodar氏らが男性医師で調査したところ、1日1~3杯のコーヒー摂取で心房細動リスクが低いことが示唆された。Journal of the American Heart Association誌2019年8月6日号に掲載。  本研究は、Physicians' Health Study(1万8,960人)に参加した男性医師における前向き調査。コーヒー摂取量は自己申告による食事摂取頻度調査票により評価した。心房細動発症率は年次調査票により評価し、副次サンプルの診療記録により検証した。Cox比例ハザードモデルを用いて心房細動のハザード比と95%信頼区間(CI)を計算した。

治療の中止も重要な介入(解説:後藤信哉氏)-1095

刑事裁判では冤罪を起こさないことが、犯罪者を見落とさないことより重要との立場がある。長年医師をしていると、「予後を改善させるかもしれない介入」よりも「予後を悪化させない介入」が重要に思えてくる。日本では静脈血栓塞栓症の頻度は少ないが、発症してしまった症例には血栓性素因がある場合が多い。活性化プロテインC抵抗性のfactor V Leidenの多い欧米人では入院、安静のみにて静脈血栓が起こる。このような症例には3ヵ月の抗凝固療法で十分かもしれない。本論文は、欧米人であってもunprovoked VTEでは抗凝固薬中止後の血栓イベントが無視できないことを示唆している。

全がんの5年相対生存率は66.1%

 国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)は、2019年8月8日にニュースリリースとして「がん診療連携拠点病院等院内がん登録2012年3年生存率、2009年から10年5年生存率」を公表した。今回のリリースでは、初めて「喉頭・胆嚢・腎・腎盂尿管がん」の3年生存率の集計も発表された。  これは同センターが、全国のがん診療連携拠点病院などから収集した院内がん情報を用い、(1)2012年に診断された患者の3年を経過した生存率(2012年3年生存率集計)と、(2)2009年、2010年に診断された患者につき、治癒の目安とされる5年を経過した生存率(2009年から10年5年生存率集計)を報告書にまとめ、同センターのウェブサイトで公開したもの。

アントラサイクリンの心毒性、運動で予防できるか

 アントラサイクリン系薬に関連した心毒性(ARC)への予防戦略として、運動介入の有効性を検討する無作為化試験が行われるようだ。アントラサイクリン系薬は乳がんの治療によく用いられるが、心毒性の累積リスクとも関連している。そのため心臓への影響を最小化する予防戦略が必要で、非薬理学的アプローチとして運動が提案されていた。しかし、これまで行われてきたのはほとんどが動物実験によるもので、患者において有効性が示された研究はわずかで限られていた。ポルトガル・Universidade da Beira InteriorのPedro Antunes氏らが、「ARCを軽減する運動の有効性をよりよく理解するためには、実臨床において正確かつ有用なバイオマーカーを用いた大規模な研究が必要である」として現在、バイオマーカーの連続測定と画像検査により心機能を調査する臨床研究を行っているという。そのプロトコルについて発表した。Trial誌2019年7月号掲載の報告。