外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

プラチナ治療歴のある進行TN乳がんの維持療法、オラパリブ±デュルバルマブが有効(DORA)

 プラチナ製剤ベースの化学療法に感受性のある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する維持療法として、オラパリブ±デュルバルマブの有効性を検討した第II相DORA試験において、デュルバルマブ併用/非併用のいずれの群も化学療法による維持療法のヒストリカルコントロールより無増悪生存期間(PFS)が長く、BRCA野生型プラチナ製剤感受性の進行TNBCの患者集団において、化学療法なしの維持療法で持続的な病勢コントロールが可能なことが示唆された。シンガポール・国立がんセンターのTira J. Tan氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2024年1月18日号で報告した。

外科手技に着想を得たレシピ集公開/ゲティンゲ

 ゲティンゲは1月11日付のプレスリリースにて、外科手技に着想を得た「The Heart Surgeon's Cookbook―心臓血管外科医のレシピ集―」の公開を発表した。この料理本は心臓血管外科・胸部外科医のNirav Patel氏とニューヨークのミシュラン二つ星レストランAskaの創設オーナーFredrik Berselius氏のコラボレーションによるもので、本書を通じ、心臓血管外科医のスキルの高さに焦点を当て、心臓血管外科における人材育成の課題を啓発することを目的としている。  料理本に含まれる9つのレシピでは、外科医の手技やメンタルコントロールの向上効果を狙った手術室外で取り組める意外性と遊び心のある訓練法が提案されている。各レシピは、精緻な切開、狭い箇所への注入、縫合、解剖、反復など、繊細な手先の動きと集中力を試す内容となっている。

HR+HER2-進行乳がん、パルボシクリブ+タモキシフェンが治療選択肢に/ファイザー

 ファイザーは1月15日付のプレスリリースにて、パルボシクリブの添付文書が改訂されたことを発表した。ホルモン受容体(HR)陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)の進行または転移乳がん患者へのパルボシクリブとタモキシフェン併用投与の有効性と安全性を検討した第III相試験(PATHWAY試験)の結果に基づくもので、これにより、パルボシクリブとタモキシフェンとの併用が新たな治療選択肢となる。  パルボシクリブはこれまで、レトロゾールまたはフルベストラントとの併用投与の成績に基づいて承認されており、タモキシフェンとの併用における有効性や安全性は確立されていなかった。またアジア地域では欧米に比べ、全乳がんのうち閉経前乳がんの占める割合が多く、治療選択肢が十分でない状況があった。

黒砂糖、がん発症を抑制か~J-MICC研究

 黒砂糖にはミネラル、ポリフェノール、ポリコサノールが多く含まれているが、黒砂糖が健康に役立つと評価した疫学研究はほとんどない。今回、鹿児島大学の宮本 楓氏らが、長寿者の割合が比較的高く黒砂糖をおやつにしている奄美群島の住民を対象としたコホート研究を実施したところ、黒砂糖摂取ががん全体、胃がん、乳がんの発症リスク低下と関連することが示された。Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition誌2023月12月号に掲載。

乳がん脳転移例、全脳照射前のBEEPで脳特異的PFS改善

 脳転移を有する乳がん患者において、ERBB2(HER2)サブタイプにかかわらず、ベバシズマブ+エトポシド+シスプラチン(BEEP)導入療法を行ってから放射線の全脳照射を行った場合、全脳照射のみの場合よりも脳特異的無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことを、国立台湾大学病院のTom Wei-Wu Chen氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2023年12月21日号掲載の報告。  近年、乳がんに対する薬物療法は目覚ましい進歩を遂げており、術後再発や遠隔転移のコントロールが良好になっている。しかし、脳転移に奏効する薬剤は乏しく、治療の評価は確立していない。そこで研究グループは、BEEP導入療法を追加することで、全脳照射後の脳特異的PFSが改善するかどうかを検討するため、多施設共同無作為化非盲検試験を実施した。

炎症性乳がんへのNAC、1ラインvs.2~3ラインで転帰の差は

 多くのStageIII炎症性乳がん患者は、第1選択治療として術前化学療法(NAC)を受け、十分な反応を示し手術可能となるが、追加のNACが必要となるケースもある。米国・ハーバード大学医学大学院のFaina Nakhlis氏らは、1ラインvs.2~3ラインのNACを受けた患者における臨床転帰を評価した。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年12月28日号への報告。  2施設において、1ラインまたは2~3ラインのNACを受けたStageIII炎症性乳がん患者が特定された。ホルモン受容体とHER2の状態、グレード、および病理学的完全奏効(pCR)が評価され、乳がんのない生存期間(BCFS)および全生存期間(OS)はKaplan-Meier法により評価された。多変数Coxモデルを用いてハザード比(HR)が推定された。

閉経後HR陽性早期乳がんでは放射線療法を省略可能か

 ホルモン受容体(HR)陽性早期乳がんの診断を受けた50〜60代の閉経後の女性では、乳房温存術後に放射線療法を省略しても、5年間の再発リスクは非常に低いことが示された。米エモリー大学医学部放射線腫瘍学主任教授で同大学ウィンシップがん研究所のReshma Jagsi氏らによるこの研究結果は、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2023、12月5〜9日、米サンアントニオ)で発表されるとともに、「Journal of Clinical Oncology」に12月7日掲載された。  通常、HR陽性乳がんと診断された閉経後の女性は、乳腺腫瘤摘出術を受けた後に、放射線療法とホルモン療法を併用する。しかし最近の研究では、65歳以上の患者は、放射線療法省略してもそれを受けた場合と同等の転帰をたどる可能性が示唆されている。Jagsi氏らは今回の研究で、それよりも若い女性でも同じように放射線療法を省略できるかどうかを検討した。

大腸がんスクリーニングのための多標的便RNA検査―便潜血反応と比較して(解説:上村直実氏)

大腸がんは肺がんの次にがん死亡者数が多い疾患であり、世界的に早期発見のための検診が盛んに行われている。通常、1次検診では免疫学的便潜血検査(FIT)を用いた判定法が頻用されているが、さらに精度の高い検査法が探求されている今回、大腸内視鏡検査を行った症例8,000人以上を対象として、便中の多標的RNA検査(ColoSense)とFIT両群の感度と特異度を比較した無作為比較試験の結果が、2023年11月のJAMA誌に掲載された。大腸がんおよび進行腺腫に対するColoSenseの感度がFITに比べて有意に高い結果であり、著者らは、今後、通常のFITに代わりうる検査法として期待されると結論付けている(*欧米と日本における大腸がんの定義は少し異なっており、日本における病理診断では粘膜内がんと診断される病変は、欧米ではがんではなく進行腺腫とされることに注意が必要である)。

術後せん妄予防に対するスボレキサント+ラメルテオンの有効性

 スボレキサントとラメルテオンは、術後せん妄の予防に有用であると報告されている。これまでの研究では、せん妄誘発リスクと関連するベンゾジアゼピン系睡眠薬との比較が報告されているが、睡眠薬未使用患者との比較は、これまで報告されていなかった。静岡がんセンターの池内 晶哉氏らは、がん患者において、術前にスボレキサントとラメルテオンの併用投与を行った場合と睡眠薬未使用の場合を比較し、術後せん妄の発生率を評価した。Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences誌2023年12月1日号の報告。