外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

セファゾリンやダビガトラン、重大な副作用追加などで添付文書改訂/厚労省

 厚生労働省は8月29日、セファゾリンやダビガトランなど6つの医薬品の添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。  セファゾリンNa水和物(商品名:セファメジンα筋注用0.25g ほか)とセファゾリンNa(同:セファゾリンNa点滴静注用1gバッグ「オーツカ」 ほか)において、アレルギー反応に伴う急性冠症候群の国内症例(7例[死亡0例])を評価した結果、本剤とアレルギー反応に伴う急性冠症候群との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、副作用の項に『重大な副作用』を新設した。

ビタミンD、p53免疫反応性の消化管がんの再発/死亡を抑制

 最近発表された無作為化試験のメタ解析では、ビタミンD3補充ががん死亡率に有益な影響を与えることが明らかになっている。今回、東京慈恵会医科大学の菅野 万規氏らの研究で、p53免疫反応性を有する消化管がん患者において、ビタミンD補充が再発/死亡リスクを低下させることが明らかになった。JAMA Network Open誌2023年8月22日号に掲載。

過去10年間、日米間の抗がん剤ドラッグラグはどのくらいか

 抗がん剤の日米間のドラッグラグに関する既存の研究や統計では、ドラッグラグは減少したとするものもあるが、一方で日本では未承認の薬剤が多く残されている。北里大学の立花 慶史氏らは、未承認薬がドラッグラグに与える影響を定量化することを目的とした研究を行い、結果をInternational Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年8月10日号に報告した。  本研究では、2011~22年の間に米国で承認された抗がん剤136品目の情報が収集された。米国での承認日から日本での承認日までの日数として定義される承認ラグをすべての選択された薬剤について算出し、中央値をKaplan-Meier法で算出した。なお、日本で承認されていない医薬品の承認ラグについては、打ち切りデータとして扱った。承認ラグと関連する可能性のある因子を、Cox回帰分析を用いて検討した。

飲酒で発症リスクが上がるがん、下がるがん~女性80万人の前向き研究

 アルコール摂取は一部のがん発症リスクの増加や減少に関連していると考えられている。今回、英国・オックスフォード大学のSarah Floud氏らが、前向き研究であるUK Million Women Studyで調査したところ、アルコール摂取量が増えると、上部気道・消化管がん、乳がん、大腸がん、膵臓がんのリスクが増加し、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫のリスクが低下する可能性が示された。また、この関連は、上部気道・消化器がんを除いて、喫煙、BMI、更年期ホルモン療法による変化はなかった。BMC Cancer誌2023年8月16日号に掲載。

Luminal A乳がん、温存術後の放射線療法は省略可?/NEJM

 T1N0(腫瘍径2cm未満、リンパ節転移陰性)、Grade1/2のLuminal Aタイプ乳がんで、乳房温存手術を行った55歳以上の患者において、術後放射線療法を実施しない場合でも5年局所再発率は2.3%と低かったことが、カナダ・Hamilton Health SciencesのTimothy J. Whelan氏らが500例を対象に行った前向きコホート試験の結果で示された。術後放射線療法は、乳房温存手術後の局所再発リスクを低減するために行われるが、利便性が低く、高額で、短期・長期の副作用を伴う。臨床病理学的因子のみでは、放射線療法の省略が可能な局所再発リスクが低い女性の同定に有用ではない。分子的に定義された乳がんの内因性サブタイプは、付加的な予後情報を得られる可能性があることから、本試験が行われた。NEJM誌2023年8月17日号掲載の報告。

HER2+転移乳がん1次治療、抗HER2療法に抗がん剤は必要か(PERNETTA試験)

 HER2陽性の転移を有する乳がん(MBC)に対する1次治療は、ペルツズマブ+トラスツズマブ+タキサン系抗がん剤の併用療法が推奨されているが、即時に化学療法を行わないペルツズマブ+トラスツズマブのみであっても有効性が示されている。そこで、スイス・Cantonal Hospital St GallenのJens Huober氏らが化学療法を併用した場合としなかった場合の全生存(OS)率や安全性などの検討を行った結果、化学療法併用群のほうが無増悪生存期間(PFS)は長いものの、2年OS率は同等であったことを明らかにした。JAMA Oncology誌2023年8月10日号掲載の報告。  本試験は、フランス27施設、スイス20施設、オランダ9施設、ドイツ1施設で実施された多施設共同無作為化オープンラベル第II相試験の2次解析。HER2陽性のMBC患者210例を、ペルツズマブ+トラスツズマブ投与群(PT群)とペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセルまたはビノレルビン投与群(化学療法併用群)に無作為に割り付けた。両群ともに病勢進行時は2次治療としてT-DM1による治療を実施した。評価項目は、2年OS率、1次治療のPFS、2次治療のPFS、QOLであった。

HER2陰性の切除不能/転移乳がん、3分の2がHER2低発現/ESMO Open

 現在、乳がん患者の約8割はHER2陰性(IHC 0、1+、もしくはIHC 2+かつISH-)に分類される。これまでの研究ではその約6割がHER2低発現(IHC 1+、もしくはIHC 2+かつISH-)と報告されている。最近、HER2低発現の切除不能/転移乳がんの治療にトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が承認され、HER2低発現とIHC 0の識別が重要になっている。今回、イタリア・European Institute of OncologyのGiuseppe Viale氏らの国際多施設共同後ろ向き研究で、過去にHER2陰性の切除不能/転移乳がんを診断された患者のサンプルを、HER2検査のトレーニングを受けた病理医が再検査したところ、約3分の2がHER2低発現と判定された。ESMO Open誌2023年8月9日号に掲載。

ハイパーサーミア診療ガイドラインで各がん種の治療推奨度を明確に

 『ハイパーサーミア診療ガイドライン』の初版が発刊された。今回、ガイドライン作成委員会委員長の高橋 健夫氏(埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科)に実臨床におけるハイパーサーミアの使用経験や推奨されるがん種などについて話を聞いた。  ハイパーサーミアとは39~45℃の熱を用いた温熱療法のことで、主に放射線治療や化学療法の治療効果を高める目的で用いられている。その歴史は意外にも古く、1980年代に放射線治療の補助療法として導入、1990年代には電磁波温熱療法として保険収載され、その臨床実績は30年以上に及ぶ。本治療は、生体では腫瘍のほうが正常組織よりも温度上昇しやすい点を応用した“43℃以上での直接的な殺細胞効果”が報告されているほか、抗がん剤の細胞膜の透過性亢進、熱ショックタンパク質を介した免疫賦活などの生物学的なメリットなどが示されている。しかし、どのような患者に優先的に勧めるべきか明確に示した指針は認められない、実施可能施設の少なさ、専門的な知識や経験を有するハイパーサーミア治療医が限れているなどの点から認知度がまだまだ低い治療法である。そこで日本ハイパーサーミア学会では2017年にガイドライン作成委員会が発足し、約7年の時を経てガイドラインの発刊に至った。

成人の胸腺摘出、全死亡・がんリスクが増加/NEJM

 胸腺摘出を受けた患者は摘出を受けなかった対照群よりも、全死因死亡およびがんリスクが高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のKameron A. Kooshesh氏らによる検討で示された。また、術前感染症、がん、自己免疫疾患を有する患者を除外した解析では、胸腺摘出は自己免疫疾患のリスクを増大すると思われる関連性もみられたという。成人における胸腺の機能は明らかになっていないが、さまざまな外科手術でルーチンに摘出が行われている。研究グループは、成人の胸腺は、免疫機能と全般的な健康の維持に必要であるとの仮説を立て、疫学的・臨床的・免疫学的解析評価で検証した。NEJM誌2023年8月3日号掲載の報告。

転移乳がんへのT-DXd、有効性に関わる因子はあるか(DAISY)

 HER2発現レベルに従って転移乳がん患者におけるT-DXdの有効性を評価し、複数時点での腫瘍検体のバイオマーカー分析を通じて治療反応と治療耐性に関わる因子を調査することを目的とした第II相DAISY試験の結果を、フランス・Gustave RoussyのFernanda Mosele氏らがNature Medicine誌オンライン版2023年7月24日号に報告した。  参加者はベースライン時のバイオプシー結果に基づき、HER2高発現群(IHC 3+またはISH+、72例)、HER2低発現群(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+、74例)、およびHER2陰性群(IHC 0、40例)に割り付けられた。