外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:34

乳がん術後妊娠希望で内分泌療法を一時中断、再発リスクは?/NEJM

 ホルモン受容体陽性の早期乳がん既往患者(42歳以下等の条件あり)において、妊娠を試みるための内分泌療法の一時的な中断は、乳がんイベントの短期リスクを増大しなかったことを、米国・ダナファーバーがん研究所のAnn H. Partridge氏らが報告した。これまで乳がん後に妊娠を試みるために内分泌療法を一時中断した女性の、再発リスクに関する前向きデータは不足していた。今回の結果を踏まえて著者は、「長期安全性の情報を確認するために、さらなる追跡調査が必要である」とまとめている。NEJM誌2023年5月4日号掲載の報告。

術後せん妄予防にメラトニン投与が有望~メタ解析

 術後せん妄は、死亡率に影響を及ぼす問題である。その多くは予防可能であり、予防薬としてメラトニン投与が有望であるといわれている。英国・Bristol Royal InfirmaryのJonathan Barnes氏らは、術後せん妄の予防におけるメラトニンの有効性に関する最新のエビデンスのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、メラトニンは、成人の術後せん妄発生率を低下させる可能性が示唆された。BMJ Open誌2023年3月29日号の報告。

AI耐性HR+進行乳がんへのcapivasertib上乗せによるPFS改善、サブグループ解析結果(CAPItello-291)/ESMO BREAST 2023

 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん(切除不能の局所進行乳がんもしくは転移・再発乳がん)に対するフルベストラントへのAKT阻害薬capivasertibの上乗せ効果を検討した第III相CAPItello-291試験。その探索的サブグループ解析の結果、CDK4/6阻害薬治療歴、進行がんへの化学療法歴、肝転移の有無にかかわらず、PFSの改善が示された。英国・The Royal Marsden Hospital-ChelseaのNicholas Turner氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2023、5月11~13日)で報告した。

血液検査によるがんの早期発見、予備的研究で有望な結果

 実験段階にある血液検査によって、これまで発見することが難しかったがん種を含むさまざまな種類のがんを高い精度で発見できる可能性のあることが、米ヴァンダービルトがんセンターのBen Ho Park氏らによる予備的研究で示された。この研究結果は、米国がん学会(AACR 2023、4月14~19日、米オーランド)で発表された。  今回のPark氏らの研究は、一度に複数の種類のがんのスクリーニング方法となり得る血液検査の開発に向けた取り組みとしては最新のものだ。これ以外にも現在、数多くの企業がこうした「多がん早期検出(multicancer early detection;MCED)」技術の開発を進めている。

採血時間が入院患者の睡眠不足に影響か

 早朝の採血は入院患者の睡眠に有害な影響を与えるが、それは依然として一般的な医療行為として行われている。そこで米国・イェール・ニューヘブン病院のCesar Caraballo氏らは、早朝採血の実施割合を調査したところ、午前4:00~6:59までの時間帯に最も行われ、採血の10分の4近くを占めていたことが明らかになった。ただし、本研究の終盤には採血時間がわずかだが遅くなっていた。JAMA誌オンライン版2023年1月17日号のリサーチレターでの報告。

大量輸血の外傷患者、4F-PCCの有効性認められず/JAMA

 大量輸血のリスクがある外傷患者において、高比率輸血戦略に4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤(4F-PCC)を追加しても24時間の血液製剤消費量の有意な減少は認められず、血栓塞栓イベントの発生が有意に増加した。フランス・グルノーブル・アルプ大学のPierre Bouzat氏らが「PROCOAG試験」の結果を報告した。外傷性出血における最適な輸血戦略は不明である。最近の観察研究では、4F-PCCの早期投与と新鮮凍結血漿(FFP)の併用により、血栓塞栓イベントが増加することなく血液製剤の消費量と死亡率が低下することが示されていた。今回の試験を受けて著者は、「大量輸血のリスクを有する患者における4F-PCCの使用は支持されない」とまとめている。JAMA誌2023年4月25日号掲載の報告。

閉経後HR+乳がんの術後アナストロゾール、10年vs.5年(AERAS)/JCO

 閉経後ホルモン受容体(HR)陽性乳がん患者に対する術後のアロマターゼ阻害薬の投与期間について、5年から10年に延長すると無病生存(DFS)率が改善することが、日本の多施設共同無作為化非盲検第III相試験(N-SAS BC 05/AERAS)で示された。岩瀬 拓士氏(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)らによる論文が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年4月20日号に掲載された。

乳がんに関わる質問にChatGPTは正確にアドバイスできるのか

 話題の対話型人工知能(AI)サービス「チャットGPT(ChatGPT)」は、乳がんに関わる質問の多くに信頼性のある回答を示せるが、まだ医師の代わりになる段階には至っていないことが、新たな研究で示された。米メリーランド大学放射線診断学・核医学助教のPaul Yi氏らが実施した研究で、詳細は「Radiology」に4月4日掲載された。  Yi氏らは、ChatGPTの最大の弱点として、ChatGPTから得られる情報が必ずしも信頼できるものではないこと、あるいはごく限られた部分の情報であることを挙げている。また、それを理由に、少なくとも現時点では、健康・医療に関する質問は人間の医師に対してすべきだとの見解を示している。

スタチンでアジア人乳がん患者のがん死亡リスク低下

 スタチン製剤を服用しているアジア人の乳がん患者では、スタチンを服用していない乳がん患者と比べて、がん関連の死亡リスクが有意に低かったことを、台湾・国立成功大学のWei-Ting Chang氏らが明らかにした。なお、心血管疾患による死亡リスクには有意差はなかった。JAMA Network Open誌4月21日号掲載の報告。  スタチンは化学療法と併用することで、がんの進行や微小転移を抑制することが報告されていて、乳がんの再発リスクを低減させる可能性が示唆されている。しかし、欧米の乳がん患者とは異なり、アジアの乳がん患者は診断時の年齢が比較的若く、ほとんどが心血管リスク因子を有していないため、スタチンの服用によって生存率が改善するかどうかは不明である。そこで研究グループは、アジア人の乳がん患者において、スタチン使用とがんおよび心血管疾患による死亡リスクとの関連を後方視的に調査した。

若年乳がん患者、出産は予後に影響するのか~日本の傾向スコアマッチング研究

 若年乳がん患者の出産に関するこれまでの研究は潜在的なバイアスがあり不明な点が多い。今回、聖路加国際病院の越智 友洋氏らが傾向スコアマッチングを用いて、乳がん診断後の出産が予後に及ぼす影響を検討した結果、出産により再発や死亡リスクは増加しないことが示唆された。Breast Cancer誌2023年5月号に掲載。  本研究は、単施設での後ろ向きコホート研究で、2005~14年に乳がんと診断された45歳以下の患者を対象とし、診断後に出産した患者(出産コホート)104例と出産していない患者(非出産コホート)2,250例で無再発生存率(RFS)および全生存率(OS)を比較した。傾向スコアモデルの共変量は、年齢、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、乳がん診断前の分娩回数、エストロゲン受容体およびHER2の発現状態とした。