外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:35

CAT対策は重要!(解説:後藤信哉氏)

日本の死因の第1位は悪性腫瘍である。悪性腫瘍治療の選択肢は増えた。抗がん剤治療では体内で腫瘍細胞が壊れることになる。組織の壊れたところでは血栓ができやすい。Cancer Associated Thrombosis(CAT)対策は日本でも真剣に考える必要がある。いわゆるDOACは使いやすい。心房細動の脳卒中治療でも、凝固異常を合併しない静脈血栓でも広く使用されている。本研究ではevidenceの豊富な低分子ヘパリンとDOACの比較試験を行った。

早期乳がんの死亡率、どのくらい下がったのか/BMJ

 英国・オックスフォード大学のCarolyn Taylor氏らは、National Cancer Registration and Analysis Service(NCRAS)のデータを用いた観察コホート研究を行い、早期浸潤性乳がん女性の予後は1990年代以降大幅に改善され、ほとんどの人が長期がんサバイバーとなっているものの、依然として少数例で予後不良リスクが伴うことを報告した。早期浸潤性乳がん診断後の乳がん死亡リスクは、過去数十年間で低下しているが、その低下の程度は不明であり、また低下は特定の特性を持つ患者に限定されるのか、すべての患者に当てはまるのか不明であった。BMJ誌2023年6月13日号掲載の報告。

転移乳がんへのカペシタビン、固定用量vs.標準用量(X-7/7)/ASCO2023

 転移を有する乳がん(MBC)患者を対象としたX-7/7試験において、カペシタビンの固定用量(1,500mg 1日2回 7日間投与後7日間休薬)は、体表面積に基づく用量(1,250mg/m 1日2回 14日間投与後7日間休薬)と比較して、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)に差はなく、手足症候群などの有害事象の発生率が低かったことを、米国・カンザス大学がんセンターのQamar J. Khan氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

がん遺伝子検査、よく受けるがん種・人種は?/JAMA

 米国・スタンフォード大学のAllison W. Kurian氏らは、2013~19年に同国カリフォルニア州とジョージア州でがんと診断された患者のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けた患者の割合が6.8%とごくわずかであり、非ヒスパニック系白人に比べ、黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者ではより低いことを示した。同検査は遺伝性のがんリスクを明らかにし、遺伝学的な標的治療を可能にすることで、がん患者の生存率を向上させるが、米国ではどのくらいの患者が受けているかは、これまで知られていなかった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月5日号で報告された。

局所進行大腸がんにおける、術前化学療法の有用性は?(NeoCol)/ASCO2023

 局所進行大腸がん初回治療の標準治療は切除と術後補助化学療法だが、ほかのがん種で広がる術前化学療法は有効なのか。この点について検討したランダム化比較第III相NeoCol試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、デンマーク・Danish Colorectal Cancer Center SouthのLars Henrik Jensen氏が発表した。

がん患者のVTE再発予防、DOAC vs.低分子ヘパリン/JAMA

 静脈血栓塞栓症(VTE)を有した成人がん患者のVTE再発予防に関して、追跡期間6ヵ月にわたり、直接経口抗凝固薬(DOAC)は低分子ヘパリン(LMWH)に対して非劣性であったことが、米国・ハーバード大学医学大学院のDeborah Schrag氏らによる検討で示された。著者は、「この結果は、がん患者のVTE再発予防に対してDOACの使用を支持するものである」とまとめている。VTEを有するがん患者のVTE再発予防にはLMWHの長期投与が推奨されており、DOACの有効性との比較は検討されていなかった。JAMA誌2023年6月2日号掲載の報告。

TN乳がんのHER2発現状況、生検時期によって変動/ASCO2023

 HER2の発現状況は変動的であり、HER2低発現ではないIHC 0のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者が病勢進行時に生検を繰り返し行うことでHER2低発現となる可能性があることを、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、米国・マサチューセッツ総合病院のYael Bar氏が発表した。  第III相DESTINY-Breast04試験サブグループ解析において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)はTNBCを含むHER2低発現で転移を有する乳がん患者の無増悪生存期間と全生存期間を有意に改善した。しかし、T-DXdのFDA承認はHER2低発現であってTNBCではないため、HER2低発現かどうかを特定することは臨床的に重要である。

HR+/HER2-転移乳がんへのSG、より長い追跡期間でも有用性持続(TROPiCS-02)/ASCO2023

 複数の治療歴があるHR+/HER2-転移乳がん患者に対して、sacituzumab govitecan(SG)を医師選択治療(TPC)と比較した第III相TROPiCS-02試験において、SGが無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善し、HER2低発現例においても改善がみられたことがすでに報告されている。今回、探索的解析として、より長い追跡期間(12.75ヵ月)におけるPFSとOS、さらにHER2低発現におけるPFSとOSの解析結果を、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

転移乳がんへのADC後のADC投与、交差耐性の可能性/ASCO2023

 米国では転移を有するHR+/HER2-およびトリプルネガティブ(TN)乳がんにsacituzumab govitecan(SG)が、またHER2低発現乳がんにトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が承認され、複数の抗体薬物複合体(ADC)が適応となる患者が増えている。しかし、ADCは抗体標的やペイロードにより交差耐性の可能性があるため、最適な投与順序は不明である。今回、転移を有するHER2-乳がんに対して調査したところ、2剤目のADCに対して交差耐性を示す患者がいる一方、1剤目と抗体標的が異なる場合など、2剤目でも持続的な奏効を示す患者もいることがわかった。米国・Massachusetts General Hospital Cancer CenterのRachel Occhiogrosso Abelman氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で報告した。

HR+/HER2-進行乳がんへのパルボシクリブ、2次治療での継続は有効か(PALMIRA)/ASCO2023

 HR+/HER2-進行乳がん1次治療でパルボシクリブ+内分泌療法で奏効後に進行した患者の2次治療において、パルボシクリブを1次治療と異なる内分泌療法(2次内分泌療法)と併用しても、2次内分泌療法単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善しなかったことが第II相PALMIRA試験で示された。スペイン・Medica Scientia Innovation Research(MEDSIR)のAntonio Llombart-Cussac氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。