既治療の転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対してペムブロリズマブを化学療法と比較したKEYNOTE-119試験では、主要評価項目である全生存期間がペムブロリズマブは化学療法と同等であったが、ペムブロリズマブの治療効果はPD-L1発現レベルが高いほど大きかったことが報告されている。今回、本試験における健康関連QOLを解析した結果、臨床アウトカムと一致しており、PD-L1陽性スコア(CPS)10以上の患者の結果に左右されるようであると英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University of LondonのPeter Schmid氏らが報告した。European Journal of Cancer誌2023年12月号に掲載。
本試験は、対象患者をペムブロリズマブ群(3週ごと200mgを静脈内投与、最大35サイクル)と医師選択治療群に1対1で無作為に割り付けた。事前に規定された探索的評価項目は、健康関連QOL(EORTC QLQ-C30、QLQ-BR23)のベースラインからの変化と有用性(EQ-5D-3L)であった。悪化するまでの期間(time to deterioration:TTD)は、治療開始から最初に10点以上悪化するまでの期間とした。
主な結果は以下のとおり。
・健康関連QOLはPD-L1 CPSが10以上の187例を解析した。
・ベースラインから6週時点(主要解析時)までの変化は、QLQ-C30 GHS/QoL(最小二乗平均スコアの群間差:4.21、95%信頼区間:-1.38~9.80)、QLQ-C30の機能尺度(身体、役割、認知、社会)、QLQ-C30の症状尺度/項目(疲労、悪心/嘔吐、呼吸困難、食欲不振)、QLQ-BR23の症状尺度/項目(全身療法による副作用、脱毛による動揺)において、化学療法よりペムブロリズマブで良好だった。
・TTD中央値は、QLQ-C30のQHS/QoL(4.3ヵ月vs.1.7ヵ月)、QLQ-C30の悪心/嘔吐(7.7ヵ月vs.4.8ヵ月)、QLQ-BR23の全身療法による副作用(6.1ヵ月vs.3.4ヵ月)において、化学療法よりペムブロリズマブのほうが長かった。
・その他の健康関連QOLの評価項目は、治療による差がほとんど認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)