外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:63

早期乳がんの術後トラスツズマブは6ヵ月で十分か?~メタ解析/ESMO2021

 HER2陽性早期乳がん患者に対するトラスツズマブ単剤での術後補助療法の無浸潤疾患生存期間(iDFS)について、これまでの無作為化非劣性試験の個々の患者データを用いてメタ解析を実施した結果、標準である12ヵ月投与に対して6ヵ月投与での非劣性が示された。英国・Cambridge University Hospitals NHS Foundation TrustのHelena M. Earl氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ上乗せ、CPS≧10でOS改善(KEYNOTE-355)/ESMO2021

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善した。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が、第III相KEYNOTE-355試験におけるOSの最終解析結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。

閉経後乳がん術後療法、タモキシフェン後のレトロゾール延長の効果は?(GIM4)/ESMO2021

 閉経後のホルモン受容体(HR)陽性乳がんの術後補助療法において、タモキシフェン2〜3年間投与後のレトロゾールの投与期間について、標準の2〜3年間に比べて5年間のほうが無浸潤疾患生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を有意に改善したことが、イタリア・Gruppo Italiano Mammella(GIM)によるGIM4試験で示された。IRCCS Ospedale Policlinico San MartinoのLucia Del Mastro氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。なお、この結果はLancet Oncology誌オンライン版2021年9月17日号に同時掲載された。

HR0.28、T-DXdがHER2+乳がん2次治療でT-DM1に対しPFS改善(DESTINY-Breast03)/ESMO2021

 トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果を発表した。  DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブとタキサンで以前に治療されたHER2+mBC患者におけるT-DXdとT-DM1の有効性と安全性を比較した多施設共同非盲検無作為化第III相試験。

コロナワクチン後の重篤疾患、接種3週までのリスクは?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン安全性サーベイランスデータの中間解析において、重篤な疾患の発生リスクはワクチン接種後1~21日間(リスク期間)と22~42日間(対照期間)とで有意な差はないことが示された。米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニアのNicola P. Klein氏らが、Vaccine Safety Datalink(VSD)に登録された620万人、1,180万回の接種に関するデータの解析結果を報告した。COVID-19ワクチンの安全性サーベイランスは、安全性の確保、信頼性の維持、および政策への情報提供に重要である。JAMA誌オンライン版2021年9月3日号掲載の報告。

がん薬物療法時の制吐目的のデキサメタゾン使用に関する合同声明/日本癌治療学会・日本臨床腫瘍学会

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、デキサメタゾン製剤の供給が不足している。2021年8月27日に厚生労働省から発出された「デキサメタゾン製剤の安定供給について」の通知を受け、新型コロナウイルス感染症患者およびがん患者の薬物療法に関して、9月9日、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会が合同声明文を発出した。  そのうち、がん患者の薬物療法に関する合同声明文では、がん患者の薬物療法に携わる医療関係者に対して、薬物療法によって発現する悪心・嘔吐(CINV)を制御するために使用されるデキサメタゾン製剤の適正使用およびデキサメタゾン内服薬の代替使用について、以下のように協力を呼びかけている。

閉経後乳がん術後内分泌療法の延長、5年vs.2年(解説:下村昭彦氏)

2021年7月末にABCSG-16(SALSA)試験の結果がNEJM誌に報告された。本試験は閉経後ホルモン受容体陽性乳がんを対象とし、5年の内分泌療法の後にアロマターゼ阻害薬であるアナストロゾールを5年追加する群と、2年追加する群にランダム化した試験である。主要評価項目はランダム化後2年時点で試験に参加継続していた集団における無病生存率(DFS)であり、ランダム化10年後において2年投与群で73.6%、5年投与群で73.9%(ハザード比0.99、95%信頼区間0.85~1.15、p=0.90)と有意差を認めなかった。副次評価項目の全生存率(OS)や対側乳がんの発症率も両群間に差を認めていない。その一方で、骨折リスク(こちらも副次評価項目)は5年群で有意に高かった。ホルモン受容体陽性ハイリスク症例に対する内分泌療法の延長はさまざまな試験が実施されている。ATLAS試験(Davies C, et al. Lancet. 2013;381:805-816. PMID: 23219286)ではタモキシフェンの10年投与が5年よりもDFSを改善することが示され、その効果は内服を中止する10年を超えても認められることが報告された。AI剤においても、MA.17R試験がタモキシフェン5年完了後のレトロゾール5年追加がDFSと対側乳がん発症を改善することを示している(Goss PE, et al. N Engl J Med. 2016;375:209-219. PMID: 27264120)。日本国内からも、N-SAS BC 05(AERAS)試験の結果が2018年のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表され、アナストロゾール(タモキシフェンからの切り替え含む)5年完了後のアナストロゾール5年追加がDFS、遠隔無病生存率を改善することが示されており、論文化が待たれる。

40代日本人女性、乳房構成ごとのマンモグラフィ+超音波の上乗せ効果

 現在、わが国における乳がん検診は、40歳以上に対する2年に1度の乳房X線検査(マンモグラフィ)が推奨されているが、高濃度乳房ではマンモグラフィによる精度低下が指摘されている。一方、超音波検査は乳房濃度に依存せず安価であり、乳がん検診への導入が期待されるが、有効性評価に関する研究は報告されていない。今回、40代の日本人女性を対象に、乳房構成ごとのマンモグラフィ+超音波検査併用による発見率・感度・特異度等を調べた大規模無作為化試験(J-START)の二次解析結果が報告された。東北大学の原田 成美氏らによるJAMA Network Open誌8月18日号への報告より。

日本人のがん患者の新型コロナウイルス抗体レベルは低いのか/JAMA Oncol

 がん患者における新型コロナ抗体レベルは健康成人と比べて低いのか。わが国のがん患者と、非がん罹患者としての医療者のあいだで、血清SARS-CoV-2抗体の状態を比較した国立がんセンター中央病院 矢崎 秀氏らの前向き研究が発表された。  対象は2020年8月3日~10月30日に、東京周辺の2つのがんセンターから、16歳以上のがん患者と医療者で前向きに登録された。  評価項目は、がん患者と医療者の血清有病率と抗体レベル。血清陽性の定義は、ヌクレオカプシドIgG(N-IgG)および/またはスパイクIgG(S-IgG)の陽性であった。がん患者は、薬物療法、外科手術、放射線療法などのがん治療を受けている。

アントラサイクリンベース化療中の乳がん、心保護薬の併用でLVEF低下を予防

 イタリア・フィレンツェ大学Lorenzo Livi氏らがアントラサイクリンベースの化学療法で治療を受けている乳がん患者の無症候性の心臓損傷を軽減できるかどうかを調査した結果、β遮断薬のビソプロロールやACE阻害薬のラミプリル(日本未承認)を投与することで、がん治療に関連するLVEF低下や心臓リモデリングから保護する可能性を示唆した。JAMA Oncology誌2021年8月26日号オンライン版ブリーフレポートでの報告。  本研究であるSAFE試験は、イタリアの8施設の腫瘍科で実施された多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験で、12ヵ月で心臓評価を完了した最初の174例に関する中間分析。対象者の募集は2015年7月~2020年6月の期間で、中間分析は2020年に実施された。