外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:69

高齢の早期乳がん患者への化学療法の効果は?

 高リスクの早期乳がんでは化学療法によりアウトカムが改善されるが、高齢者にはほとんど投与されない。今回、英国・The Royal Marsden Hospital NHS Foundation TrustのAlistair Ring氏らは、高齢の高リスク早期乳がん患者の化学療法による効果を検討したところ、転移を有する再発のリスクは化学療法で低下したが、生存期間延長が示されたのはエストロゲン受容体(ER)陰性乳がんのみであった。また、QOLへの影響は大きかったが一時的だった。British Journal of Cancer誌オンライン版2021年5月10日号に掲載。

monarchE試験で報告されたアベマシクリブの3つの重要なAE、その特徴と転帰/ESMO BREAST 2021

 monarchE試験において、ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の高リスク早期乳がんに対する術後内分泌療法(ET)とアベマシクリブの併用は、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の有意な改善を示した。同試験では、ET単独群と比較してアベマシクリブ併用群で静脈血栓塞栓症(VTE)、アミノトランスフェラーゼ上昇(EAT)、間質性肺疾患(ILD)が頻繁に報告されており、その特徴と転帰についての詳細解析結果を、京都大学の戸井 雅和氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。

高リスク早期乳がん術後内分泌療法へのアベマシクリブ追加、アジア人での解析(monarchE)/ESMO BREAST 2021

 高リスクのホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)早期乳がんの術後補助療法において、CDK4/6阻害薬アベマシクリブと内分泌療法(ET)併用は、アジア人集団においても無浸潤疾患生存期間(iDFS)と遠隔無転移生存期間(DRFS)を有意に改善することが認められた。monarchE試験におけるアジア人での解析結果を、シンガポール国立がんセンターのYoon-Sim Yap氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で発表した。

HER2+進行乳がんへのT-DXdによるILDの特徴/ESMO BREAST 2021

 既治療のHER2陽性進行乳がんに高い有効性を示すトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のリスクとして間質性肺疾患(ILD)がある。本剤の第I/II相試験で発現したILDの特徴を解析したところ、承認用量ではほとんどの場合、低Gradeで、治療開始から12ヵ月以内に発現し、12ヵ月を超えるとリスクが低下することがわかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCharles A. Powell氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。

乳房温存術が切除術より生存率が高いのは独立した効果か

 術後放射線療法を伴う乳房温存術が、放射線療法を伴わない乳房切除術より生存率が高いことがコホート研究で示されているが、独立した効果なのか、選択バイアスの結果なのかは不明である。今回、スウェーデン・Capio St Goran's HospitalのJana de Boniface氏らは、重要な交絡因子である併存疾患および社会経済的状態の補正後も、乳房温存術の生存ベネフィットがみられるかどうか検討した。JAMA Surgery誌オンライン版2021年5月5日号に掲載。  本研究は、前向きに収集されたスウェーデンの全国的なデータ(National Breast Cancer Quality Registerからの全国的な臨床データ、National Board of Health and WelfareのPatient Registersからの併存疾患データ、Statistics Swedenからの個人レベルの教育と収入のデータ)を使用したコホート研究。スウェーデンで2008~17年にT1-2 N0-2の浸潤性乳がんと診断され手術を受けたすべての女性を対象に、放射線療法ありの乳房温存術、放射線療法なしの乳房切除術、放射線療法ありの乳房切除術の3群に分け、全生存率(OS)と乳がん特異的生存率(BCSS)を比較した。

新規抗体薬物複合体SG、転移TN乳がんに有効/NEJM

 転移を有するトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、新規の抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab govitecan(SG)は化学療法単剤と比較して、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長した。ただし、骨髄抑制と下痢の発現頻度は、SGのほうが高かった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAditya Bardia氏らが、7ヵ国88施設で実施した無作為化評価者盲検第III相試験「ASCENT試験」の結果を報告した。SGは、乳がんの多くに発現しているヒト栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)を標的とするsacituzumabを、イリノテカンの活性代謝物SN-38(トポイソメラーゼI阻害薬)と独自の加水分解性リンカーを介して結合させた抗Trop-2 ADCで、これまで第I/II相試験で転移のある上皮がんにおける有効性、安全性が評価され、第III相試験実施を後押しする結果が得られていた。NEJM誌2021年4月22日号掲載の報告。

転移乳がんのOS、サブタイプ別の経年変化/ESMO Open

 転移を有する乳がん(MBC)の治療はこの10年で大きく進歩している。フランス・Gustave RoussyのThomas Grinda氏らが、全国的コホートであるESME(Epidemio-Strategy-Medico-Economical)-MBCのデータを用いて、2008~17年におけるMBCの全生存期間(OS)の変化をサブタイプ別に評価した結果、HER2陽性患者では改善し続けていることが示された。ESMO Open誌2021年4月22日号に掲載。  ESME-MBCでは、フランスのがんセンター18施設で2008年以降に治療を開始したすべてのMBC患者のデータを収集している。この研究では、全体(2万446例)およびサブタイプごとのOSを調査した。サブタイプ別の患者数は、ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)患者が1万3,590例、HER2陽性(HER2+)患者が3,919例、トリプルネガティブ(TNBC)患者が2,937例。MBC診断年などの共変量で多変量解析を実施し、経年的なOS改善の可能性、MBC診断後に新規上市薬剤が投与された割合を評価した。

食道がんの治療にニボルマブが大きな影響を与える可能性が示された(解説:上村直実氏)-1382

食道がんおよび胃食道接合部がんに対する治療は、進行度により内視鏡的切除術、外科的手術および化学放射線治療による集学的治療が行われる。Stage II/IIIすなわち外科的切除可能な食道がんおよび胃食道接合部がんに対する標準治療は、術前の化学放射線療法と根治的手術とされている。比較的予後が良いとされているStage II/IIIの食道がんであっても、術後に再発する症例が多く、補助療法が必要であるケースも多い。

全がん・がん種別の10年生存率を初集計/国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん登録情報を用いて、2008年に診断された患者の10年生存率を発表した。がん診療連携拠点病院等をはじめとする国内240施設約24万例の登録データを集計したもので、10年生存率が発表されるのは初、既存の10年生存率集計としては最大規模となる。  がん種別には、胃がん、大腸がん、肝細胞がん・肝内胆管がん、小細胞肺がん・非小細胞肺がん、女性乳がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮頸がん・子宮内膜がん、膀胱がん。肺がんや子宮がんをさらに分類した上で、Stage別のデータも集計された。

脊椎手術特化の手術支援ロボット承認/日本メドトロニック

 日本メドトロニック株式会社は、脊椎固定術の治療に併用される「Mazor X(マゾール エックス)ロボットシステム」(以下「本システム」という)の製造販売承認を2021年3月18日に取得したと発表した。  本システムは、手術計画の作成から術後のシミュレーションまでを一貫して提供する統合システムで、サージカルアームとナビゲーション技術の融合により、より高い精度での手術手技の実現と患者へのより良いアウトカムをもたらすことを目指している。