泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

PSMA標的治療薬ルテチウム-177、タキサン未治療の転移を有する去勢抵抗性前立腺がんでrPFS改善(PSMAfore)/ESMO2023

 タキサン未治療でアンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)治療歴のある、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性の転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617は別のARPIによる治療と比較して画像上の無増悪生存期間(rPFS)を改善し、良好な安全性プロファイルを示した。米国・メイヨー・クリニックのOliver Sartor氏が第III相PSMAfore試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。同試験については1次解析において主要評価項目(rPFS)の達成が報告されており(ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.29~0.56、p<0.0001)、今回は2次解析結果となる。

切除不能または転移を有する尿路上皮がん1次治療、化療へのニボルマブ追加でOS改善(CheckMate 901)/ESMO2023

 切除不能または転移を有する尿路上皮がんの1次治療として、シスプラチンベースの化学療法へのニボルマブの追加が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相CheckMate 901試験の結果を、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMichiel S. van der Heijden氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。なお本結果は、2023年10月22日にNEJM誌オンライン版へ同時掲載されている。 ・対象:シスプラチン適格、未治療の切除不能または転移を有する尿路上皮がん患者(18歳以上、ECOG PS 0~1)  ・試験群:ニボルマブ(360 mg、1日目)+ゲムシタビン(1,000mg/m2、1日目・8日目)+シスプラチン(70mg/m2、1日目)を3週ごとに最大6サイクルまで→ニボルマブ(480 mg)を4週ごとに疾患進行/許容できない毒性の発現または最大2年まで 304例 ・対照群:ゲムシタビン+シスプラチン 304例 ・評価項目: [主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるOS、PFS [副次評価項目]PD-L1≧1%におけるOS、PFS、健康関連QOL(HRQOL) [探索的評価項目]BICR による奏効率(ORR)、安全性 ・層別化因子:PD-L1発現状況(≧1% vs.

術前ICI+化学療法でcCRの膀胱がん、膀胱温存可能か?/Nat Med

 筋層浸潤性膀胱がんは、膀胱全体を摘出する膀胱全摘除術が標準治療とされているが、尿路変向の必要があり、合併症や死亡のリスクも存在する。抗PD-1抗体薬と化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)の併用による術前化学療法で膀胱がん患者の40~50%で病理学的完全奏効(pCR)が得られることが報告されているが、pCRは膀胱全摘除術後に判定する必要がある。そこで米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のMatthew D. Galsky氏らの研究グループは、術前化学療法により臨床的完全奏効(cCR)を達成した患者が安全に膀胱全摘除術を回避できるか検討した。その結果、cCRが得られた患者33例中32例が膀胱全摘除術を回避し、32例における2年無転移生存率は97%であり、膀胱温存の可能性が示された。

膀胱がんリスク、仕事での立位/歩行は座位より5割減~日本人集団

 身体活動と膀胱がんリスクとの関連については、アジア人集団では一貫していない。今回、大阪大学のHang An氏らが日本人の大規模コホートで検討したところ、とくに男性において、レクリエーションスポーツへの参加や仕事での立位/歩行の身体活動が膀胱がんリスクと逆相関していたことが示された。Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年10月6日号に掲載。  本研究は集団ベースの前向きコホート研究で、がん/心血管疾患の既往のない40~79歳の日本人5万374人について自己記入式質問票で身体活動に関する情報を取得し解析した。Cox比例ハザードモデルを用いて、潜在的交絡因子を調整後の膀胱がん発症のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

HIVの流行終結を目指す取り組みとは

 HIV感染症は、医療の進歩により、もはや死に至る病気ではなくなった。国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、2030年までにHIV流行を終結する目標を発表しており、HIV流行終結に向けた対策は世界的に推進されている。一方、日本においては、HIV/エイズの適切な予防・検査・治療の推進に加え、誤解の解消と正しい情報の提供が喫緊の課題とされている。2023年10月5日、「2030年までのHIV流行の終結に向けた道筋とは」をテーマとした、ギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーが開催された。

手術を頼むなら女性外科医、男性外科医?

 外科領域はいまだに男性中心の世界であるが、患者が手術後に長期にわたる良好な転帰を得たいのなら、女性外科医に執刀してもらうことが鍵であることを示唆する2件の研究結果が報告された。両研究とも、「JAMA Surgery」に8月30日掲載された。  1件目の研究は、トロント大学(カナダ)外科学分野のChristopher Wallis氏らが、2007年1月1日から2019年12月31日の間にカナダのオンタリオ州で実施された25種類の一般的な待機的手術または緊急手術を受けた成人患者116万5,711人を対象に、外科医の性別と術後90日および1年後の転帰(死亡、再入院、合併症の発生)との関連を検討したもの。

カボザンチニブ+アテゾリズマブ、去勢抵抗性前立腺がんのPFSを有意に改善/武田

 武田薬品工業は、既治療の転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、カボザンチニブ(商品名:カボメティクス)とアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の併用療法を評価する第III相CONTACT-02試験において、同併用療法が主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したと発表した。  CONTACT-02試験は、1種類の新規ホルモン療法による1回の前治療歴があるmCRPCを対象に、カボザンチニブとアテゾリズマブの併用投与を、2剤目の新規ホルモン療法(アビラテロン+プレドニゾンまたはエンザルタミド)と比較検討する国際共同臨床第III相ランダム化非盲検比較対照試験。主要評価項目はPFSおよびOSである。

がんに関する質問へのAIの回答は信頼できるのか

 人工知能(AI)は、特にがん治療に関しては、必ずしも正確な健康情報を提供するわけではない可能性が、2件の研究で示唆された。これらの研究は、がん治療に関するさまざまな質問に対してAIチャットボットが提供する回答の質を検討したもので、両研究とも「JAMA Oncology」に8月24日掲載された。  1件目の研究は、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院および米ハーバード大学ダナファーバーがん研究所のDanielle Bitterman氏らが実施したもので、2022年11月に発表されたChatGPTに焦点を当てたもの。研究グループは、ゼロショットプロンプティング(あらかじめ情報を伝えずに直接質問を提示すること)のテンプレートを4種類作成し、これを用いて、がん(乳がん、前立腺がん、肺がん)の診断に関する26種類の記述(がん種、がんの進展度などの情報を伴う場合と伴わない場合あり)に対して、計104個の質問を作成した。ChatGPTは2021年9月までの情報に基づくものであるため、ChatGPTの出した回答は、2021年の全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)ガイドラインと照合して、「治療法はいくつ提示されたか」などの5つの基準で評価し、4人のがん専門医のうちの3人の評価が一致した場合を、ガイドラインとChatGPTによる評価が一致したと見なした。

通院時間増で遺伝子異常にマッチした治験参加率が低下/国立がん研究センター

 病院までの移動時間によって、包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)検査後の遺伝子異常にマッチした治験参加率に差が出るという。国立がん研究センター中央病院 先端医療科の上原 悠治氏、小山 隆文氏らによる研究結果が、JAMA Network Open誌2023年9月15日号に掲載された。  研究者らは、病院(国立がん研究センター中央病院)までの移動時間または距離が、CGP検査後の遺伝子異常にマッチした治験参加率と相関するかを評価する、後ろ向きコホート研究を行った。

ブタの体内でヒトの発生初期の腎臓を作ることに成功

 さまざまな遺伝子工学の技術を用いて、ブタの体内で部分的にヒトの細胞を持つ発生初期の腎臓を作ることに初めて成功したと、中国の研究グループが「Cell Stem Cell」9月7日号に発表した。これは、臓器不足の問題を解決し、多くの人の命を救おうとするプロセスの第一歩となる研究成果といえよう。論文の上席著者で、中国科学院広州生物医薬・健康研究院のLiangxue Lai氏は、「ブタの体内でヒトの臓器を生成することの原理を実証したこの研究により、われわれの目の前には素晴らしい可能性が広がった」と話す。