泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

画像技術により前立腺がん放射線治療の安全性が向上か

 前立腺がんの放射線治療では、MR画像を用いてリアルタイムで腫瘍の位置や形状を確認して放射線照射を行うMR画像誘導即時適応放射線治療(MRg-A-SBRT)により、患者の短期的な副作用が有意に軽減することが、新たな研究で明らかにされた。米ハーバード大学医学大学院ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJonathan Leeman氏らによる研究で、詳細は「Cancer」に7月24日掲載された。  前立腺がんの放射線治療では、腫瘍に対して高線量の放射線をあらゆる方向からピンポイントで照射することで治療回数を減らす体幹部定位放射線治療(SBRT)の採用が増えている。SBRTでは、重度の副作用が生じることはまれではあるが、軽度から中等度の副作用については、他の放射線治療法よりも強まる可能性が指摘されている。一方、MRg-A-SBRTでは、MRIにより前立腺やリスクのある臓器がより明確に描出されるため、医師は、確認された変化に応じて患者の放射線治療計画を調整することができる。また、放射線が照射されている間に、前立腺の位置をリアルタイムでモニターすることも可能だ。MRg-A-SBRTの実施件数は増加傾向にあるものの、CTやフィデューシャルマーカーを用いる、より標準的な治療法(CT-SBRT)と比べて、治療成績や有害事象にどの程度の違いがあるのかは明確にされていない。

飲酒で発症リスクが上がるがん、下がるがん~女性80万人の前向き研究

 アルコール摂取は一部のがん発症リスクの増加や減少に関連していると考えられている。今回、英国・オックスフォード大学のSarah Floud氏らが、前向き研究であるUK Million Women Studyで調査したところ、アルコール摂取量が増えると、上部気道・消化管がん、乳がん、大腸がん、膵臓がんのリスクが増加し、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫のリスクが低下する可能性が示された。また、この関連は、上部気道・消化器がんを除いて、喫煙、BMI、更年期ホルモン療法による変化はなかった。BMC Cancer誌2023年8月16日号に掲載。

HIVはコンドーム無しのセックスでもうつりません―How low viral load is low enough for HIV zero transmission(解説:岡慎一氏)

HIVはセックスでうつるので、コンドームで予防しましょう。これは、わが国で40年間言われ続けている予防法である。「HIVが感染したのは、コンドームの使い方が悪かったからだ」と、使い方まで事細かに指導されてきた。しかし、感染は減らなかった。曝露前予防(PrEP)の有効性が確認されると、「PrEPでコンドームの使用が減るので、ほかの性感染症が増える」と、PrEPを批判する人まで出てくる始末である。コンドームを使うなとは言わないが、口からでもうつる梅毒はコンドームでは防げない。ほかの性感染症もしかり。この10年、HIV感染予防に有効なのは、コンドームではなく「治療でウイルス量を下げることだ」ということが、多くの臨床研究から明らかになってきた。

HIV感染者の心血管イベント、ピタバスタチンで35%減/NEJM

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者において、ピタバスタチンはプラセボと比較し、追跡期間中央値5.1年で主要有害心血管イベントのリスクを低下することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のSteven K. Grinspoon氏らが12ヵ国145施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「Randomized Trial to Prevent Vascular Events in HIV:REPRIEVE試験」の結果を報告した。HIV感染者は、一般集団と比較して心血管疾患のリスクが最大2倍高いことが知られており、HIV感染者における1次予防戦略に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年7月23日号掲載の報告。

1カ月の生活習慣改善で精液の質が向上する

 タバコやお酒を控えたり、熱がこもりにくいタイプの下着を履く、禁欲期間が長くならないようにするといった生活習慣の見直しによって、精液の質が改善する可能性を示す研究結果が報告された。不妊外来を受診した男性に対してこのような指導を行ったところ、約1カ月後に精子の運動能の有意な向上などが確認されたという。千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学・亀田IVFクリニック幕張の小宮顕氏らの研究によるもので、詳細は「Heliyon」に4月4日掲載された。  男性不妊の一因として不適切な生活習慣や慢性疾患の影響が関与していることが知られている。また、男性の生殖能力が低いことは、がんなどの疾患罹患や死亡リスクの高さ、あるいは生まれてくる子どもが早産や低出生体重児となるリスクの高さと関連しているとする報告もある。そのため、男性不妊のリスク因子の中で修正可能のものを早期に見いだして介入することが、不妊治療の成功とともに本人と子どもの健康につながる可能性もある。とはいえ、男性の生殖能力に影響を与える修正可能な因子へ介入することの効果は、いまだ明確になっていない。

腎細胞がん術後補助療法、エベロリムスは無再発生存期間を改善せず(EVEREST)/Lancet

 腎摘除術後の再発リスクが高い腎細胞がん患者において、術後補助療法としての哺乳類ラパマイシン標的タンパク質エベロリムスはプラセボと比較して、無再発生存期間を改善せず、Grade3/4の有害事象の頻度が高かったことが、米国・オレゴン健康科学大学Knightがん研究所のChristopher W. Ryan氏らが実施した「EVEREST試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2023年7月28日号で報告された。  EVEREST試験は、米国の398の大学および地域の研究センターで実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2011年4月~2016年9月の期間に患者の無作為化が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。

尿路上皮がんへのペムブロリズマブ、日本における市販後調査データ

 ペムブロリズマブはプラチナ製剤不応性の進行尿路上皮がん患者に対する2次治療として、本邦では2017年に保険承認されている。承認の根拠となった国際共同治験KEYNOTE-045試験では日本人の参加者数に限りがあったことから、日本人への有用性のデータが待たれていた。今回、筑波大学附属病院 腎泌尿器外科・西山 博之氏らによる全国規模の全例市販後調査(PMS)の結果が、BMC Cancer誌2023年6月20日号に掲載された。

1日3.4分の高強度の身体活動で、がんリスク17%減

 高強度の身体活動(Vigorous Physical Activity:VPA)は、がん予防のために推奨される身体活動(Physical Activity:PA)を達成するための効率のよい方法であるが、多くの人にとって継続のハードルが高い。「日常生活中の高強度の断続的な身体活動(Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity:VILPA)」を継続することで、がん発症のリスクを大幅に低下させる可能性があることが、新たな研究で明らかになった。オーストラリア・シドニー大学のEmmanuel Stamatakis氏らによる本研究の結果は、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月27日号に掲載された。

暑い季節になりやすい腎臓結石のリスクを下げる方法

 夏の暑い時期には、腎臓結石による耐え難い痛みが発症しやすい。ただし幸いなことに、水分摂取量を増やしたり、食生活を少し変えたりすることで、結石をできにくくすることが可能だ。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMegan Bollner氏は同大学発のリリースの中で、それらのヒントを紹介している。同氏は、「一度結石ができてしまうと10年以内に再発する確率が最大50%程度に上る。とはいえ、再発する腎臓結石の危険因子の多くは、自分自身でコントロールできるものだ。特に食習慣を変えることが、大きな違いを生む可能性がある」と話している。

HIV感染者からパートナーへの性感染、低ウイルス量ならほぼゼロ/Lancet

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者では、ウイルス量が低レベル(1,000コピー/mL未満)であれば、パートナーへのHIV性感染のリスクはほぼゼロであることが、米国・Global Health Impact GroupのLaura N. Broyles氏らの調査で示された。これにより、医療資源が限られた環境でHIVと共に生きる人(people living with HIV)のウイルス量検査へのアクセスが促進される可能性があるという。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月23日号で報告された。  研究グループは、HIVと共に生きる人やそのパートナー、医療従事者、より広く一般の人々へのメッセージの発信にとって有益な情報を提供するために、HIVのさまざまなウイルス量におけるHIV性感染のリスクに関するエビデンスを要約する目的で、系統的レビューを行った(ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成を受けた)。