救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:79

ポリミキシンB、重症敗血症性ショックの予後を改善せず/JAMA

 エンドトキシン活性が高い敗血症性ショックの患者において、ポリミキシンBによる血液灌流法(PMX-DHP)を標準治療に加えても、標準治療と比較して28日死亡率は低下しないことが、米国・Cooper University HospitalのR. Phillip Delinder氏らによる、多施設共同無作為化試験「EUPHRATES試験」の結果、示された。PMX-DHPは、敗血症における血中エンドトキシン濃度を低下させることが知られており、敗血症性ショックでエンドトキシン活性が高い患者に対するPMX-DHPを用いた治療は、臨床転帰を改善する可能性があると考えられていた。JAMA誌2018年10月9日号掲載の報告。

日本の高齢ドライバーの自動車事故死亡率

 近年、先進国では高齢ドライバーによる自動車事故が大幅に増加している。わが国の高齢ドライバーの自動車事故の傾向を京都府立大学の松山 匡氏らが日本外傷データバンク(Japan Trauma Data Bank: JTDB)を用いて調べたところ、65歳以上のドライバーによる自動車事故の割合は年々増加しており、75歳以上で院内死亡率が最も高いことがわかった。Medicine誌2018年9月号に掲載。

急性心筋梗塞、発症後早期のウエアラブル除細動器の効果/NEJM

 心筋梗塞(MI)を発症してから間もない駆出分画率35%以下の患者において、着用型自動除細動器(wearable cardioverter-defibrillator:WCD)の使用は、非使用者と比較して主要評価項目の90日時点の不整脈死リスクは有意に低下しなかった。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJeffrey E. Olgin氏らが、2,302例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年9月27日号で発表した。駆出分画率が低下したMI後の患者において突然死は高率に認められるが、植込み型除細動器は、発症後40~90日間は禁忌とされている。研究グループは、このハイリスク期間中の突然死発生をWCDが低減するのか検討した。

合成カンナビノイド関連凝固障害が米国で集団発生/NEJM

 2018年3~4月に、米国イリノイ州で合成カンナビノイドの使用に関連する凝固障害の患者が集団発生した。予備検査で抗凝固薬の混入の可能性が示されたため、確認検査を行い、患者データを再検討したところ、数種のスーパーワルファリンの混入が確かめられた。多くの患者は、ビタミンK1補充療法で症状が抑制されたが、合成カンナビノイド化合物の詳細は判明していないという。米国・University of Illinois College of Medicine at PeoriaのAmar H Kelkar氏らが、NEJM誌2018年9月27日号で報告した。

気泡音の聴取だけでは不確実? 胃管挿入の事故防止~医療安全調査機構

 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は、栄養剤投与目的に行われる胃管挿入による事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第6号)を公表した(9月25日)。胃管を用いた経鼻経管栄養は、本来侵襲が少なく、かつ簡便なために多くの症例に施行される。しかし、稀にではあるが、死亡事例の発生が報告されている。事故の発生を未然に防ぐため、誤挿入のリスク要因や挿入時の位置確認方法、合併症回避のための具体的対応などについて、以下の6つの提言が示された。

心肺停止後の生存率は日本が10%前後、欧米は60~70%

 2018年9月18日、フィリップス・ジャパンは、都内において同社が推進する「Heart safe city構想」に関する記者発表会を行った。この構想は、心肺停止からの社会復帰率「世界一」を目指すもので、発表会では今後の計画と心肺蘇生に関するわが国の現状が解説された。  はじめに同社代表取締役社長の堤 浩幸氏が、わが国の心停止の救命の現状と今回の「Heart safe city構想」について説明した。

急性脳梗塞、rt-PA後の転帰を予測する臨床・画像所見は/JAMA

 急性虚血性脳卒中患者において、血栓部位がより末梢で、残存血流量が多く、再開通評価までの時間が長いほうが、アルテプラーゼ(rt-PA)静脈投与後の動脈閉塞再開通と関連することが確認された。rt-PAの投与を受けていない患者では、動脈再開通率は低値であった。カナダ・カルガリー大学のBijoy K. Menon氏らによる、多施設共同前向きコホート研究「INTERRSeCT研究」の結果で、著者は「これらの結果は、急性虚血性脳卒中患者の治療とトリアージの際に役立つ可能性がある」と述べている。脳血栓の再開通は急性虚血性脳卒中患者の臨床転帰の改善と関連しており、rt-PA静注療法と血栓特性、再開通時間との関連は脳卒中トリアージと今後の研究デザインにとって重要であるが、rt-PA静注療法による再開通率を検証したこれまでの研究は、症例数や試験デザイン、評価法などに限界があった。JAMA誌2018年9月11日号掲載の報告。

院外心停止の気道確保、声門上気道デバイスは有効か/JAMA

 院外心停止の最適な気道管理法は確立されていないという。英国・University of the West of EnglandのJonathan R. Benger氏らAIRWAYS-2試験の研究グループは、院外心停止患者への声門上気道デバイス(SGA)による管理は、気管挿管(TI)と比較して、30日時の機能的アウトカムを改善しないことを示し、JAMA誌2018年8月28日号で報告した。SGAの挿入手技は、TIよりも簡便で迅速に施行可能であり、習熟に要する訓練も少ないため、継続的に臨床で用いられている。観察研究では、TIのほうが延命効果に優れる可能性が示唆されているが、院外心停止の気道管理の最適なアプローチを同定するために、大規模な無作為化試験の実施が求められていた。

責任病変のみのPCIで心原性ショックを伴うAMIの転帰は?/NEJM

 心原性ショックを伴う急性心筋梗塞(AMI)患者において、責任病変のみに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した患者のほうが多枝血管PCIを施行した患者より、30日時点の死亡/腎代替療法のリスクが低く、1年後も両群で死亡率に差はないことが、CULPRIT-SHOCK試験の1年追跡結果で明らかとなった。ドイツ・ライプチヒ大学のHolger Thiele氏らが報告した。同試験では、30日複合リスク(死亡または腎代替療法を要する重症腎不全)について、即時多枝血管PCIより責任病変のみのPCIで低いことが示されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月25日号掲載の報告。

院外心停止、ラリンジアルチューブvs.気管内挿管/JAMA

 院外心停止(OHCA)の成人患者において、気管内挿管(ETI)と比較しラリンジアルチューブ(LT)挿入のほうが、72時間生存率が有意に高いことが示された。米国・テキサス大学健康科学センター ヒューストン校のHenry E. Wang氏らが、多施設共同プラグマティック・クラスター無作為化クロスオーバー試験「PART」の結果を報告した。救急医療の現場では、OHCA患者に対し一般的にETIあるいはLTなどの声門上気道器具の挿入が行われるが、OHCA患者の高度気道確保について最適な方法は明らかになっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「LTはOHCA患者の最初の気道確保戦略として考慮されうるだろう。ただし、試験デザイン、実行状況、ETI遂行の特性などの点で限定的な結果であり、さらなる検証が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年8月28日号掲載の報告。