救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:82

気管切開の事故防止に向け提言 医療安全調査機構

 気管切開チューブ挿入患者のケアには常に注意を要するが、とくに気管切開術後早期*のチューブ交換時に、再挿入が困難になるリスクが高いことから、日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)では、この時期のチューブ逸脱・迷入による事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第4号)を公表している(6月5日)。逸脱を防ぐための移動・体位変換時の注意事項や、逸脱・迷入が生じてしまったときの具体的対応などについて、以下の6つの提言が示された。

急性脳梗塞の血管内治療は日常診療でも有効か/BMJ

 急性虚血性脳卒中の血管内治療は、無作為化対照比較試験の結果と同様に、ルーチンの臨床診療でも有効かつ安全であることが、オランダ・アムステルダム大学学術医療センターのIvo G. H. Jansen氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年3月9日号に掲載された。前方循環系の頭蓋内血管近位部閉塞による急性虚血性脳卒中では、症状発現後6時間以内の血管内治療の有効性と安全性が無作為化試験やメタ解析で示されているが、ルーチンの臨床診療でも既報の無作為化臨床試験と同等の有用性が得られるかは不明であった。

肺血栓塞栓症における診断基準導入の意義(解説:今井靖氏)-827

肺血栓塞栓症が疑わしい場合、d-dimerなどの血液検査に加え、本邦ではCT検査で肺血管から下肢静脈までをスキャンする肺静脈血栓症・深部静脈血栓症スクリーニングが普及しているが、一方で、本来不要な検査の実施が少なからず行われている実情がある。そのような状況において本論文については一読の価値があると思われる。今回取り上げる論文においては、低リスクの救急部門受診患者における肺血栓塞栓症の除外基準を導入することで血栓塞栓症イベントが抑制されるか否かについて検討した、PROPER研究の報告である。

院外心肺停止の予後、バッグマスクvs.気管内挿管/JAMA

 院外心肺停止(OHCA)患者において、バッグマスク換気(BMV)は気管内挿管(ETI)と比較し、28日目における神経学的予後良好な生存に関して非劣性または劣性を確認することはできなかった。フランス・パリ第5大学のPatricia Jabre氏らが、フランスとベルギーで行った多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。OHCA患者の心肺蘇生法(CPR)において、二次救命処置の気道管理は、BMVがETIより簡便であり、これまでの研究ではBMVの生存に関する優越性が報告されていた。JAMA誌2018年2月27日号掲載の報告。

敗血症性ショック、ステロイド2剤併用で死亡率低下/NEJM

 敗血症性ショック患者に対する検討で、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン投与はプラセボ投与と比較して、90日全死因死亡率が低いことが示された。フランス・Raymond Poincare病院のDjillali Annane氏らが、1,241例を対象に行った多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を、NEJM誌2018年3月1日号で発表した。敗血症性ショックは、感染に対する宿主反応の調節不全が特徴で、循環異常、細胞異常、代謝異常を呈する。研究グループは、ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンによる治療、または活性型drotrecogin αによる治療は、宿主反応を調節可能であり、敗血症性ショック患者の臨床的アウトカムを改善する可能性があるとの仮説を立てて、検証試験を行った。

救急での肺塞栓症の除外、PERCルールが有用/JAMA

 低リスクの肺塞栓症(PE)が疑われる患者において、肺塞栓症除外基準(PERC:Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria)を用いた場合、3ヵ月間の血栓塞栓イベント発生率は従来の方法と比較して非劣性であり、PERCルールの安全性が支持された。フランス・パリ第4大学のYonathan Freund氏らが、PERCルールを検証したPROPER試験の結果を報告した。PEを除外することを目的とした8項目からなる臨床基準PERCの安全性は、これまで無作為化試験で検証されたことはなかった。JAMA誌2018年2月13日号掲載の報告。

急性増悪期の薬物療法に関するエビデンスレビュー

 救急部での精神症状の急性増悪の管理における抗精神病薬使用の主な目的は、過鎮静を起こすことなく急速に静穏を図り、患者が自身のケアに携われるようにすることである。しかし、比較研究は不足しており、とくに新規の急速鎮静を示す第2世代抗精神病薬の研究が不足している。米国・Chicago Medical SchoolのLeslie S. Zun氏は、急性増悪期の薬物療法に関するエビデンスのレビューを行った。The Journal of emergency medicine誌オンライン版2018年1月17日号の報告。

注射剤のアナフィラキシーについて提言 医療安全調査機構

 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は、注射剤のアナフィラキシーによる事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第3号)を公表している(1月18日)。アナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤や発症が疑われる場合の具体的な対応、常時から備えておくべき事項などについて、以下の6つの提言が示された。