循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

日本の女性医師によるPCI、治療成績は男性医師と比べて…

 日本の女性医師が行った経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の実施数やその内容、患者の予後について男性医師と比較した結果、院内死亡率は男女医師で有意差はなく、PCI成功率は女性医師のほうが高かったことを、湘南大磯病院/湘南鎌倉総合病院の高橋 佐枝子氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology: Asia誌2024年9月号掲載の報告。  インターベンション分野において、医師の男女格差は依然として世界的な懸念事項であり、女性医師が実施したPCIの結果を検討した広範な研究は限られている。そこで研究グループは、日本の女性医師によるPCIの実態を調べ、男性医師と比較検討するために後ろ向き観察研究を行った。

新たな「血小板スコア」で脳卒中や心筋梗塞リスクを予測

 実験段階にある遺伝子検査によって、命に関わることもある血栓症のリスクを予測できる可能性のあることが、米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医科大学院心血管疾患予防センターのJeffrey Berger氏らの研究で示された。この新たな検査でスコアが高かった末梢動脈疾患(PAD)患者は、下肢血行再建術(足の閉塞した動脈を広げて血流を取り戻す治療)後の心筋梗塞や脳卒中、下肢切断のリスクが2倍以上であることが示されたという。この研究結果は、「Nature Communications」に8月20日掲載された。

ATTR型心アミロイドーシスへのブトリシラン、全死亡を低下/NEJM

 進行性の致死的疾患であるトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)患者において、ブトリシランによる治療はプラセボとの比較において、全死因死亡および心血管イベントのリスクを低下させ、機能的能力とQOLを維持することが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMarianna Fontana氏らHELIOS-B Trial Investigatorsが行った二重盲検無作為化試験で示された。ブトリシランは、肝臓のトランスサイレチンの産生を阻害する皮下投与のRNA干渉(RNAi)治療薬である。NEJM誌オンライン版2024年8月30日号掲載の報告。

ACSのPCI後、短期DAPT後チカグレロルvs.12ヵ月DAPT~メタ解析/Lancet

 急性冠症候群(ACS)患者の冠動脈ステント留置後の標準治療は、12ヵ月間の抗血小板2剤併用療法(DAPT)となっている。この標準治療とDAPTからチカグレロルへと段階的減薬(de-escalation)を行う治療を比較したエビデンスの要約を目的に、スイス・Universita della Svizzera ItalianaのMarco Valgimigli氏らSingle Versus Dual Antiplatelet Therapy(Sidney-4)collaborator groupは、無作為化試験のシステマティックレビューおよび個々の患者データ(IPD)レベルのメタ解析を行った。とくにACS患者では、12ヵ月間のDAPT単独療法と比較して、DAPTからチカグレロルへの段階的減薬は、虚血のリスクを増大することなく大出血リスクを軽減することが示された。Lancet誌2024年9月7日号掲載の報告。

CABG後のAF予防、カリウム正常上限値の維持は不要/ESC2024

 冠動脈バイパス術(CABG)後の新規発症心房細動(AF)予防としてのカリウム投与について、濃度が正常下限値を下回った場合にのみカリウム投与することが、正常上限値になるまで定期投与することよりも劣らないことが最新の研究で明らかになった。本研究結果はドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBenjamin O'Brien氏らが8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)のホットラインで発表し、JAMA誌オンライン版2024年8月31日号に同時掲載された。  これまで、心臓手術後の心房細動(AFACS)予防のために血清カリウム濃度を正常値に維持するためのカリウム投与が行われていたが、明確な根拠がない上にリスクや費用を伴うため、疑問視されていた。

腫瘍循環器におけるダルテパリン、デクスラゾキサンの適応外使用/腫瘍循環器学会

 がん関連の循環器合併症に臨床応用が望まれるダルテパリン、デクスラゾキサンの適応外使用について、また、アントラキノン心筋症に対する新たな予防薬について第7回日本腫瘍循環器学会学術集会で発表された。  同学会の保健委員会委員長であるJCHO星ヶ丘医療センターの保田知生氏は、ダルテパリン、デクスラゾキサンの申請活動状況を報告した。

降圧薬の服用タイミング、5試験のメタ解析結果/ESC2024

 8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)のホットラインセッションで、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のRicky Turgeon氏が降圧薬の服用タイミングに関する試験のメタ解析結果を報告し、服用タイミングによって主要な心血管イベント、死亡の発生率や安全性に差はみられなかったことを明らかにした。

セマグルチド、心不全で過体重/肥満ASCVDのMACE低下/Lancet

 アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)で過体重または肥満の患者において、GLP-1受容体作動薬セマグルチドはプラセボと比較し、心不全の有無やそのサブタイプにかかわらず、主要有害心血管イベント(MACE)と心不全複合エンドポイントの発生を減少させることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJohn Deanfield氏らSELECT Trial Investigatorsが実施した「SELECT試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年8月24日号に掲載された。  SELECT試験は、41ヵ国804施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年10月~2021年3月に参加者の無作為化を行った(Novo Nordiskの助成を受けた)。

大手術の周術期管理、ACE阻害薬やARBは継続していい?/ESC2024

 周術期管理における薬剤の継続・中止戦略は不明なことが多く、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI:ACE阻害薬またはARB)もその1つである。RASI継続が術中の血圧低下、術後の心血管イベントや急性腎障害につながる可能性もあるが、Stop-or-Not Trialのメンバーの1人である米国・カルフォルニア大学サンフランシスコ校のMatthieu Legrand氏は、心臓以外の大手術を受けた患者において、術前のRASI継続が中止と比較して術後合併症の発生率の高さに関連しないことを示唆した。この報告は8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)のホットラインセッションで報告され、同時にJAMA誌オンライン版2024年8月30日号に掲載された。

mRNAコロナワクチン後の心筋炎、心血管合併症の頻度は低い/JAMA

 従来型の心筋炎患者と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に心筋炎を発症し入院した患者は心血管合併症の頻度が高いのに対し、COVID-19のmRNAワクチン接種後に心筋炎を発症した患者は逆に心血管合併症の頻度が従来型心筋炎患者よりも低いが、心筋炎罹患者は退院後数ヵ月間、医学的管理を必要とする場合があることが、フランス・EPI-PHAREのLaura Semenzato氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年8月26日号で報告された。  研究グループは、COVID-19 mRNAワクチン接種後の心筋炎および他のタイプの心筋炎に罹患後の心血管合併症の発生状況と、医療処置や薬剤処方などによる疾患管理について検討する目的でコホート研究を行った。