循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:18

ペイシェントハラスメントが起きたきっかけは?/医師1,000人アンケート

 顧客からの暴言・暴力などの迷惑行為が大きく報じられ、鉄道・航空会社や大手百貨店などが対処方針を公表するなど社会問題になっている。CareNet.comでは、医療業界における迷惑行為の実態を調査するため、会員医師1,026人を対象に患者(家族・知人含む)からの迷惑行為(ペイシェントハラスメント)に関するアンケートを実施した。その結果、非常に多くの医師がペイシェントハラスメントを経験し、さまざまな予防や対策を講じていることが明らかになった(2024年7月29日実施)。

ドナー心臓の低温酸素化灌流で心臓移植は改善するか/Lancet

 心臓移植において、ドナー心臓の持続的低温酸素化機械灌流(hypothermic oxygenated machine perfusion:HOPE)は単純冷却保存(static cold storage:SCS)と比較して、主要エンドポイントに有意差はなかったものの、1次エンドポイントのイベントリスクを44%減少させ、移植後合併症が減少するとともに原発性移植片機能不全(primary graft dysfunction:PGD)の低減に有益であることが示唆された。ベルギー・University Hospitals LeuvenのFilip Rega氏らNIHP2019 investigatorsが、欧州8ヵ国(ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、英国、スペイン、オーストリア、スウェーデン)の移植センター15施設で実施した国際共同無作為化非盲検比較試験「NIHP2019試験」の結果を報告した。SCSは、ドナー心臓保存のゴールドスタンダードであるが、虚血、嫌気的代謝、臓器損傷を伴い、患者の合併症と死亡につながっていた。著者は、「HOPEによるドナー心臓の保存は、移植片保存に関連する既存の課題と、ドナーおよび心移植レシピエントにおける複雑性の増大に対処するもので、今後の研究によりHOPEの有益性がさらに明らかになるであろう」とまとめている。Lancet誌2024年8月17日号掲載の報告。

歯の喪失は心血管疾患による死亡リスクと関連

 口腔の良好な健康は、心臓の良好な健康を意味するようだ。新たなシステマティックレビューとメタアナリシスにより、歯の喪失は心血管疾患(CVD)による死亡リスクと関連しており、失った歯の本数が多いほどそのリスクは高くなる可能性のあることが明らかになった。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学歯学部教授のAnita Aminoshariae氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Endodontics」に6月28日掲載された。  Aminoshariae氏は、「本研究結果は、歯の喪失が単なる歯の問題ではなく、CVDによる死亡の重大な予測因子であることを明確に示すものだ」と述べている。

ワルファリン時代vs.DOAC時代、日本の実臨床でのVTE長期転帰

 静脈血栓塞栓症(VTE)に対し、実臨床で直接経口抗凝固薬(DOAC)が使用されるようになって以降、ワルファリン時代と比較した長期転帰には実際どのような変化があるのだろうか。京都大学の金田 和久氏らは、急性の症候性VTE患者を対象とした多施設共同観察研究COMMAND VTE Registryから、ワルファリン時代とDOAC時代のデータを比較し、結果をJournal of the American College of Cardiology誌2024年8月6日号に報告した。  本研究では、COMMAND VTE Registryから、ワルファリン時代(2010~14年)の連続3,027症例(29施設)を登録したレジストリ1と、DOAC時代(2015~20年)の連続5,197症例(31施設)を登録したレジストリ2のデータが用いられた。

臨床意思決定支援システム導入で、プライマリケアでの降圧治療が改善/BMJ

 中国のプライマリケアでは、通常治療と比較して臨床意思決定支援システム(clinical decision support system:CDSS)の導入により、ガイドラインに沿った適切な降圧治療の実践が改善され、結果として血圧の緩やかな低下をもたらしたことから、CDSSは安全かつ効率的に高血圧に対するよりよい治療を提供するための有望なアプローチであることが、中国・National Clinical Research Centre for Cardiovascular DiseasesのJiali Song氏らLIGHT Collaborative Groupが実施した「LIGHT試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月23日号で報告された。

早老症の寿命延長に寄与する治療薬ロナファルニブ発売/アンジェス

 アンジェスは、小児早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロセシング不全性プロジェロイド・ラミノパチー(PDPL)の治療薬であるロナファルニブ(商品名:ゾキンヴィ)の発売に伴い、都内でプレスセミナーを開催した。  HGPSとPDPLは、致死性の遺伝的早老症の希少疾病であり、若い時点から死亡率が加速度的に上昇する疾患。これらの疾患では、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚症状などを来す。  ロナファルニブは、2023年3月に厚生労働省により希少疾病医薬品に指定され、2024年1月に国内製造販売承認を取得、同年4月に薬価基準に収載され、同年5月27日に発売された。

心筋梗塞既往の糖尿病患者へのキレーション療法、有効性は?/JAMA

 50歳以上の心筋梗塞既往の糖尿病患者において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)キレーション療法はプラセボと比較し、血中鉛濃度が有意に低下したが、心血管イベントは減少しなかった。米国・マウントサイナイ医療センターのGervasio A. Lamas氏らが、米国とカナダの88施設で実施した「Trial to Assess Chelation Therapy 2:TACT2試験」の結果を報告した。2013年には、心筋梗塞既往患者1,708例を対象とした「TACT試験」で、EDTAキレーション療法により心血管イベントが18%有意に減少したことが報告されていた。JAMA誌オンライン版2024年8月14日号掲載の報告。  研究グループは、登録の少なくとも6週間前に心筋梗塞の既往がある50歳以上の糖尿病患者を、2×2要因デザイン法を用いて、EDTAキレーション療法群とプラセボ点滴静注群(いずれも週1回3時間の点滴静注を計40回)、または高用量マルチビタミン・ミネラル経口投与群とプラセボ経口投与群(1日2回60ヵ月間経口投与)に無作為に割り付けた。本論文ではキレーション療法群とプラセボ点滴静注群の比較について報告されている。

STEMIの“非”責任病変の治療はいつやる? 今でなくても? そもそもやるべき?(解説:山地杏平氏)

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)または高リスク非ST上昇型急性心筋梗塞(NSTEMI)症例において、非責任病変の治療を検討したFULL REVASC試験が発表されました。この試験では、責任病変に対するPCI施行後、入院中にFFRガイド下で非責任病変へのPCIを行う群と、入院期間中は追加のPCIを行わない群に無作為に割り付けられました。その結果、ハザード比は0.93(95%信頼区間:0.74~1.17)で、p=0.53と有意差は認められませんでした。この結果は、過去の多くの研究とは異なるもので、最近行われた大規模研究であるCOMPLETE試験やFIRE試験では、いずれも責任病変へのPCI後に非責任病変の治療を行ったほうが、イベントリスクを低減するという結果が示されました(表)。

高K血症によるRA系阻害薬の中止率が低い糖尿病治療薬は?

 高血圧治療中の2型糖尿病患者が高カリウム(K)血症になった場合、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RA系阻害薬)を降圧薬として服用していたら、その使用を控えざるを得ない。最近の報告によれば、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は尿中カリウム排泄を増加させ、高K血症のリスクを軽減させる可能性があることが示唆されている。今回、中国・北京大学のTao Huang氏らは2型糖尿病患者の治療において、GLP-1RAは高K血症の発生率が低く、DPP-4阻害薬と比較してRA系阻害薬が継続できることを示唆した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年8月12日号掲載の報告。