心房細動患者において、社会経済的因子と死亡率や心血管系合併症リスクとの関連はあまりわかっていない。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らによる心房細動患者のコホート研究で、低学歴者および独身(未婚・離婚)男性では死亡や心血管系合併症のリスクが高いことが報告された。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年5月9日号に掲載。
本研究は、スウェーデンの75施設のプライマリケアセンターで2001~07年に心房細動と診断された45歳以上の1万2,283例におけるコホート研究。教育レベル・婚姻状態・地域社会経済的状態と、年齢調整後の全死因死亡率・心血管系合併症の関連について、Cox回帰を用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・平均5.8年(SD:2.4)の追跡期間に3,954例(32.3%)の患者が死亡した。女性1,971例(35.0%)、男性1,983例(29.8%)であった。
・すべての交絡要因を調整したモデルにおいて、高い教育レベルが低い死亡率と関連した。初等教育(小中学校)と比較し、男性における後期中等教育(高等学校)のHRは0.85(95%CI:0.77~0.96)、女性における大学のHRは0.73(同:0.60~0.88)、男性における大学のHRは0.82(同:0.71~0.94)であった。
・未婚男性および離婚男性は、既婚男性に比べ死亡リスクが高く、HRはそれぞれ1.25(同:1.05~1.50)、1.23(同:1.07~1.42)であった。
・大学の教育レベルは、男性および女性における心筋梗塞リスクの低下、女性におけるうっ血性心不全リスクの低下と関連していた。
(ケアネット 金沢 浩子)