血栓吸引療法前のワルファリン服用は気になる?(解説:後藤信哉氏)
血栓溶解療法、冠動脈インターベンション(PCI)などの急性期再灌流療法の普及により、急性心筋梗塞の生命予後、心不全リスクともに劇的に改善した。重要臓器の虚血性障害との意味では脳梗塞と心筋梗塞は類似性が高い。実際に脳を灌流する太い血管の閉塞による血栓を急性期に吸引・除去すれば、脳梗塞の予後も改善できる。血管が血栓性に閉塞することにより心筋梗塞、脳梗塞は発症する。閉塞を解除すれば臓器への血流が再開する。臓器の虚血性障害は改善される。しかし、再灌流は利点だけではない。虚血臓器に血液が再灌流されると臓器の再灌流障害も起こる。脳組織は脆弱なので再灌流障害が脳出血の原因になるリスクはある。さらに、抗凝固療法を施行すると出血巣が大きくなるリスクがある。