循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:57

二次性僧帽弁逆流へのTEER、5年間の評価/NEJM

 ガイドラインに基づく最大用量の薬物療法後も心不全と中等度~重度の二次性僧帽弁逆流症が認められる患者において、僧帽弁の経カテーテル的edge-to-edge修復術(TEER)は薬物療法単独と比較し、フォローアップ5年間での心不全による入院リスクを半減し、全死因死亡リスクも約30%低減した。米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のGregg W. Stone氏らが、614例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2023年3月5日号掲載の報告。  研究グループは、2012年12月27日~2017年6月23日に米国とカナダにある78ヵ所の医療機関を通じて、ガイドラインに基づく最大用量の薬物療法を実施後、心不全と中等度~重度の二次性僧帽弁逆流症が認められる患者614例を登録した。

重症三尖弁逆流へのTEER、症状・QOLを改善/NEJM

 重症三尖弁逆流症患者に対する三尖弁経カテーテルedge-to-edge修復術(TEER)は安全で、重症度を改善し、生活の質(QOL)改善にも関連することが示された。米国・Abbott Northwestern HospitalのPaul Sorajja氏らが、350例の患者を対象に行った前向き無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2023年3月4日号で発表した(6日にアップデート)。  研究グループは、米国、カナダ、欧州の65ヵ所の医療機関で重症の症候性三尖弁逆流症患者350例を登録し、1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはTEERを(175例)、もう一方には薬物療法(対照)を行った(175例)。

CAD患者のLDL-C 50~70mg/dL目標の治療 、高強度スタチンに非劣性/JAMA

 冠動脈疾患(CAD)患者の治療において、LDLコレステロール(LDL-C)の目標値を50~70mg/dLとする目標達成に向けた治療(treat-to-target)は高強度スタチン療法に対し、3年の時点での死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術の複合に関して非劣性であり、これら4つの構成要素の個々の発生率には差がないことが、韓国・延世大学のSung-Jin Hong氏らが実施したLODESTAR試験で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年3月6日号に掲載された。  LODESTAR試験は、韓国の12施設が参加した医師主導の非盲検無作為化非劣性試験であり、2016年9月~2019年11月の期間に患者の登録が行われた(Samjin Pharmaceuticalなどの助成を受けた)。

医師以外の医療従事者による厳格降圧、地域住民のCVDを低減/Lancet

 高血圧患者における心血管疾患の予防では、医師以外の地域医療従事者による厳格降圧治療は標準降圧治療と比較して、降圧効果が高く、心血管疾患や死亡の抑制に有効であることが、米国・Tulane University School of Public Health and Tropical MedicineのJiang He氏らが実施した「CRHCP試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年3月2日号で報告された。  CRHCPは、中国の非盲検エンドポイント盲検化クラスター無作為化試験であり、2018年5月~11月にクラスターとして326の村落が登録された(中国科学技術部などの助成を受けた)。

高齢者へのDOAC、本当に減量・中止すべき患者とは/日本循環器学会

 高齢者の心房細動治療において、つい抗凝固薬を減量してしまいがちだが、それは本当に正しいのだろうか。今回、小田倉 弘典氏(土橋内科医院)が『心房細動抗凝固薬(アブレーションを望まない高齢のPAFなど)』と題し、第87回日本循環器学会学術集会のセッション「クリニックで選択されるべき循環器治療薬~Beyond guideline~」にて、高齢者心房細動の薬物療法における注意点を発表した。  小田倉氏はまず、以下の症例を提示し、実際に直接経口抗凝固薬(DOAC)を処方するかどうか、またその際に減量するか否かについて問題提起した。

中年期から心臓の健康に気を付けると脳の健康も維持される―AHAニュース

 心臓の健康状態が良好であることは脳の健康にとっても重要であり、脳血管疾患や認知症のリスクの抑制につながることが明らかになっている。では、そのような違いを生み出すための行動を、人生の中盤以降に始めたのでは遅すぎるのだろうか? 新たに報告された研究によると、その疑問の答えは「NO」のようだ。  米国脳卒中協会(ASA)主催の国際脳卒中学会(ISC2023、2月8~10日、ダラス)で報告されたこの研究により、心臓の健康状態を改善するための中年期以降の行動が、約20年後の脳血管疾患や認知症のリスクの低さと関連のあることが分かった。発表者である米ミネソタ大学のSanaz Sedaghat氏は、「わずかな改善であっても将来的に効果が現れる可能性がある」と述べている。なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。

スタチン治療患者の将来リスク予測、CRP vs.LDL-C/Lancet

 スタチン療法を受ける患者において、高感度C反応性蛋白(CRP)で評価した炎症のほうがLDLコレステロール(LDL-C)値で評価したコレステロールよりも、将来の心血管イベントおよび死亡リスクの予測因子として強力であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが行った、3つの無作為化試験の統合解析の結果、示された。著者は、「示されたデータは、スタチン療法以外の補助療法の選択を暗示するものであり、アテローム性疾患のリスク軽減のために、積極的な脂質低下療法と炎症抑制治療の併用が必要である可能性を示唆するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年3月6日号掲載の報告。

DELIVER試験を踏まえた慢性心不全治療の今後の展望/AZ

 アストラゼネカは「フォシーガ錠5mg、10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、以下フォシーガ)」の添付文書が改訂されたことを機に、「慢性心不全治療に残された課題と選択的SGLT2阻害剤フォシーガが果たす役割」と題して、2023年3月2日にメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、はじめに阪和病院・阪和記念病院 統括院長・総長 北風 政史氏より、「慢性心不全治療の現状とDELIVER試験を踏まえた今後の展望」について語られた。

肺動脈性肺高血圧症へのsotatercept、24週後の運動耐容能を改善/NEJM

 安定した基礎療法を受けている肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者において、sotaterceptはプラセボと比較し6分間歩行距離(6MWD)で評価した運動耐容能を有意に改善させることが、ドイツ・ハノーバー医科大学のMarius M. Hoeper氏らが21ヵ国91施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「STELLAR試験」の結果、報告された。PAHは肺血管リモデリングが関与する進行性の疾患で、治療法の進歩にもかかわらずPAH関連疾患の有病率/死亡率は依然として高い。sotaterceptは、PAHに関与するアクチビンと成長分化因子を捕捉するアクチビン受容体IIA-Fc(ActRIIA-Fc)融合タンパク質で、第II相のPULSAR試験において24週後の肺血行動態を改善することが示されていた。NEJM誌オンライン版2023年3月6日号掲載の報告。

DOAC時代のVTE診療の国内大規模研究、再発リスクの層別化評価と出血リスク評価の重要性が明らかに/日本循環器学会

 日本では過去に静脈血栓塞栓症 (肺塞栓症および深部静脈血栓症、以下VTE)の患者を対象とした多施設共同の大規模観察研究:COMMAND VTE Registry(期間:2010年1月~2014年8月、対象:3,024例)が報告されていた。しかしながら、同研究はワルファリン時代のデータベースであり、抗凝固薬の88%がワルファリンであった。現在はVTE患者の治療には直接経口抗凝固薬(DOAC)が広く普及しており、そこでDOAC時代における日本のVTE診療の実態を明らかにすることを目的としたCOMMAND VTE Registry-2が実施され、3月10~12日に開催された第87回日本循環器学会学術集会の「Late Breaking Cohort Studies Session」にて、同研究班の金田 和久氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が、その主解析の結果を報告した。