一般集団において、肉類を摂取しない菜食生活は心血管代謝リスクを改善することが報告されているが、心血管疾患(CVD)リスクが高い人における効果は結論が出ていない。そこで、オーストラリア・シドニー大学のTian Wang氏らが、CVD高リスク者やCVD患者を対象に菜食生活と主要な心血管代謝リスク因子との関連についてメタ解析を実施した結果、6ヵ月間の菜食生活は、CVD高リスク者では有意なLDL-コレステロール(LDL-C)やHbA1c、体重の改善と関連していたことを発表した。JAMA Network Open誌2023年7月25日号の報告。
研究グループは、Embase、MEDLINE、CINAHL、CENTRALを用いて、菜食生活を行ったCVD患者または2つ以上のCVDリスク因子を有する高リスクの成人において、LDL-CやHbA1c、収縮期血圧などを測定したランダム化比較試験を検索した。なお、菜食には、乳卵菜食(肉類は食べないが、卵や乳製品は許容)、乳菜食(肉類や卵は食べないが、乳製品は許容)、ヴィーガン(動物由来の食品はすべて食べない)が含まれていた。
主要アウトカムはLDL-C、HbA1c、収縮期血圧の変化(介入前と介入後)の群間差の平均で、副次的アウトカムは体重とエネルギー摂取量の変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・1,878例を含む20件の試験が解析に組み込まれた。平均介入期間は25.4週間(範囲:2~24ヵ月)であった。CVD患者を対象とした試験は4件、糖尿病患者を対象とした試験は7件、2つ以上のCVDリスク因子を有する高リスク者を対象とした試験は9件であった。
・菜食生活を平均6ヵ月間行うことで、LDL-Cが6.6mg/dL(95%信頼区間[CI]:-10.1~-3.1)、HbA1cが0.24%(95%CI:-0.40~-0.07)、体重が3.4kg(95%CI:-4.9~-2.0)減少した。
・菜食と収縮期血圧との関連は有意ではなかった(-0.1mmHg、95%CI:-2.8~2.6)。
・GRADE評価によるエビデンスの質は、LDL-CとHbA1cの減少については「中」であった。
これらの結果より、研究グループは「菜食生活は、CVDのリスクが高い人において、標準治療を上回るLDL-C、HbA1c、体重の有意な改善と関連していた。CVD患者における健康的な菜食生活の効果を明らかにするためには、さらなる質の高い試験が必要である」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)