アルドステロン合成酵素に対する選択性を100倍にしたbaxdrostatによる第II相試験の結果は、治療抵抗性高血圧症に有効である可能性が示された―(解説:石上友章氏)
高血圧症は、本邦で4,000万人が罹患するといわれている、脳心血管病の最大の危険因子である。降圧薬は、市場規模の大きさから多くの製薬企業にとって、開発・販売に企業の持っているリソースの多くを必要とするカテゴリーの製品であった。医療サイドにとっては、その患者数の多さと健康寿命に与える影響の重要さから、確実で安全な医療の提供の実現が求められている。公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団の調査によると、あらゆる薬剤の中で、降圧薬の貢献度・満足度がきわめて高いことが示されている。降圧治療は、疾病の克服において、これまでに人類が手にした治療薬として、きわめて高い水準の完成度に達したといえる。