循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:73

難治性院外心停止、体外循環式心肺蘇生法vs.従来法/NEJM

 難治性院外心停止患者において、体外循環式心肺蘇生(ECPR)と従来のCPRは、神経学的アウトカム良好での生存に関して有効性が同等であることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのMartje M. Suverein氏らによる多施設共同無作為化比較試験「INCEPTION(Early Initiation of Extracorporeal Life Support in Re-fractory Out-of-Hospital Cardiac Arrest)試験」の結果、報告された。ECPRは自発循環のない患者において灌流と酸素供給を回復させるが、難治性院外心停止患者における良好な神経学的アウトカムを伴う生存に対する有効性に関するエビデンスは、結論が得られていなかった。NEJM誌2023年1月26日号掲載の報告。

尿酸の上昇は心房細動発症と関連

 さまざまな疫学調査より高い尿酸値は心房細動(AF)の独立したリスクとされている。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のMozhu Ding氏らがスウェーデンのAMORISコホート研究から尿酸の上昇がAFの新規発症と関連することを報告した。Journal of the American Heart Association誌1月12日号からの報告。  心血管系疾患の評価において尿酸値の役割はますます重要となっているが、AFとの関係は明確でない。本研究では、尿酸値とAFの新規発症リスクとの関連について検討した。

ワクチン未接種のコロナ感染、急性期の死亡リスク80倍超

 中国・香港大学のEric Yuk Fai Wan氏らの研究グループは、英国のデータベースを用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の心血管疾患(CVD)発症リスクや全死亡リスクに及ぼす短期的および長期的な影響を検討した。その結果、ワクチン未接種のCOVID-19感染は急性期(感染から21日後まで)のCVD発症リスク、全死亡リスクを大きく上昇させ、これらのリスクは最長18ヵ月間の追跡においても上昇していた。Cardiovascular Research誌2023年1月19日号に掲載の報告。  英国において2020年3月~11月にCOVID-19に感染した患者7,584例(感染群)を感染から最長18ヵ月後まで前向きに追跡した。年齢と性別をマッチングさせた同時期の非感染対照7万5,790人(同時期対照群)、2018年3月~11月の非感染対照7万5,774人(過去対照群)とCVD発症リスク、全死亡リスクなどを急性期と急性期後(感染から22日後以降)に分けて比較した。解析にあたり、傾向スコア分析の拡張版であるMarginal Mean Weighting through Stratification(MMWS)法を用いて、年齢、性、喫煙習慣、糖尿病の既往、高血圧症の既往、民族などを調整した。なお、英国では2020年3月~11月において使用可能な新型コロナウイルスワクチンは存在しなかったため、本試験の対象者はワクチン未接種であった。

心不全へのトラセミドvs.フロセミド、全死亡に有意差なし/JAMA

 心不全で入院後退院した患者において、トラセミドvs.フロセミドは追跡期間中央値17.4ヵ月で全死亡に有意差は認められなかった。米国・デューク大学のRobert J. Mentz氏らが、米国の60施設で実施したプラグマティックな非盲検無作為化試験「TRANSFORM-HF(Torsemide Comparison With Furosemide for Management of Heart Failure)試験」の結果を報告した。フロセミドは心不全患者において最も一般的に用いられているループ利尿薬であるが、トラセミドの有用性を示唆する研究も散見されていた。JAMA誌2023年1月17日号掲載の報告。

骨折後の血栓予防、アスピリンvs.低分子ヘパリン/NEJM

 手術を受けた四肢骨折患者、または手術有無を問わない骨盤・寛骨臼骨折患者の血栓予防において、アスピリンは致死的イベント抑制に関して低分子ヘパリンに非劣性を示すことが示された。アスピリンによる深部静脈血栓症・肺塞栓症・90日での全死亡の発現頻度は低かった。米国・メリーランド大学のRobert V. O'Toole氏らMajor Extremity Trauma Research Consortium(METRC)が、米国およびカナダの外傷センター21施設で実施した医師主導の実用的多施設共同無作為化非劣性試験「Prevention of Clot in Orthopaedic Trauma trial:PREVENT CLOT試験」の結果を報告した。臨床ガイドラインでは、骨折患者に対する血栓予防に低分子ヘパリンが推奨されている。しかし、低分子ヘパリンの有効性をアスピリンと比較した試験はこれまでなかった。NEJM誌2023年1月19日号掲載の報告。

true worldにおけるAMI治療の実態を考える(解説:野間重孝氏)

急性心筋梗塞(AMI)の治療成績・予後の決定因子としては、発生から冠動脈再開通までの時間(total ischemic time:TIT)のほか、年齢、基礎疾患や合併症、血管閉塞部位と虚血領域の大きさ、血行動態破綻の有無などが挙げられる。この中でもっぱら時間経過が改善項目として議論されるのは、他の因子は医療行為によっては動かすことができず、時間経過のみが可変因子であるからである。

持続性AF、PVI+左房後壁乖離術で不整脈の再発率は改善せず/JAMA

 持続性心房細動(AF)患者に対する初回カテーテルアブレーションでは、肺静脈隔離術(PVI)に左房後壁隔離術(PWI)を追加しても、PVI単独と比較して12ヵ月の時点での心房性不整脈の再発回避の割合は改善されず、複数回の手技後の再発回避にも差はないことが、オーストラリア・アルフレッド病院のPeter M. Kistler氏らが実施した「CAPLA試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年1月10日号に掲載された。  CAPLA試験は、3ヵ国(オーストラリア、カナダ、英国)の11施設が参加した医師主導の無作為化臨床試験であり、2018年7月~2021年3月の期間に患者の登録が行われた(メルボルン大学Baker Department of Cardiometabolic Healthの助成を受けた)。  年齢18歳以上、症候性の持続性AFで、初回カテーテルアブレーションを受ける患者が、PVI+PWIを行う群またはPVI単独群に無作為に割り付けられた。PVIでは、左右の肺静脈の周囲を広範に焼灼し、PVI+PWIでは、これに天蓋部(roof ablation line)と底部(floor ablation line)の焼灼が追加された。

中国・高血圧の診断と治療、農村と都市での乖離が存続/BMJ

 中国では、高血圧の有病率は2010年以降にわずかに減少しているが、治療およびコントロールの割合は依然として低い状態にとどまり、農村部と都市部の乖離も存続していることが、中国・疾病管理予防センターのMei Zhang氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年1月11日号で報告された。  研究グループは、中国における高血圧の有病率と疾病管理の最近の傾向を評価する目的で、6回の全国調査データの解析を行った(中国国家重点研究開発計画の助成を受けた)。  解析には、China Chronic Disease and Risk Factor Surveillance(CCDRFS)の2004~18年のデータが用いられた。対象は、成人(年齢18~69歳)の地域住民64万2,523人で、6回の調査人数の内訳は2004年が3万501人、2007年が4万7,353人、2010年が9万491人、2013年が15万6,836人、2015年が16万2,293人、2018年が15万5,049人であった。  高血圧は、血圧≧140/90mmHgまたは降圧薬の服用と定義された。

コロナワクチン後の心筋炎、高濃度の遊離スパイクタンパク検出

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のmRNAワクチン(以下、新型コロナワクチン)接種後、まれに心筋炎を発症することが報告されているが、そのメカニズムは解明されていない。そこで、マサチューセッツ総合病院のLael M. Yonker氏らの研究グループは、青年および若年成人の新型コロナワクチン接種後の血液を分析し、心筋炎発症例の血中では、切断を受けていない全長のスパイクタンパク質が、ワクチン接種により産生された抗スパイク抗体に結合していない“遊離”の状態で、高濃度に存在していたことを発見した。Circulation誌オンライン版1月4日掲載の報告。

静脈血栓の抗凝固療法はいつまで必要?(解説:後藤信哉氏)

以前よりだいぶ増えてきたとはいえ、日本の静脈血栓症の発症リスクは欧米ほど高くない。症状はあるけど画像診断にて末梢側に血栓を認めた症例に抗凝固薬をどのくらい使用したらよいか? 実臨床では迷うケースが多い。静脈血栓症の症候は下肢痛、浮腫なのであるが、重症度にはばらつきが大きい。神経質な症例ではわずかの浮腫も気になるし、大まかな人もいる。症状があって、静脈血栓を見つけたら抗凝固薬を始めるだろう。