循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:80

PCSK9阻害薬、エゼチミブは心血管リスクを低減/BMJ

 エゼチミブまたはPCSK9阻害薬は、忍容最大用量のスタチン投与中あるいはスタチン不忍容の、心血管リスクがきわめて高い/高い成人において、非致死的な心筋梗塞(MI)および脳卒中を抑制可能なことが示された。同リスクが中程度および低い患者では認められないという。米国・Houston Methodist DeBakey Heart & Vascular CenterのSafi U. Khan氏らがシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。BMJ誌2022年5月4日号掲載の報告。

冠動脈疾患疑い患者への検査、CT vs.侵襲的冠動脈造影/NEJM

 侵襲的冠動脈造影(ICA)のために紹介された、安定胸痛を有する閉塞性冠動脈疾患(CAD)の検査前確率が中程度の患者において、初期画像診断に用いるCTはICAと比較して、有害心血管イベントのリスクは同等であり、手技関連合併症の発生頻度は低いことが示された。ハンガリー・Semmelweis大学のPal Maurovich-Horvat氏らDISCHARGE試験グループが報告した。閉塞性CADの診断では、CTはICAに代わる正確で非侵襲的な検査法であるが、ICAと比較したCTの有効性、すなわち主要有害心血管イベントの発生頻度低下についてはこれまで検討されていなかった。NEJM誌2022年4月28日号掲載の報告。

オンライン診療入門~導入の手引き~第1版を公表/日医

 日本医師会・長島 公之常任理事が、『オンライン診療入門~導入の手引き~』作成について定例記者会見で報告した。本手引きは、かかりつけ患者に情報通信機器を用いたオンライン診療の実施を検討している医師を対象に必要な情報をとりまとめたもので、今後現場の意見などを踏まえ、適宜更新される予定。関連情報は日本医師会ホームページにまとめられている。  長島氏は、「オンライン診療は、地域で患者さんに寄り添うかかりつけ医が、必要に応じて対面診療と適切に組み合わせて行うことで、患者さんの安全性と利便性を向上させることができる」と日医としての考えを述べた。

高血圧合併妊娠において、非重症域の高血圧症の妊婦、目標<140/90mmHgの積極的治療が有用(解説:三戸麻子氏)

これまで、母体死亡等の重篤な合併症を防ぐ目的から、160/110(105)mmHg以上の重症域の高血圧に対しては、降圧加療を行うことは共通の認識があった。しかし、140/90mmHg以上160/110(105)mmHg未満の非重症域の高血圧に対する治療方針は、一定していなかった。その理由は、妊娠中の降圧は母体の重症高血圧への移行を防ぐものの、他の母児合併症を改善させられるのかどうか、また児への血流不全による胎児発育遅延の懸念や、降圧薬を使用すること自体による児への悪影響が懸念されていたからである。2015年にMageeらによるControl of Hypertension in Pregnancy Study(CHIPS)の結果が報告され、妊娠中の拡張期血圧85mmHgを目標に降圧した群(tight control群)では、拡張期血圧100mmHgを目標に降圧した群(less tight control群)と比較して、児への悪影響を認めることなく、母体の重症高血圧への移行を有意に防げたことが示された。また、その後の追加解析で、重症高血圧を認めること自体が、母体だけではなくpregnancy lossや児の48時間以上のNICU入室といった複合アウトカムと関連していることが示された。しかし米国は、非重症域の高血圧に対し降圧加療を行うことが、母児両方にメリットがあることを示すには、CHIPStrialではパワー不足であるとし、降圧開始基準を重症高血圧に据え置いていた。

14%の医師がコロナ前より年収増と回答、理由は?/1,000人アンケート

 ケアネットでは、3月10日(木)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で新型コロナ禍前と比較した年収の変化について尋ねたところ、増えた(かなり増えた+やや増えた)と回答したのは14%、ほぼ変わらないと回答したのが66%、減った(かなり減った+やや減った)と回答したのは20%だった。  新型コロナ禍前と比較した年収の変化を年収別にみると、年収2千万円未満では「増えた(かなり増えた+やや増えた)」と答えたのは10%だったのに対し、年収2千万円以上では25%と多い傾向がみられた。  年齢別にみると、35歳以下では「増えた(かなり増えた+やや増えた)」と回答したのが25%だったのに対し66歳以上では6%と、年齢が上がるごとにその割合が低下する傾向がみられた。逆に「減った(かなり減った+やや減った)」という回答は35歳以下では11%だったの対し66歳以上では32%と、年齢が上がるごとに増加した。

医師が考える適正年収、満足度の目安は2千万円超え?/1,000人アンケート

 ケアネットでは、3月10日(木)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で、自身の業務内容・仕事量に見合うと思う適正年収について尋ねたところ、実際の年収が2,000万円未満の医師(76%)では、適正年収は「現状より高い金額」が妥当だという回答が過半数を占めた。実年収が2,000万円以上の医師(24%)は、「現状と同額」または「現状より低い金額」という回答が6割以上を占めた。全体の35%が、自身の考える適正年収は2000万円以上と回答した。

日本からもこういう情報が欲しい!(解説:後藤信哉氏)

新型コロナウイルス感染禍は2年以上持続している。テレビのニュースでは各県の新規感染者数が発表される。日本のような小さな国で、各県、揺らぎの大きい毎日の感染報告者数を発表されても正直何もわからない。科学の世界では数値情報が必須である。世界の誰とも共有できるように、科学的方法に基づいて数値をまとめてほしい。北欧諸国は日本と同様に比較的サイズの小さい国である。社会主義的傾向があるのでNational Databaseが充実している。本研究は新型コロナウイルス発症日を起点として、発症前の時期と静脈血栓症、肺塞栓症、重篤出血イベントの発症リスクを示している。ウイルス感染であるため、感染後ウイルスは増殖するが、免疫により駆逐される。新型コロナウイルスは血管内皮にも感染して血栓リスクを増加させるとされているが、リスクの増加はいつまでも持続するわけではない。血栓イベント予防を目指してヘパリンなどの抗血栓薬を使用するのが一般的なので重篤な出血合併症も増えると想定される。

軽い飲酒でもCVDリスク上昇、英国37万人の遺伝疫学研究

 今回、遺伝学的データを含む英国の大規模前向きコホート研究UK Biobankで、2006~10年に参加者を集めて2016年まで追跡調査を行い、線形および非線形メンデルランダム化分析を用いて評価した。データ解析は、2019年7月~2022年1月に実施。参加者のアルコール摂取量は、米国のアルコール消費量尺度Standard drink(1drinkは約14gのアルコールを含む)を用いて評価され、1週間のアルコール摂取量によって禁酒者(0 drink)、軽度(0〜8.4 drinks)、中等度(8.4〜15.4 drinks)、重度(15.4〜24.5 drinks)、乱用(24.5 drinks)と定義された。  主な結果は以下のとおり。 ・本研究には、週に平均(SD)9.2(10.6)drinksを摂取する37万1,463例の参加者が含まれた。平均年齢(SD)は57.0(7.9)歳で、その内46%(17万2,400例)が男性だった。 ・全体の33%(12万1,708例)が高血圧症、7.5%(2万7,667例)が冠動脈疾患を患ってい

新型コロナによる血栓・出血リスク、いつまで高い?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は深部静脈血栓症、肺塞栓症および出血のリスク因子であることが、スウェーデンにおけるCOVID-19の全症例を分析した自己対照ケースシリーズ(SCCS)研究およびマッチドコホート研究で示された。スウェーデン・ウメオ大学のIoannis Katsoularis氏らが報告した。COVID-19により静脈血栓塞栓症のリスクが高まることは知られているが、リスクが高い期間やパンデミック中にリスクが変化するか、また、COVID-19は出血リスクも高めるかどうかについては、ほとんどわかっていなかった。著者は、「今回の結果は、COVID-19後の静脈血栓塞栓症の診断と予防戦略に関する推奨に影響を与えるだろう」とまとめている。BMJ誌2022年4月6日号掲載の報告。

末梢動脈疾患の在宅での歩行運動導入、歩行距離を改善/JAMA

 間欠性跛行を呈する末梢動脈疾患(PAD)成人患者において、在宅での歩行運動行動変容介入は通常ケアと比較し、3ヵ月時点での歩行距離を改善することが示された。英国・ロンドン大学のLindsay M. Bearne氏らが、多施設共同無作為化評価者盲検比較試験「Motivating Structured Walking Activity in People With Intermittent Claudication trial:MOSAIC試験」の結果を報告した。PAD患者に対し在宅での歩行運動介入が推奨されているが、その有効性に関するエビデンスはさまざまであった。JAMA誌2022年4月12日号掲載の報告。