循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:81

スタチン、抗凝固薬服用の心房細動患者の出血リスクを低減

 経口抗凝固薬を服用している非弁膜症性心房細動患者において、スタチン服用で大出血、全死亡、虚血性イベントのリスクが有意に低下したことが、多施設後ろ向きレジストリ研究で示唆された。兵庫医科大学の内田 和孝氏らがAmerican Journal of Cardiovascular Drugs誌オンライン版2022年11月16日号で報告した。  本研究は、心臓機械弁もしくは肺/深部静脈血栓症の既往歴のある患者を除外した経口抗凝固薬を服用している非弁膜症性心房細動患者を対象とした。2013年2月26日に7,826例を登録し、2017年2月25日まで追跡した。主要評価項目は大出血、副次評価項目は全死亡、虚血性イベント、出血性脳卒中、虚血性脳卒中で、スタチン投与群と非投与群で比較した。

baxdrostat、治療抵抗性高血圧で有望な降圧効果/NEJM

 治療抵抗性高血圧患者の治療において、選択的アルドステロン合成阻害薬baxdrostatは用量依存性に収縮期血圧の低下をもたらし、高用量では拡張期血圧に対する降圧効果の可能性もあることが、米国・CinCor PharmaのMason W. Freeman氏らが実施した「BrigHTN試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月7日号で報告された。  BrigHTN試験は、適応的デザインを用いた二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定第II相試験であり、2020年7月~2022年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(米国・CinCor Pharmaの助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、利尿薬を含む少なくとも3剤の降圧薬の安定用量での投与を受けており、座位平均血圧が130/80mmHg以上の患者であった。被験者は、3種の用量のbaxdrostat(0.5mg、1mg、2mg)またはプラセボを1日1回、12週間、経口投与する4つの群に無作為に割り付けられた。  主要エンドポイントは、プラセボ群と比較したbaxdrostat群の各用量における、収縮期血圧のベースラインから12週目までの変化量とされた。

STEMIのPCI時の抗凝固療法、bivalirudin vs.ヘパリン/Lancet

 主に経橈骨動脈アプローチによる初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、bivalirudinのボーラス投与+PCI後2~4時間の高用量点滴静注は、ヘパリンのボーラス投与と比較し、30日全死亡/大出血の発生が有意に低下した。中国・General Hospital of Northern Theater CommandのYi Li氏らが、中国63都市の87施設で実施した医師主導の無作為化非盲検比較試験「Bivalirudin With Prolonged Full-Dose Infusion During Primary PCI Versus Heparin Trial-4 trial:BRIGHT-4試験」の結果を報告した。初回PCIを受けるSTEMI患者を対象にbivalirudinとヘパリンを比較したこれまでの無作為化試験では、bivalirudinの用法・用量あるいは糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の併用の有無など試験方法が異なるため、矛盾する結果が報告されていた。Lancet誌2022年11月26日号掲載の報告。

軽症のコロナ入院患者、ARB上乗せは無益/BMJ

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)(主にテルミサルタン40mg/日)による治療は疾患重症度に対する有益性がないことが、オーストラリア・シドニー大学のMeg J. Jardine氏らがインドとオーストラリアの17施設で実施したプラグマティックなアダプティブデザインの無作為化比較試験「CLARITY試験」の結果、示された。これまで、ARB未治療の患者を対象とした5件の無作為化臨床試験において、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の主要評価項目に対する中立的効果が報告され、1件では副次評価項目である死亡に対し高用量テルミサルタン(80mgを1日2回14日間投与)の有益性が報告されていた。

STEMIの治療開始までの時間と院内死亡率、直近4年で増加/JAMA

 米国・Lindner Center for Research and EducationのJames G. Jollis氏らが、2018~21年のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者11万例超を対象に行った横断研究の結果、治療開始までの時間(中央値)は2018年第2四半期86分、2021年第1四半期91分、院内死亡率はそれぞれ5.6%および8.7%で、いずれも統計学的に有意に増加していた。そのほか、来院形態にかかわらず、治療開始までの時間が目標を達成した場合に院内死亡率が低いなど、2018~21年の期間におけるSTEMI治療の経過と転帰に関する解析結果を報告している。JAMA誌2022年11月22日号掲載の報告。

難治性心室細動、新たな除細動法が生存退院率を改善/NEJM

 院外心停止で難治性心室細動が認められる患者において、二重連続体外式除細動(DSED)およびベクトル変化(VC)除細動は標準的な除細動と比較して、いずれも生存退院率が高く、修正Rankin尺度スコアで評価した良好な神経学的転帰の達成はDSEDで優れたものの、VC除細動には差がなかったことが、カナダ・トロント大学のSheldon Cheskes氏らが実施した「DOSE VF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年11月24日号で報告された。  DOSE VF試験は、カナダの6つの救急医療サービス(合計約4,000人の救急隊員)が参加した3群クラスター無作為化対照比較クロスオーバー試験であり、2018年3月~2022年5月の期間に行われた(カナダ心臓・脳卒中財団の助成を受けた)。

2型DM患者の高TG血症へのペマフィブラート、心血管イベント抑制効果は?/NEJM

 軽度~中等度の高トリグリセライド血症を伴い、HDLコレステロールとLDLコレステロールの値が低い2型糖尿病患者において、ペマフィブラート(選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αモジュレーター)はプラセボと比較して、トリグリセライド、VLDLコレステロール、レムナントコレステロール、アポリポ蛋白C-IIIの値を低下させたが、心血管イベントの発生は抑制しなかったことが、米国ブリガム&ウィメンズ病院のAruna Das Pradhan氏らが実施した「PROMINENT試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2022年11月24日号に掲載された。

発作性AF、冷凍アブレーションが持続性への移行を有意に抑制/NEJM

 未治療の発作性心房細動に対するクライオ(冷凍)バルーンアブレーションによる初期治療は、抗不整脈薬と比較して、3年間の追跡期間における持続性心房細動の発生率および心房頻脈性不整脈の再発率が低いことが、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJason G. Andrade氏らがカナダの18施設で実施した医師主導の無作為化非盲検評価者盲検試験「EARLY-AF試験」の結果、示された。心房細動は慢性化する進行性の疾患で、心房細動の持続は血栓塞栓症や心不全のリスクを増加させる。初期治療としてのカテーテルアブレーションは、心房細動の発症機序に作用し持続性心房細動への移行を抑制する可能性が期待されていた。NEJM誌オンライン版2022年11月7日号掲載の報告。

SGLT2阻害薬、DM有無問わずCKD進行と心血管死を抑制/Lancet

 SGLT2阻害薬は、心血管リスクの高い2型糖尿病患者のみならず慢性腎臓病または心不全を有する患者においても、糖尿病の状態、原発性腎疾患または腎機能にかかわらず、腎臓病進行および急性腎障害のリスクを低下させることが、英国・オックスフォード大学のNatalie Staplin氏らSGLT2 inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C)による解析の結果、報告された。Lancet誌2022年11月19日号掲載の報告。研究グループは、MEDLINEおよびEmbaseを用い、2022年9月5日までに発表されたSGLT2阻害薬の臨床試験(SGLT1/2阻害薬の併用を含む、年齢18歳以上の成人を対象とした二重盲検プラセボ対照試験[クロスオーバー試験は除く]、各群500例以上、試験期間6ヵ月以上)を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。

急性心不全、強化治療戦略で死亡・再入院リスク減/Lancet

 急性心不全で入退院後、診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)の早期漸増と頻回なフォローアップによる強化治療戦略は、通常治療と比較して症状軽減、QOL改善、および180日以内の全死因死亡+心不全再入院リスクの減少をもたらすことが、フランスのパリ・シテ大学のAlexandre Mebazaa氏らが実施した多施設共同無作為化非盲検並行群間試験「STRONG-HF試験」の結果、示された。急性心不全で入退院後にGDMTを行う際の用量や漸増速度に関するエビデンスは不足していた。Lancet誌オンライン版2022年11月7日号掲載の報告。