循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:81

うっ血やLVEFの低下がある急性心筋梗塞では、SGLT2阻害薬の追加により心不全入院を予防できる可能性(解説:原田和昌氏)

心不全ステージBである急性心筋梗塞(MI)患者では心不全(HF)発症リスクが高く、とくにうっ血やLVEFの低下がある場合は予後不良とされる。SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは、2型糖尿病、CKD、HF患者における心血管イベント抑制効果が示されており、MI後の心不全発症の予防も期待される。Butler氏らは、MI後のHF発症に対するエンパグリフロジン上乗せの有効性と安全性を検証する国際共同第III相多施設ランダム化並行群間プラセボ対照優越性試験EMPACT-MI試験を行った。急性心筋梗塞(STEMIまたはNSTEMI)発症後14日以内でLVEFが45%未満、またはうっ血が認められる18歳以上のHF高リスク患者6,522例が対象で、慢性HFの既往、1型糖尿病、eGFR 20mL/分/1.73m2未満などは除外した。2型糖尿病31.9%、心筋梗塞の既往13.0%、STEMI 74.3%、三枝病変31.0%、心房細動10.6%などであった。RAS阻害薬、β遮断薬、MRA、スタチン、抗血小板療法などの標準治療がなされ、血行再建術は89.3%に行われた。主要評価項目は複合イベント(HFによる初回入院または全死亡)の発生であった。

症候性閉塞性肥大型心筋症へのaficamten、酸素摂取量や身体機能が改善/NEJM

 症候性閉塞性肥大型心筋症(HCM)患者において、経口選択的心筋ミオシン阻害薬aficamtenはプラセボと比較し最大酸素摂取量を有意に改善させたことが示された。米国・Lahey Hospital and Medical CenterのMartin S. Maron氏らSEQUOIA-HCM Investigatorsが、14ヵ国101施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SEQUOIA-HCM試験」の結果を報告した。閉塞性HCM患者における運動耐容能低下や症状の主な原因の1つは、左室流出路(LVOT)閉塞による心内圧の上昇である。aficamtenは、心筋の過剰収縮を軽減することによってLVOT圧較差を減少させることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2024年5月13日号掲載の報告。

レートコントロールと重篤な出血イベント(解説:後藤信哉氏)

非弁膜症性心房細動に対する抗凝固療法は広く普及した。心房細動の動悸に対してレートコントロールが必要となる。レートコントロールにはβ遮断薬かカルシウム拮抗薬を使っているケースが多いと思う。カルシウム拮抗薬としては、作用時間の短いベラパミルよりもジルチアゼムを使うことが多いと思う。レートコントロールで用いる薬と抗凝固薬の薬物相互作用などは十分に詳細に検討されてこなかった。薬物代謝的には、レートコントロール薬の代謝により代謝酵素が使用される結果、抗凝固薬の血中濃度が増加するリスクは想定された。本研究は後ろ向き観察研究コホートを用いて、レートコントロールに用いる薬剤による出血イベントリスクへのインパクトについての仮説産生を目指した。

50年代のすでに廃れた治療法に、もう一度光が当たるのか?(解説:野間重孝氏)

冠状静脈洞減圧術(Coronary Sinus Decompression:CSD)という名称で呼ばれる処置は、奇しくも1950年代のほぼ同時期に、まったく異なった2つの分野で開発された。1つはこの論文の研究対象となっている冠動脈疾患治療目的のCSDであり、もう1つは先天性心疾患の治療目的で開発されたCSDである。混乱を避ける意味でも、まず後者について簡単に解説した後、本題に入りたいと思う。

少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍/横浜市大

 わが国で高血圧は、脳・心血管疾患の死因の第2位であり、働き盛りの健康リスクともなっている。この一方で、若年から中年における血圧分類と心血管疾患(CVD)イベントとの関連に関するエビデンスは乏しかった。そこで、桑原 恵介氏(横浜市立大学 医学部公衆衛生学・大学院データサイエンス研究科)らの研究グループは、関東・東海地方に本社のある企業など10数社による職域多施設共同研究“Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study”(J-ECOHスタディ)に参加した高血圧の治療中ではない就労者8万1,876例を9年間追跡調査した。その結果、「少し高い血圧」の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが高まることが確認された。この結果は、Hypertension Research誌オンライン版2024年4月8日に掲載された。

取り過ぎた塩分を出す「排塩コントロール」と具体的な指導方法

 10年ほど前に話題になったDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食。それが今、塩分を排出させる食事として再注目されているようだ。DASH食とは、飽和脂肪とコレステロールの少ない果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を豊富に摂取することで降圧効果が期待される“塩分の排出に重点を置いた食事療法”で、米国・国立衛生研究所(NIH)などが考案したのを契機に、国内の高血圧治療ガイドライン2019年版でも推奨されている。また、この食事療法に減塩を組み合わせたものはDASH-sodium食と呼ばれ、これまでに十分なエビデンスが報告されている。

ASPECTS 0~5の広範囲脳梗塞にも血管内治療は有効か?/NEJM

 ベースラインでの梗塞サイズの上限を設けずに試験登録した急性期広範囲脳梗塞患者において、血栓除去術+内科的治療は内科的治療単独と比べて、良好な機能的アウトカムをもたらし、死亡率も低下したことが示された。ただし症候性脳出血の発生率は高かった。フランス・Hopital Gui de ChauliacのVincent Costalat氏らLASTE Trial Investigatorsが、多施設共同前向き非盲検無作為化試験「LASTE試験」の結果を報告した。梗塞サイズの上限を設けない急性期広範囲脳梗塞患者における血栓除去術の使用については、これまで十分に検証されていなかった。NEJM誌2024年5月9日号掲載の報告。

STEMI合併心原性ショック、循環補助用心内留置型ポンプカテーテルは有用か?/NEJM

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)で心原性ショックを合併した患者の治療において、標準治療に加え循環補助用心内留置型ポンプカテーテルImpella CP(Abiomed製)を使用することにより、標準治療単独と比較して180日全死因死亡リスクは低下したが、有害事象の複合の発現率は増加した。デンマーク・コペンハーゲン大学病院RigshospitaletのJacob E. Moller氏らDanGer Shock Investigatorsが、デンマーク、ドイツおよび英国の計14施設で実施された無作為化比較試験「Danish-German Cardiogenic Shock trial:DanGer Shock試験」の結果を報告した。心原性ショックを呈したSTEMI患者に対する、微小軸流ポンプによる一時的な機械的循環補助の有用性は依然として不明であった。NEJM誌2024年4月18日号掲載の報告。

術後の静脈血栓塞栓リスク、最も高いがんは?

 がん手術後の静脈血栓塞栓のリスク増加を、がん種別に評価した研究結果が発表された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のJohan Bjorklund氏らによる本研究結果は、JAMA Network Open誌2024年2月2日号に掲載された。  本試験は1998~2016年のスウェーデンの全人口データを用いた後ろ向きコホート研究であった。膀胱がん、乳がん、大腸がん、婦人科がん、腎臓・上部尿路上皮がん、肺がん、前立腺がん、胃・食道がんの8種のがんで手術を受けた全患者を、非がんの一般集団と1対10の割合でマッチさせた。データは2023年2月13日~12月5日に解析された。

降圧薬を開始・追加した高齢者は〇〇に注意?

 高齢者は転倒リスクの1つである起立性低血圧が生じやすい。そこで、米国・Rutgers UniversityのChintan V. Dave氏らの研究チームは、降圧薬が高齢者の骨折リスクへ及ぼす影響を検討した。その結果、降圧薬の開始・追加は骨折や転倒、失神のリスクを上昇させた。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年4月22日号で報告された。  研究チームは、2006~19年に長期介護施設へ入所した米国の退役軍人2万9,648人を対象に、target trial emulationの手法を用いた後ろ向きコホート研究を実施した。50個以上の共変量について1:4の割合で傾向スコアマッチングを行い、降圧薬の開始・追加後30日以内の骨折の発生リスクを評価した。認知症の有無、収縮期血圧(140mmHg以上/未満)、拡張期血圧(80mmHg以上/未満)、降圧薬の使用歴、年齢(80歳以上/未満)別のサブグループ解析も実施した。さらに、入院または救急受診を要する重度の転倒、失神のリスクも評価した。なお、降圧薬の開始・追加は、過去4週間以内に降圧薬を使用していない患者の降圧薬の使用、または過去4週間に使用している降圧薬とは別のクラスの降圧薬の追加と定義した。