循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:77

心筋ミオシン活性化薬、慢性HFrEF患者の運動耐容能を改善せず/JAMA

 左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)患者の治療において、選択的心筋ミオシン活性化薬omecamtiv mecarbilはプラセボと比較して、20週時の運動耐容能(最大酸素摂取量[peak V(・)O2])を改善しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のGregory D. Lewis氏らが実施したMETEORIC-HF試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年7月19日号に掲載された。  METEORIC-HF試験は、慢性HFrEF患者におけるomecamtiv mecarbilによる運動耐容能の改善効果の検証を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年3月~2021年5月の期間に、北米37施設と欧州26施設の合計63施設で参加者の登録が行われた(AmgenとCytokineticsの助成を受けた)。

中強度スタチン+エゼチミブ、ASCVD患者で高強度スタチンに非劣性/Lancet

 新たな心血管疾患のリスクがきわめて高いアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者の治療において、中強度スタチン+エゼチミブ併用療法は高強度スタチン単剤療法に対し、3年間の心血管死、主要心血管イベント、非致死的脳卒中の複合アウトカムに関して非劣性で、LDLコレステロール値<70mg/dLを維持している患者の割合が高く、不耐による投与中止や減量を要する患者の割合は低いことが、韓国・延世大学校医科大学のByeong-Keuk Kim氏らが実施した「RACING試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年7月18日号で報告された。

有害量のアルコール摂取、若年男性で多い:GBD2020/Lancet

 アルコール摂取に関する勧告は年齢および地域によって異なることを支持する強いエビデンスがあり、とくに若年者に向けた強力な介入が、アルコールに起因する世界的な健康損失を減少させるために必要であることが、米国・ワシントン大学のDana Bryazka氏らGBD 2020 Alcohol Collaboratorsの解析で明らかとなった。適度なアルコール摂取に関連する健康リスクについては議論が続いており、少量のアルコール摂取はいくつかの健康アウトカムのリスクを低下させるが他のリスクを増加させ、全体のリスクは地域・年齢・性別・年によって異なる疾患自然発生率に、部分的に依存することが示唆されていた。Lancet誌2022年7月16日号掲載の報告。

奥が深い“NO benefit”(解説:今中和人氏)

本邦では保険収載されるほど、一酸化窒素(NO)療法は広く普及している。NOは水溶性が低く、急速に失活する生理活性物質であるため、基本コンセプトは経気道的投与と気道付近にほぼ限局した血管拡張で、もっぱら肺血圧低下と換気血流比不均衡是正に伴う呼吸・循環状態の改善を目的に使用される。本論文は開心術中、人工肺にNOを送気するトライアルで、前述の基本コンセプトと大幅に異なるが、実は2013年には小児で、2019年には成人で、この方法の有用性を示した先行研究がJTCVS誌に掲載されている。ただ、いずれも前向き無作為化試験といっても単施設で患者数がかなり少なく、共通する便益は半日後や翌日の一過性のバイオマーカー値のみだったが、他に2016年に1本、小児で臨床的な有効性を報告した200例規模の論文も存在する。

mRNAワクチン後の心筋炎、予防に有効な接種間隔は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン接種後の心筋炎のリスクが最も高いのは、思春期および若年成人の男性であり、これらの集団ではモデルナ製よりファイザー製のワクチンを用い接種間隔は30日以上が望ましいこと、5~11歳の小児での心筋炎発症は非常に稀でエビデンスの確実性は低いことなどを、カナダ・アルバータ大学のJennifer Pillay氏らが、システマティック・レビューの結果、報告した。著者は、「mRNAワクチンに関連した心筋炎は良性と思われるが、長期追跡データは限られており、生検や組織形態学等の適切な検査を用いた前向き研究によりメカニズムの解明が進むだろう」とまとめている。BMJ誌2022年7月13日号掲載の報告。

異種ワクチンでのブースター接種、安全性は?/BMJ

 新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について、「ChAdOx1-S」(アストラゼネカ製)によるプライマリ接種とmRNAワクチン(「BNT162b2」[ファイザー製]または「mRNA-1273」[モデルナ製])によるブースター接種(異種ワクチン接種)は、プライマリ+ブースターをすべてmRNAワクチンで接種した場合(mRNA同種ワクチン3回接種)と比べて、重篤な有害イベントリスクの増大は認められなかったことを、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らが報告した。同国内でワクチン接種をした成人を対象に行ったコホート試験の結果で、これまで異種ワクチンの安全性に関する情報は不十分だった。BMJ誌2022年7月13日号掲載の報告。

急性期疾患の静脈血栓塞栓症予防、中用量の低分子ヘパリンが最適か/BMJ

 急性期疾患で入院した成人患者への抗凝固薬は、症候性静脈血栓塞栓症のリスク低下と大出血リスクを考慮すると、中用量低分子量ヘパリンが最適と思われる見解を、オランダ・フローニンゲン大学のRuben J. Eck氏らが、被験者総数9万人超を対象としたシステマティック・レビューとネットワークメタ解析の結果、示した。未分画ヘパリン(とくに中用量)と直接経口抗凝固薬(DOAC)のプロファイルは最も不良であったという。BMJ誌2022年7月4日号掲載の報告。  研究グループは、急性期疾患で入院した患者において、静脈血栓塞栓症の予防を目的とした抗凝固薬投与のベネフィットと有害性を抗凝固薬の種別および投与量別に評価するシステマティック・レビューとネットワークメタ解析を行った。

ノババックスワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂指示

 厚生労働省は7月8日、新型コロナウイルスに対するノババックス製新型コロナウイルスワクチン「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」(商品名:ヌバキソビッド筋注)について、使用上の注意に「重要な基本的注意」の項目を新設し、心筋炎・心膜炎に関して追記するよう改訂指示を発出した。  今回の改訂指示は、第81回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(2022年7月8日開催)における審議結果などを踏まえたものとなる。

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版、主な改訂点5つ/日本動脈硬化学会

 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版が5年ぶりに改訂、7月4日に発刊された。本ガイドライン委員長の岡村 智教氏(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 教授)が5日に開催されたプレスセミナーにおいて変更点を紹介した(主催:日本動脈硬化学会)。  今回の改訂でキーワードとなるのが、「トリグリセライド」「アテローム血栓性脳梗塞」「糖尿病」である。これを踏まえて2017年版からの変更点がまとめられている序章(p.11)に目を通すと、改訂点が一目瞭然である。なお、本書のPDFは動脈硬化学会のホームページより誰でもダウンロードできる。

オンデキサの臨床的意義とDOAC投与中の患者に伝えておくべきこと/AZ

 アストラゼネカは国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤オンデキサ静注用200mg(一般名:アンデキサネット アルファ[遺伝子組み換え]、以下:オンデキサ)を発売したことをうけ、2022年6月28日にメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、はじめに緒方 史子氏(アストラゼネカ 執行役員 循環器・腎・代謝/消化器 事業本部長)により同部門の新領域拡大と今後の展望について語られた。  AstraZeneca(英国)とアレクシオン・ファーマシューティカルズが統合したことで、今後多くのシナジーが期待されるが、今回発売されたオンデキサはその象徴的なものであると考えている。同部門では、あらゆる診療科に情報提供を行っているため、オンデキサの処方が想定される診療科だけでなく、直接作用型第Xa因子阻害剤を処方している診療科にも幅広く情報提供が可能である。オンデキサが必要な患者さんに届けられるよう、認知拡大や医療機関での採用活動に注力していきたいと述べた。