糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:156

ピオグリタゾンとがん(解説:吉岡 成人 氏)-397

日本における糖尿病患者の死因の第1位は「がん」であり、糖尿病患者の高齢化と相まって、糖尿病患者の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで死亡する時代となっている。日本人の2型糖尿病患者におけるがん罹患のハザード比は1.20前後であり、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが増加することが、疫学調査によって確認されている。糖尿病によってがんの罹患リスクが上昇するメカニズムとしては、インスリン抵抗性、高インスリン血症の影響が大きいと考えられている。インスリンはインスリン受容体のみならず、インスリン様成長因子(IGF-1)の受容体とも結合することで細胞増殖を促し、がんの発生、増殖にも関連する。

ピオグリタゾンのがんリスクを検討~20万人のコホート試験/JAMA

 ピオグリタゾン(商品名:アクトスほか)の使用は、膀胱がんリスク増大と有意な関連は認められなかったが、がんリスクを除外することはできないことを、米国・ペンシルベニア大学のJames D. Lewis氏らが、約20万人について行ったコホート試験の結果、報告した。前立腺がんおよび膵臓がんリスク増大との関連が示され、著者は「さらなる検討を行い、それらの関連性に因果関係があるのか、偶然によるものか、残余交絡や逆相関についても調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。

砂糖入り飲料、肥満に関係なく糖尿病リスク増加/BMJ

 砂糖入りの飲料を習慣的に飲用すると、肥満の有無とは無関係に2型糖尿病のリスクが上昇することが、英国・ケンブリッジ大学の今村 文昭氏らの調査で明らかとなった。砂糖入り飲料は肥満や2型糖尿病を増加させる可能性があり、人工甘味料入り飲料や果物ジュースによる代替が検討されているが、これらの飲料と2型糖尿病との関連は確立されていない。また、砂糖入り飲料の摂取に起因する2型糖尿病の発症状況も不明だという。BMJ誌オンライン版2015年7月21日号掲載の報告。

糖尿病性腎症に合併する高K血症、patiromerが有効/JAMA

 糖尿病性腎症で高カリウム血症の合併がありRAAS阻害薬を服用している患者に対し、patiromerを4.2~16.8g、1日2回投与することで、血中カリウム値は有意に低下し、52週にわたり維持されたことが報告された。米国・シカゴ大学のGeorge L. Bakris氏らが、306例の患者を対象に行った、patiromerの用量範囲探索、無作為化非盲検第II相試験「AMETHYST-DN」の結果、報告した。JAMA誌2015年7月14日号で発表した。

すべての1型糖尿病患者にインスリンポンプ療法を施行すべきか?(解説:住谷 哲 氏)-387

 1型糖尿病患者は、インスリン分泌が枯渇しているため、インスリン投与が必須となる。現在では基礎インスリンとボーラスインスリンを組み合わせた、インスリン頻回注射療法[MDI [Multiple daily injections]、(BBT [Basal-bolus treatment]ともいう)]を用いたインスリン強化療法が主流である。しかし、生理的インスリン補充のために必要となる基礎インスリンの調節は、MDIにおいては困難である。一方、インスリンポンプ療法(CSII [continuous subcutaneous insulin infusion]ともいう)は、自由に基礎インスリン量を調節できるために、MDIと比較して低血糖の少ない、より変動の少ない血糖コントロールが可能であるとされる。

糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、2つ以上の罹患歴があると…/JAMA

 糖尿病、脳卒中、心筋梗塞のうち2つ以上の罹患歴を有する場合を、心代謝性疾患の多疾病罹患(cardiometabolic multimorbidity)と呼ぶ。このような集団は、罹患歴がない場合に比べ死亡リスクが相乗的に増大することが、英国・ケンブリッジ大学のEmanuele Di Angelantonio氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)の研究グループの検討で示された。近年、心代謝性疾患の多疾病罹患の有病率が急速に上昇している。3疾患の個々の死亡リスクについては多数のエビデンスが存在するが、複数の疾患の罹患歴がある場合の生存に関するエビデンスはほとんどないという。JAMA誌2015年7月7日号掲載の報告。

ERFC試験:心血管代謝疾患の重積と生命予後~糖尿病のリスクは心血管疾患のリスクに匹敵?~(解説:浦 信行 氏)-385

 The Emerging Risk Factors Collaboration(ERFC)は、1960年~2007年に追跡が開始され、2013年4月までに12万8,843例が死亡した、欧州と北米の91コホート、68万9,300例の性と年齢で調整した死亡率とハザード比を算出した。そして、2006年~2010年に49万9,808例の追跡開始がなされ、2013年11月までに7,995例が死亡した、より新しいUK Biobankの成績と対比させた。

肥満成人におけるリラグルチドの減量効果/NEJM

 先行研究において、GLP-1受容体作動薬のアナログ製剤リラグルチドの1日1回3.0mg皮下注が、体重管理に有用である可能性が報告されていた。これを踏まえて米国・コロンビア大学のXavier Pi-Sunyer氏らは、2型糖尿病を有していない肥満成人、脂質異常症か高血圧を有する(治療の有無を問わず)過体重成人の計3,731例を対象に、同薬投与の有効性、安全性に関する56週の二重盲検無作為化試験を行った。その結果、食事および運動療法の補助としての同薬投与は、体重の減少および代謝コントロールの改善と関連していたことを報告した。NEJM誌2015年7月2日号掲載の報告より。

2型糖尿病、男性では膝OAの有意な予測因子に

 最近の研究では、肥満、糖尿病、高血圧および脂質異常症といった代謝因子やそれらの集積であるメタボリックシンドロームが、変形性膝関節症(膝OA)の病態生理に関与している可能性が示唆されている。フランス・AP-HP Henri Mondor HospitalのFlorent Eymard氏らは、膝OA患者を対象としたstrontium ranelateの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(SEKOIA試験)におけるプラセボ群について解析し、2型糖尿病が男性膝OA患者における関節裂隙狭小化の予測因子であることを報告した。Osteoarthritis and Cartilage誌2015年6月号(オンライン版2015年2月3日号)の掲載報告。