メキシコで加糖飲料に対しておよそ10%課税をしたことで、その購入量が非課税の場合に比べ6%、1日1人当たり12mL減少したという。メキシコ・国立公衆衛生研究所のM. Arantxa Colchero氏らが、6,000戸超について行った観察試験の結果、報告した。メキシコでは、糖尿病や肥満の罹患率が高く、2014年から加糖飲料に1ペソ/Lの課税を導入している。BMJ誌オンライン版2016年1月6日号掲載の報告。
53都市、20万人超を対象に試験
Colchero氏らは2012年1月~14年12月にかけて、人口5万人超の53都市の住民6,253戸(20万5,112例)を対象に、観察試験を行い、加糖飲料への課税前と課税後の消費量の違いについて検証した。
分析には、固定効果モデルを用い、飲料購入に対して経時的に影響を与えるマクロ経済的変数や、既存トレンドについて補正を行った。家族の年齢や性別、社会経済的水準(低、中、高レベル)などを変数として盛り込み、分析した。
2014年の課税・非課税飲料の購入量を比較し、課税前の傾向を基にして課税されなかった場合の予測購入量を推算し、実際購入量と比較した。
社会経済的水準が低い群で減少率高く、年平均9%減少
2014年の課税がない場合の予測購入量と比べ、課税対象飲料の実際の購入量は、平均6%(-12mL/人/日)減少した。減少率は加速度的に増し、2014年12月には12%減となった。
社会経済的水準がいずれの群でも課税飲料の購入量は減少したが、低レベル群で最も大幅な減少が認められ、2014年平均で9%減少、また同年12月には17%の減少が認められた。
一方で、ボトル入りの水の購入量などが増えており、非課税飲料の購入量は、加糖飲料の課税がなかった場合の予測値と比べ4%増加した。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)