糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:67

基礎インスリンで治療中の2型糖尿病患者の血糖コントロールに対するCGMの効果(解説:小川大輔氏)

糖尿病の診療において、血糖コントロール状況を把握する検査として血糖値とヘモグロビンA1cが通常用いられる。血糖値は採血時点の、ヘモグロビンA1cは過去1~2ヵ月間の血糖の状況を表す検査であり、外来診療ではこの2つの検査を同時に測定することが多い。さらにインスリンあるいはGLP-1受容体作動薬などの注射製剤を使用している患者は、日常生活において血糖を把握するために自己血糖測定を行うことが一般的である。 通常の自己血糖測定によるモニタリング(BGM)は測定のたびに指先を穿刺する必要があり、また連続した血糖の変動を捉えることができないという欠点がある。一方、近年使用されている持続血糖モニタリング(CGM)は一度装着すると血糖の変動を連続して把握することができるというメリットがある。CGMは毎食後や睡眠中の血糖コントロール状況がわかるため、糖尿病専門外来では糖尿病治療薬の変更や選択に活用されている。 2018年7月から2019年10月までに米国のプライマリケア施設で基礎インスリンを使用している2型糖尿病患者に対し、CGMの有効性の評価を目的とする無作為化臨床試験の結果がJAMA誌に報告された1)。対象は1日1回あるいは2回の基礎インスリンを用いて治療中の2型糖尿病患者であり、CGMまたはBGMでのモニタリングを行う群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。インスリン以外の糖尿病治療薬の有無は問わないが、食前のインスリンは使用していないことが条件である。主要評価項目は8ヵ月後の平均HbA1c値、副次評価項目は血糖値が目標範囲内(70~180mg/dL)の時間の割合、血糖値が250mg/dL以上の時間の割合、8ヵ月後の平均血糖値である。

tirzepatide、強力な血糖コントロール改善と減量効果/Lancet

 tirzepatideは、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体のデュアルアゴニストである。米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らは、「SURPASS-1試験」において、本薬はプラセボと比較して低血糖リスクを増加させずに血糖コントロールと体重の顕著な改善効果をもたらし、安全性プロファイルもGLP-1受容体作動薬と類似することを示した。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年6月25日号で報告された。  本研究は、4ヵ国(インド、日本、メキシコ、米国)の52施設で行われた第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2019年6月~2020年10月の期間に参加者の登録が行われた(Eli Lilly and Companyの助成による)。

新規GIP/GLP-1受容体作動薬、セマグルチドに対し優越性を示す/NEJM

 2型糖尿病患者において、tirzepatideはセマグルチドに対しベースラインから40週までのHbA1c低下が有意に優れていることが認められた。米国・National Research InstituteのJuan P. Frias氏らが、第III相無作為化非盲検試験「SURPASS-2試験」の結果を報告した。tirzepatideは、新規2型糖尿病治療薬として開発中のデュアル・グルコース依存性インスリン刺激性ポリペプチド(GIP)/グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬で、第III相国際臨床開発プログラムであるSURPASSプログラムにおいて、有効性と安全性が検討されている。そのうちSURPASS-2試験では、選択的GLP-1受容体作動薬セマグルチドの承認されている最高用量との比較が行われた。NEJM誌オンライン版2021年6月25日号掲載の報告。

エンパグリフロジン、HFpEFに初の有効性を確認/EMPEROR-Preserved試験

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジンが、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)患者を対象とした第III相EMPEROR-Preserved試験において、主要評価項目(心不全による心血管死または入院いずれかの最初のイベントまでの期間)を達成し、糖尿病の有無にかかわらず、HFpEF患者の心血管死または心不全による入院の複合リスクを有意に減少させたことを、ドイツ・べーリンガーインゲルハイムと米国・イーライリリーが、7月6日、プレスリリースで発表した。本試験の結果は、2021年8月の欧州心臓病学会(ESC)年次学術集会で発表される予定。

ふるさと納税、最も高額な寄付金と返礼品は?/医師1,000人に聞きました

 2008年から始まった「ふるさと納税」。言葉としては定着しているようだが、実際に医師の間にはどの程度浸透しているのだろうか。今回、医師の1回あたりの最高寄付金額や申込みの多い返礼品についてアンケート調査を行った。その結果、利用率は83%、人気の返礼品は肉類であることが明らかになった。また、1回の寄付金額が100万円以上と回答したのは14人(利用者の1.7%)だった。一方、ふるさと納税を利用していない17%における大半の理由は“面倒くさい”だったが、「地元の税収を減らしたくない」「趣旨に賛同できない」などの意見も挙げられた。

世界の喫煙率減少も、人口増で喫煙者数は増加:GBD 2019/Lancet

 世界的な15歳以上の喫煙率は、1990年以降、男女とも大幅に減少したが、国によって減少の程度やタバコ対策への取り組みにかなりの違いがあり、喫煙者の総数は人口の増加に伴って1990年以降大きく上昇したことが、米国・ワシントン大学のEmmanuela Gakidou氏らGBD 2019 Tobacco Collaboratorsの調査で明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌2021年6月19日号で報告された。  研究グループは、世界の疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study[GBD])の一環として、1990~2019年の期間に204の国と地域で、年齢別、性別の喫煙率と喫煙に起因する疾病負担について検討を行った(Bloomberg PhilanthropiesとBill & Melinda Gates財団の助成を受けた)。

リアルタイムCGM導入によるDM患者の入院率は?/JAMA

 インスリン療法を受けている糖尿病患者で、医師によりリアルタイム持続血糖モニタリング(CGM)が導入された患者は、CGMを開始しなかった患者と比較し、HbA1cの有意な低下と低血糖による救急外来受診/入院率の減少を認めたが、高血糖または理由を問わない救急外来受診/入院に有意差はなかった。米国・カイザーパーマネンテのAndrew J. Karter氏らが、探索的後ろ向きコホート研究の結果を報告した。CGMは1型糖尿病患者に推奨されているが、インスリン療法を受けている2型糖尿病患者におけるCGMの観察的エビデンスは不足していた。なお、今回の結果について著者は、「観察研究の結果のため、選択バイアスの影響を受けている可能性がある」との指摘もしている。JAMA誌2021年6月8日号掲載の報告。

2型糖尿病に新クラスの治療薬イメグリミン承認/大日本住友製薬

 大日本住友製薬は、2型糖尿病治療薬イメグリミン(商品名:ツイミーグ錠 500mg)について、6月23日付けで、2型糖尿病を適応症として、日本における製造販売承認を取得したと発表。同剤の承認は日本が世界で初めてとなる。  日本において、同社はPoxel社と共同で1,100例を超える2型糖尿病患者を対象とした3本の第III相試験(TIMES1、TIMES2、TIMES3)を実施し、それらの良好な試験結果等を基に、2020年7月30日、日本における製造販売承認申請を行った。

多剤併用の高齢者、他の薬剤継続もスタチン中止で心血管リスク増

 高齢者の多剤併用(ポリピル)は主要な健康問題に発展するため、近年問題になっている。処方薬を中止すれば薬の使用を減らすことができる一方、臨床転帰への影響は不確かなままである。そこで、イタリア・University of Milano-BicoccaのFederico Rea氏らがスタチン中止によるリスク増大の影響について調査を行った。その結果、多剤併用療法を受けている高齢者において、ほかの薬物療法を維持しつつもスタチンを中止すると、致命的および非致命的な心血管疾患発生の長期リスクの増加と関連していたことが示唆された。JAMA Network Open誌2021年6月14日号掲載の報告。

スクリーニング普及前後の2型糖尿病における心血管リスクの予測:リスクモデル作成(derivation study)と検証(validation study)による評価(解説:栗山哲氏)-1404

2型糖尿病の心血管リスクを、予知因子を用いてリスクモデルを作成(derivation study)し、さらにその検証(validation study)を行うことで評価した。ニュージーランド(NZ)からの本研究は、国のデータベースにリンクして大規模であること、データの適切性、対象者の95%がプライマリケアに参加していること、新・旧コホートの2者の検証を比較して後者での過大評価を明らかにしたこと、などの点で世界に先駆けた研究である。本研究のような最新の2型糖尿病スクリーニング普及は、低リスク患者のリスク評価にとっても重要である。