消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:104

小児の胃酸関連疾患の治療課題とPPIなどの薬物療法

 2018年7月13日アストラゼネカ株式会社は、第一三共株式会社と共同販売するプロトンポンプ阻害薬(PPI)エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)が、1歳以上の小児への追加承認を本年1月に受け、4月に同薬の懸濁用顆粒分包が新発売されたことを期し、「進化する酸関連疾患治療~子どもの酸関連疾患の治療課題とPPIがもたらす変革を考える~」をテーマとするメディアセミナーを開催した。セミナーでは、小児の胃食道逆流症(以下「GERD」と略す)など酸関連疾患の診療と今後の展望などが解説された(写真は、左:中山 佳子氏、右上:木下 芳一氏、右下:清水 俊明氏)。

2009年以降、若年成人の肝硬変による死亡が急増/BMJ

 米国では2009年以降、肝硬変による死亡率が上昇していることが明らかにされた。25~34歳群の上昇が最も大きく、原因はアルコール性肝疾患によるものであった。米国・ミシガン大学のElliot B. Tapper氏らが行った観察コホート研究の結果で、著者は「若い年代でアルコールが原因による死亡が急増していることは、肝疾患予防の適切なケアについて、新たなチャレンジが必要なことを強調するものだ」と述べている。このほか解析からは、肝硬変による死亡は、白人・ネイティブアメリカン・ヒスパニック系米国人での急増が大きかったこと、メリーランド州では改善していた一方、ケンタッキー・ニューメキシコ・アーカンソー州で高率であったことなどが明らかになったという。BMJ誌2018年7月18日号掲載の報告。

そもそも術前リスク評価をどう考えるべきか(解説:野間重孝 氏)-891

循環器内科はさまざまな院内サービスを行っているが、その中でも最も重要なものの1つが、心疾患を持つ(もしくは持つと疑われる)患者が心臓外のmajor surgeryを受ける場合のリスク評価に対するコンサルトに答えることではないかと思う。この場合、大体の医師が心疾患による追加的なリスクをまったく考える必要のない群を最軽症とし、これは絶対に手術は無理というものを最重症として5段階評価を考え、それなりの文章を考えて回答している、というあたりが実情なのではないかと思う。

過敏性腸症候群は炎症性腸疾患よりもうつ病が重症化しやすい

 過敏性腸症候群(IBS)患者は炎症性腸疾患(IBD)患者と比べて併存しているうつ病や不安の重症度が高いことが、中国・中日友好医院のQin Geng氏らの研究によって明らかになった。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2018年5月4日号に掲載。  IBSやIBDといった慢性胃腸疾患の患者では、うつ病が併存している割合が高いが、IBSとIBDで一貫性のある結果は認められていない。そのため、本研究では、IBSおよびIBD患者におけるうつ病の有病率や重症度について検討した。

anamorelin、日本人消化器がんの悪液質にも効果(ONO-7643-05)/日本臨床腫瘍学会

 がん悪液質は、進行がんの約70%に認められ、とくに進行消化器がんでは多くみられる。予後不良でQOLを低下させるが、現在有効な治療法はない。anamorelinは選択的グレリン受容体作動薬であり、肺がん悪液質における無作為化二重盲検比較試験(ONO-7643-04)で有効性が認められている。神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会では、消化器がんにおける悪液質に対するanamorelinの有効性と安全性を評価する多施設非無作為化オープンラベル試験ONO-7643-05の結果について杏林大学 古瀬 純司氏が発表した。

【JSMO2018みどころ】免疫療法とがんゲノム医療を中心に

 2018年7月19日(木)から3日間にわたって、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。本稿では、「がんゲノム医療」「がん免疫療法」の注目演題をセミナーでの演者のコメントとともに紹介する。

既治療の進行肝細胞がん、cabozantinibがOS、PFSを延長/NEJM

 ソラフェニブ既治療の進行肝細胞がんの患者において、cabozantinibによる治療はプラセボと比べて、全生存期間および無増悪生存期間の延長が認められたことが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのGhassan K. Abou-Alfa氏らによる第III相無作為化二重盲検試験の結果、示された。ただし有害事象の発現頻度は、cabozantinib群がプラセボ群の約2倍にみられた。cabozantinibは、肝細胞がんの進行や進行細胞がんの標準初回治療であるソラフェニブに対する耐性発現に関与するチロシンキナーゼ(血管内皮増殖因子受容体1、2、3、MET、AXLなど)を阻害する。研究グループは、既治療の進行肝細胞がん患者を対象に、cabozantinibとプラセボを比較した。NEJM誌2018年7月5日号掲載の報告。

CVリスク患者の術前運動耐容能評価にご用心/Lancet

 心臓以外の大手術前に行う運動耐容能の評価には、主観的評価は用いるべきではないことが、カナダ・Li Ka Shing Knowledge InstituteのDuminda N. Wijeysundera氏らによる国際共同前向きコホート試験の結果、示された。運動耐容能は大手術リスクアセスメントの重要な項目の1つであるが、それに対する医師の臨床上の主観的評価は必ずしも正確ではない。研究グループは、術前の主観的評価と、死亡や合併症を予測する代替フィットネスマーカー(心肺運動負荷試験[CPET:cardiopulmonary exercise testing]、DASI:Duke Activity Status Index、NT pro-BNP)を比較する検討を行った。Lancet誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。

潰瘍性大腸炎にはチーム医療で対抗する

 2018年7月2日、ファイザー株式会社は、同社が販売するJAK阻害剤トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)が、新たに指定難病の潰瘍性大腸炎(以下「UC」と略す)への適応症追加の承認を5月25日に得たのを期し、「潰瘍性大腸炎の治療法の現在と今後の展望について」と題するプレスカンファレンスを行った。カンファレンスでは、UC診療の概要、同社が全世界で実施したUC患者の実態調査「UC ナラティブ(Narrative)」の結果などが報告された。