食道がん発症の危険因子である喫煙と飲酒に有意な相加的相互作用が認められることが、愛知県がんセンター研究所の尾瀬 功氏らによる日本人集団ベースの大規模コホート研究のプール解析で示された。Cancer Medicine誌オンライン版2019年9月1日号に掲載。
本研究は、8つのコホート研究における被験者である16万2,826人の男性が対象。喫煙および飲酒状況については喫煙歴・飲酒歴の有無で分類し、喫煙量と飲酒量についてはpack-yearと1日飲酒量で3つに分類した。各研究における喫煙と飲酒の影響をCox回帰モデルで推定した。研究ごとの結果をメタ解析により結合させ、ハザード比(HR)の統合効果と、加法的および乗法的スケールによる相互作用を検討した。喫煙と飲酒の人口寄与割合(PAF)をこれらの曝露の分布と完全調整HRを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・計16万2,826人の男性のうち、954人に食道がんが発生した。
・喫煙、飲酒、およびこれらの組み合わせにおけるHR(95%信頼区間)は、それぞれ2.92(1.59~5.36)、2.73(1.78~4.18)、8.86(4.82~16.30)であった。
・加法的スケールでは喫煙と飲酒の相互作用が有意に認められたが、乗法的スケールでは有意ではなかった。
・3つのレベルでの喫煙と飲酒の組み合わせによる結果から、同様の有意な超相加的相互作用が示された。
・喫煙、飲酒、およびこれらの組み合わせのPAFは、それぞれ55.4%、61.2%、81.4%であった。
(ケアネット 金沢 浩子)