消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:108

身体能力低下の悪循環を断つ診療

 2018年4月19~21日の3日間、第104回 日本消化器病学会総会(会長 小池 和彦氏[東京大学医学部消化器内科 教授])が、「深化する多様性~消化器病学の未来を描く~」をテーマに、都内の京王プラザホテルにおいて開催された。期間中、消化器領域の最新の知見が、シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップなどで講演された。

慢性肝疾患リスクを低減する遺伝要因が明らかに/NEJM

 HSD17B13のスプライス変異体rs72613567:TAが、脂肪肝や脂肪性肝炎への進展リスク低下と関連することが、米国・Regeneron Genetics CenterのNoura S. Abul-Husn氏らによる検討で明らかになった。約4万7,000例を対象にした「DiscovEHRヒト遺伝学試験」のエクソーム解析データに加え、複数のコホート試験などを基にした検証結果で、NEJM誌2018年3月22日号で発表された。慢性肝疾患の基礎を成す遺伝要因は、新たな治療ターゲットを明らかにできる可能性があることから、解明への期待が寄せられていた。

日本人若年者のピロリ除菌療法、第1選択は?

 若年者のHelicobacter pylori(以下、ピロリ菌)感染に対する除菌治療は、胃がん予防に有効である。今回、JAPAN GAST Study Groupが、プロトンポンプ阻害薬ベースのトリプル療法(PACおよびPAM)について若年者での有効性を多施設無作為化比較試験で検討したところ、PAMによる除菌率がPACより有意に高いことが示された。研究グループは「抗菌薬感受性試験が実施できない場合、PAMが若年者のピロリ菌除菌の第1選択となりうる」としている。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2018年3月28日号に掲載。

米国で死亡率が増えている感染症は?/JAMA

 1980~2014年の米国における感染症死亡の動向を調べた結果、ほとんどの感染症疾患で死亡は減少していたが、郡(county)レベルでみるとかなりの格差があった。さらに同期間中に下痢症の死亡は増大していたという。米国・ワシントン大学のCharbel El Bcheraoui氏らによる調査報告で、JAMA誌2018年3月27日号で発表された。感染症はほとんどが予防可能だが、米国ではいまだに公衆衛生上の脅威とみなされている。そうした中でこれまで、郡レベルの感染症死亡の推定値は把握されていなかった。

StageIII大腸がんの術後補助化学療法、短縮は可能か?/NEJM

 StageIII大腸がん患者において、FOLFOX療法またはCAPOX療法による術後補助化学療法の3ヵ月投与は、全体集団では6ヵ月投与に対する非劣性が確認されなかったものの、サブグループ解析の結果、CAPOX療法を受けた、とくに低リスク症例において、3ヵ月投与は6ヵ月投与と同程度に有効であることが示された。米国・メイヨー・クリニックのAxel Grothery氏らが、StageIII大腸がん患者を対象とした術後補助化学療法の無作為化第III相試験6件を前向きに統合解析する、International Duration Evaluation of Adjuvant Therapy(IDEA)collaborationの結果を報告した。2004年以降、StageIII大腸がんに対する術後補助化学療法は、オキサリプラチンとフルオロピリミジン系薬を6ヵ月間併用するレジメンが標準治療となっている。しかし、オキサリプラチンは神経毒性の蓄積と関連があるため、治療期間の短縮による毒性や医療費の軽減が期待されていた。NEJM誌2018年3月29日号掲載の報告。

異時性胃がんの予防に対するピロリ除菌治療(解説:上村直実氏)-834

ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染と胃がんとの関連については、胃がん患者の99%が感染陽性ないしは感染の既往者であり、未感染者に胃がんが発症することは非常にまれであることが確認されている。一方、H. pylori感染者に対する除菌による胃がん予防効果は完全ではなく、最近の診療現場では頻繁に除菌後胃がんに遭遇するようになっている。

早期胃がん切除後のピロリ除菌は有益か/NEJM

 早期胃がんまたはハイグレード腺腫で内視鏡的切除を受けた患者に対し、抗菌薬によるヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の除菌治療はプラセボと比較して、1年以降に評価した異時性胃がんの発生リスクは低く、3年時に評価した胃体小彎の腺萎縮についても改善効果があることが示された。韓国・国立がんセンターのIl Ju Choi氏らが、470例を対象に行った前向き二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年3月22日号で発表した。これまで、H. pylori除菌治療による、組織学的改善や異時性胃がんの予防に関する長期的効果は不明だったという。