切除不能大腸がんにおける、1~2次治療でのFOLFOXIRI+ベバシズマブ(BV)療法と、1次治療FOLFOX+BV、2次治療FOLFIRI+BVの治療シークエンスとを比較した第III相TRIBE2試験の結果、FOLFOXIRI+BV療法が奏効率、PFSおよびOSを有意に改善した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、同試験のアップデートデータをイタリア・Azienda Ospedaliera Universitaria PisanaのChiara Cremolini氏が発表した。
TRIBE2試験は、切除不能大腸がんの1~2次治療における3剤併用+BV(トリプレット群)と2剤併用+BVの逐次療法(ダブレット群)という2つの治療戦略の有効性を評価する非盲検無作為化第III相試験。被験者は、以下の2群に1:1の割合で無作為に割り付けられた(各併用療法はそれぞれ最大8サイクル)。
【ダブレット群】FOLFOX+BV→維持療法として5-FU+BV(PDまで)→FOLFIRI+BV→5-FU+BV療法(PDまで)
【トリプレット群】FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)→FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)
主要評価項目は、「無作為化から、2次治療のPD(2次治療なし、あるいは1次治療でのPDから3ヵ月以内に2次治療が開始されなかった場合は1次治療のPD)または死亡のいずれかが最初に生じるまでの期間」として定義される無増悪生存期間2(PFS2)。副次評価項目は、全生存期間(OS)、1次治療/2次治療それぞれにおけるRECISTによる奏効率(RR)、安全性などであった。
主な結果は以下のとおり。
・2015年2月~2017年5月の間に、イタリアの58施設で、30~75歳、ECOG PS≦2(71歳以上はPS=0)の679例(ダブレット群/トリプレット群:340例/339例)の切除不能大腸がん患者が組み入れられた。年齢中央値:61歳/60歳、ECOG PS 0:85%/86%、右側原発:38%/38%、アジュバント化学療法歴有:2%/2%、同時性転移:89%/89%、肝限局転移:29%/32%、RAS変異型:65%/63%、BRAF変異型:10%/10%。
・追跡期間中央値30.6ヵ月で、1次治療後のPD(PD1)が594例(303/291) 、2次治療後のPD(PD2)が514例(272/242)、OSイベントが408例(217/191)で報告された(データカットオフは2019年3月1日)。
・トリプレット群ではダブレット群と比較して、1次治療のPFS中央値(9.8ヵ月 vs.12.0ヵ月、ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.63~0.88、p<0.001)およびRR(50% vs.62%、オッズ比:1.61、95%CI:1.19~2.18、p=0.002)、PFS2中央値(17.5ヵ月 vs.19.1ヵ月、HR:0.74、95%CI:0.62~0.88、p<0.001)を有意に改善した。
・PD1後に2次治療を受けたのは、ダブレット群で86%(うちFOLFIRI+BV:78%、FOLFIRI:10%)、トリプレット群で81%(うちFOLFOXIRI+BV:59%、FOLFOXIRI:9%)であった。
・2次治療のPFS中央値 は、5.6ヵ月 vs.6.2ヵ月、HR:0.87(95%CI:0.73~1.04、p=0.112)で有意差はなかった。しかしper protocol解析(324例)の結果、トリプレット群で2次治療のPFSを有意に延長した(5.8ヵ月 vs.6.5ヵ月、HR:0.76、95%CI:0.60~0.97、p=0.025)。
・OS中央値(予備解析、イベント数は60%)は、トリプレット群で有意に延長した(22.6ヵ月 vs. 27.6ヵ月、HR:0.81、95%CI:0.67~0.98、p=0.033)。
・Grade3/4の有害事象のうち、トリプレット群で多くみられた項目は、1次治療:下痢(5% vs.17%、p<0.001)、好中球減少症(21% vs.50%、p<0.001)、発熱性好中球減少症(3% vs.7%、p=0.050)、2次治療:神経毒性(0% vs.5%、p=0.004)であった。
(ケアネット 遊佐 なつみ)