消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:110

ICU入室患者への予防的PPIの効果は?/NEJM

 ICU入室の消化管出血リスクがある成人患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のpantoprazole投与は、プラセボ投与と比較して、90日死亡率および臨床的に重要なイベント数が同程度であった。デンマーク・Copenhagen Trial UnitのMette Krag氏らによる多施設共同の層別化並行群プラセボ対照盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年10月24日号で発表された。ICU入室患者に対して、消化管ストレス潰瘍の予防的処置はしばしば行われている。しかし、そのリスクとベネフィットは明らかではない。

FOLFOXIRI+BV、大腸がん1~2次治療で優越性(TRIBE2)/ESMO2018

 切除不能大腸がんにおいて、1~2次治療でのFOLFOXIRI+ベバシズマブ(BV)の併用療法が、FOLFOX+BV→FOLFIRI+BVの治療シークエンスと比較して良好なアウトカムを示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が発表した第III相TRIBE2試験の中間解析結果より。  TRIBE2試験は、切除不能大腸がんの1~2次治療における3剤併用+BVと2剤併用+BVの有効性を比較する非盲検無作為化第III相試験。被験者は、 Arm A:FOLFOX+BV→維持療法として5-FU+BV(PDまで)→FOLFIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)

胆道がん1次治療、GEM・CDDP・S-1トリプレットの可能性/ESMO2018

 ゲムシタビン+シスプラチン(GC)は、長年にわたり凌駕されることのない、進行胆道がん1次治療の標準治療である。しかし、ASCO-GI2018で発表された、わが国の第II相試験では、ゲムシタビン+S-1のGCに対する非劣性が示された。ミュンヘンでの欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、GC+S-1(GCS)とGCを比較した第III相KHBO-1082-MITSUBA試験の結果が大阪大学の坂井大介氏により発表された。  KHBO-1401-MITSUBA試験は、GCSのGCに対する優越性を検証する多施設オープンラベル比較試験。  

がん悪液質とグレリン様作用薬

 近年、グレリン様作用薬が、がん患者の悪液質症状の改善・軽減効果を示すことが大規模臨床試験で報告され注目を浴びている。そのような中、がん悪液質とグレリンの関係について、日本臨床栄養学会総会・日本臨床栄養協会総会の第16回大連合大会において、国立がん研究センター東病院の光永 修一氏が発表した。  がん悪液質は「通常の栄養サポートでは完全に回復することが困難で、進行性の機能障害をもたらし、著しい筋組織の減少を特徴とする複合的な代謝機能障害」(EPCRCガイドライン)と定義される。診断については、「(がん患者における)過去6ヵ月間で5%を超える体重減少がある」「BMI 20未満の患者で2%を超える体重減少がある」または「2%を超える体重減少とサルコペニアを認める」という基準が国際的コンセンサスを得ている。

心房細動発症後のがん発症率高い、肺がんは8倍にも

 デンマークの約5万5千人のコホート研究で、心房細動(AF)発症がその後の高いがん発症率に関連し、とくにAF診断後90日以内のがん発症率が高かったことを、デンマーク・Silkeborg Regional HospitalのNicklas Vinter氏らが報告した。Journal of the American Heart Association誌2018年9月4日号に掲載。  本研究は、Danish Diet, Cancer and Health studyにおいてベースライン時にAFおよびがんに罹患していなかった、男性2万6,222人および女性2万8,879人における集団ベースのコホート研究。参加者のAFの発症(Danish National Patient Registry)およびその後のがんの発症(Danish Cancer Registry)を2013年まで追跡した。新規発症したAFを時間依存性曝露としてCox比例ハザードモデルを使用した。

オピオイド治療がん患者の便秘、2週間で5割超(OIC-J)/ESMO2018

 オピオイド誘発性便秘 (OIC)はオピオイド鎮痛治療で頻繁にみられる副作用であるが、その発症頻度を前向きに評価した研究はない。そのような中、オピオイド鎮痛薬治療を行ったがん疼痛患者を対象に、わが国のOICの発症頻度を調査したOIC-J研究が行われ、その結果を群馬県立がんセンターの今井久雄氏らが、ドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で発表した。  OIC-J研究は、多施設共同前向き観察研究。対象は、強オピオイド鎮痛薬治療を受けた20歳以上のがん疼痛患者(登録前の7日間に3回以上の排便あり)である。オピオイド鎮痛薬治療開始時から14日間の登録患者の排便習慣を記録し、OIC発症割合を調査した。主要評価項目はROME IV診断基準によるOIC発症割合。副次評価項目は、Bowel Function Index (BFI、スコア>28.8)、自発的排便回数([spontaneous bowel movement、以下SBM]、<3/週)、および医師診断によるOIC発症割合である。観察期間中の便秘治療は許容されている。

ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がん1LでORR60%(CheckMate-142)/ESMO2018

 MSI-H/dMMの転移を有する大腸がん(mCRC)患者の1次治療として、抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法が持続的な治療効果を示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、米国・USC Norris Comprehensive Cancer CenterのHeinz-Josef Lenz氏により第II相CheckMate-142試験の新たな解析結果が発表された。  なお、米国では同試験別コホートからのデータに基づき、化学療法歴のある上記患者対象にニボルマブ単剤療法が2017年8月、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が2018年7月に、米国食品医薬品局(FDA)からそれぞれ承認されている。

FTD/TPI、3次治療以降の胃がんでOS、PFSを延長(TAGS)/ESMO2018

 転移を有する胃がん(mGC)の予後は不良で、5年OS率は4%とされる。また、3次治療の選択肢が限られており、高度の前治療を受けた患者における課題は多い。トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)(商品名:ロンサーフ)は、治療歴のあるmGC患者を対処にした我が国の第II相EPOC1201試験で、全生存期間(OS)中央値8.7ヵ月、病勢コントロール率(DCR)65.5%という成績が報告されている。ドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、3次治療以降の転移を有する胃・胃食道接合部がん(mGC/GEJC)患者を対象に、FTD/TPIとプラセボを比較したTAGS試験の結果が報告された。

MSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/癌治療学会

 マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)固形がんの日本人症例に対するペムブロリズマブの有用性が示された。MSI-H固形がん(大腸がん以外)を対象としたペムブロリズマブの第II相試験(KEYNOTE-158)における日本人7例でのサブグループ解析結果について、近畿大学の中川 和彦氏が10月18~20日に横浜市で開催された第56回日本癌治療学会学術集会で発表した。  本試験は、大腸がん以外の転移のあるもしくは切除不能のMSI-H固形がんが対象。進行もしくは標準的な1次治療に不耐容、かつECOG PS 0~1の患者がエントリーされた。ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最大2年間投与した。最初の1年間は9週ごとに、それ以降は12週ごとに画像診断を実施した。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。