消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:110

大腸がんの術後再発リスクの予測を高精度とする免疫スコア(解説:上村直実氏)-869

大腸がんの術後再発リスクに関しては、TNM分類や腫瘍組織の分化度により再発リスクが異なることが知られている。一方、最近では、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの免疫に関与する治療薬が、肺がんをはじめとする固形がんの治療に大きな役割を果たす時代となってきている。このような現状から、がんの再発予測因子に免疫能に関するパラメータが重要になることが予想されていた。

胃がん予防効果が得られるアスピリン投与量は?

 アスピリンが特定のがんの予防効果を有することが、多くの研究で報告されている。今回、米国・ワイルコーネル医科大学のMin-Hyung Kim氏らは、韓国の一般集団において、アスピリン使用と胃がんの用量反応関係を評価し、胃がん予防効果を得るためのアスピリン累積投与量の閾値を推定した。The American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2018年6月1日号に掲載。

高度異型腺腫の有無で大腸がんリスクが有意に異なる(解説:上村直実氏)-868

日本で大腸がんは肺がんに次いで2番目に多い死亡原因であり、大腸がんによる死亡リスクを低下するために便潜血による大腸がん検診が施行されている。一方、欧米では、大腸内視鏡検査(CF)を行うことにより大腸がんによる死亡率およびその発症率が低下する研究成果が数多く報告され、最近では死亡リスク低下に必要なCFの間隔が話題になっている。米国のガイドラインでは、10年に1度のCFにより大腸がん死亡リスクが大幅に低下するとされており、大腸がんスクリーニングにCFを取り入れるべきで、ポリープ(腺腫)があれば5~10年後のCFが推奨されている。

胃がん術後化療、S-1+ドセタキセルがプラクティス変える?(JACCRO GC-07)/ASCO2018

 Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられるが、Stage IIIにおけるアウトカムは十分とはいえない。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、名古屋大学医学部附属病院の小寺 泰弘氏が、Stage III の上記患者に対するS-1/ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較したJACCRO GC-07(START-2)試験の結果を発表した。

Immunoscore、大腸がん再発リスクを高精度に予測/Lancet

 腫瘍浸潤T細胞の評価により得られる「Immunoscore」は、大腸がん再発リスクの推定において信頼性が高いことが示唆された。フランス・パリ第5大学のFranck Pages氏らが、Stage I~IIIの大腸がん患者を対象とした同スコアの予後予測精度の検証結果を報告した。大腸がんの再発リスクの評価は改善が望まれており、免疫パラメータの導入には、強固な免疫スコアの定量化が必要とされていた。著者は、「今回の結果は、ImmunoscoreをTNM分類の新たな構成要素とすることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年5月10日号掲載の報告。

内視鏡による進行腺腫あり vs.なし、大腸がんリスクに有意差/JAMA

 軟性S状結腸鏡検査(FSG)が陽性で大腸内視鏡検査を受けた結果、進行腺腫が認められた人は、腺腫が認められなかった人に比べて、その後の大腸がんリスクが有意に高かった。一方で非進行腺腫の有無と同リスク増大には関連は認められない可能性が示されたという。米国・ピッツバーグ大学のBenjamin Click氏らが、FSGの結果が陽性だった1万5,935例を対象にした試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年5月15日号で発表した。腺腫ポリープがある人は大腸がんを予防するために、定期的な大腸内視鏡検査を受けるよう勧められる。しかし、検査受診時の腺腫有無と、長期の大腸がん発症との関連は明らかになっていなかった。

ドクターXを探せ?(解説:今中和人氏)-858

この論文はさまざまな科の20術式について、非待期的(入院後3日以内)に手術が行われた症例の手術死亡率(在院死亡+30日以内の死亡)と術者の年齢・性別との関連を検討している。対象は4年間の全米のMedicare受給者の89万例で、49%が整形外科手術、38%が一般外科手術、12%が心臓血管外科手術、1%がその他の手術だった。

コーヒー豆は浅煎りを選んでがん予防

 コーヒーは世界で最も広く飲まれている飲料の1つであり、健康に有益な多くの植物性化合物を含んでいる。これまでに、浅いローストレベル(焙煎度)の豆が、高い抗酸化活性を持つという報告1)があるが、抗がん作用との関わりは明確にされていなかった。今回、米国・カリフォルニア州立大学のBenigno E. Mojica氏らの研究結果より、浅めに焙煎されたコーヒー豆が、口腔および結腸がんのような、特定のがん予防に寄与する可能性が示唆された。Journal of food science誌2018年4月号に掲載。

エピシルが化学療法や放射線療法の口内炎の口腔内疼痛を緩和/Meiji Seikaファルマ

 Meiji Seikaファルマ株式会社は2018年5月16日、局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材エピシル口腔用液(以下、エピシル)の販売を開始した。  エピシルは口腔内病変の被覆および保護を目的とする非吸収性の液状機器。口腔粘膜にエピシル適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛を管理および緩和する。

握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。