消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:138

新システム人工膵臓、長期使用の有用性を確認/NEJM

 クローズドループシステムの人工膵臓の、長期使用の有用性が報告された。1型糖尿病患者を対象とした検討で、これまでのセンサー併用型ポンプ療法と比較して血糖コントロールを改善し、低血糖の発生は低く、成人被験者では血糖値の低下に結びついたという。英国・ケンブリッジ大学のHood Thabit氏らが、小児・青年25例と成人33例を対象とした12週間使用について検討を行い報告した。在宅療法としてのクローズドループシステムの人工膵臓の長期使用の可能性、安全性および有効性については、これまで確認されていなかった。NEJM誌オンライン版2015年9月17日号掲載の報告。

REACT試験:クローン病に対する早期複合免疫療法の有用性~集団無作為化試験(解説:上村 直実 氏)-427

クローン病は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、わが国では医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。しかし、抗TNF受容体拮抗薬の出現とともに、本疾患に対する薬物療法が大きく変わりつつある。欧米では、症状や炎症の程度によって、5-ASA製剤、ステロイド、代謝拮抗薬、抗TNF受容体拮抗薬と段階的にステップアップする従来型の薬物療法に対して、代謝拮抗薬と抗TNF-α受容体拮抗薬を早期から使用する早期複合免疫療法の有効性と安全性を比較検証する臨床研究が、盛んに行われている。

H. pylori 除菌治療のリスク・ベネフィット:システマティックレビューとメタ解析(解説:上村 直実 氏)-414

ピロリ除菌に対する世界的な標準レジメンである3剤併用治療法(プロトンポンプ阻害薬:PPI+アモキシシリンAMPC+クラリスロマイシンCAM)の除菌成功率が低下する一方、近年、高い除菌率を示すレジメンが数多く報告されている。今回、最も有効性が高く安全な治療レジメンを探索する目的で、世界中から報告されている除菌治療法について、システマティックレビューとネットワークメタ解析により検討した研究論文が、中国から報告された。

クローン病への早期複合免疫療法は有用か/Lancet

 クローン病の薬物治療について、早期の抗TNF受容体拮抗薬および代謝拮抗薬による複合免疫療法(ECI)は、従来療法(症状や重症度に合わせて経時的に投与)と比べて、寛解維持などの症状コントロールについて有意な効果は示されなかった。しかし、重大有害アウトカムのリスクを有意に低下することが示された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のReena Khanna氏らが、非盲検クラスター無作為化試験REACTの結果、報告した。著者は、「後者の所見はさらなる試験の検証仮説となりうるものである」と述べ、「ECIは、重篤な薬物関連有害事象や死亡のリスク増大とは関連していなかった」と強調し本報告をまとめている。Lancet誌オンライン版2015年9月2日号掲載の報告より。

ステージII結腸がんへの補助化学療法、再発・生存・QOLへの影響は?

 米国インディアナ大学のCari Lewis氏らは、ステージII結腸がん患者において、診断から24ヵ月にわたり補助化学療法とQOL・再発・生存との関連を検討するコホート研究を行った。その結果、ステージII結腸がんで化学療法を受けた患者は、受けなかった患者に比べ、24ヵ月後のQOL・再発・全死因死亡が不良という傾向がみられた。著者らは「今後、追跡期間の延長とともに、化学療法の種類に焦点を当てた研究が必要である」としている。Supportive care in cancer誌オンライン版2015年9月9日号に掲載。

胃の前がん病変における胃がんの発症リスク:欧米の低危険群を対象としたコホート研究(解説:上村 直実 氏)-405

胃前がん病変の胃がんリスクに関する研究は、胃がんの最多国である日本のお家芸と思われているが、世界的にみると1992年に報告されたCorreaの仮説に基づく研究が主たるものである。今回、胃粘膜から内視鏡的に採取された生検組織像により分類された、グループ別の胃がん発症リスクに関する大規模なコホート研究の結果が、スウェーデンより報告された。