消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:138

日本人の膵がん術後補助化学療法、S-1 vs.GEM/Lancet

 日本人膵がん患者の切除後の補助化学療法は、S-1が標準治療となりうることが示された静岡県立静岡がんセンターの上坂克彦氏らによる「JASPAC-01」の結果が、Lancet誌オンライン版2016年6月2日号に掲載された。本検討においてゲムシタビンに比べS-1補助化学療法により死亡リスクが約4割低下することなどが示された。膵がん術後の補助化学療法はゲムシタビンが標準治療とされているが、今回の試験では、死亡リスクについてS-1のゲムシタビンに対する非劣性のみならず優越性も示された。

失業とがん死亡の関連:世界銀行とWHOのデータから/Lancet

 失業率上昇はがん死亡率上昇と関連する。しかし、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC;http://uhcday.jp)はこの影響を阻止することが可能である。また、公的保健医療支出の増加はがん死亡率の低下と関連していることを、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMahiben Maruthappu氏らが、がん死亡率と失業率、公的保健医療支出との関連、ならびにUHCの影響を調査する縦断的研究の結果、報告した。世界経済危機は、失業率の増加、および公的保健医療支出の減少と関連することが知られる。これまでそれに関して、がん転帰との関連を分析した研究はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2016年5月25日号掲載の報告。

合成性ホルモン・ダナゾールでテロメア伸長を確認/NEJM

 テロメア疾患患者に対し、合成性ホルモンのダナゾールの経口投与による治療によって、テロメア伸長がもたらされたことが示された。米国立心肺血液研究所(NHLBI)のDanielle M. Townsley氏らが同疾患患者を集めて行った第I-II相前向き試験の結果で、NEJM誌2016年5月19日号にて発表された。テロメア維持・修復の遺伝子異常は、骨髄不全、肝硬変、肺線維症を引き起こすこと、またがんに対する感受性を高めることが知られている。歴史的に、骨髄不全症候群の治療としてアンドロゲンが有用とされてきたが、組織培養と動物モデルにおける検討で、性ホルモンがテロメラーゼ遺伝子発現を調節することが確認されていた。

コーヒーと大腸がんリスクの関連は? 日本人データでのメタ解析

 コーヒー摂取と大腸がんリスクとの関連は明らかになっていない。今回、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究グループが、日本人での疫学研究の系統的レビューとメタ解析を行ったところ、日本人におけるコーヒー摂取と大腸がんリスクの関連を支持するには不十分な結果であった。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年5月12日号に掲載。

潰瘍性大腸炎へのozanimod、第II相試験で有望/NEJM

 第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果、潰瘍性大腸炎へのozanimodの1mg/日投与がプラセボと比較して、8週および32週時点の臨床的寛解率がわずかだが上昇したことが確認された。ozanimodはスフィンゴシン-1-リン酸受容体のサブタイプ1と5の経口作動薬で、末梢リンパ球隔離を促すことで消化管内に循環する活性化リンパ球数を減少させる可能性があると考えられている。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のWilliam J. Sandborn氏らが、NEJM誌2016年5月5日号で発表した。