消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:157

C型慢性肝炎は3ヵ月の経口内服薬で90%以上治癒する時代へ―副作用のないIFNフリー療法が目前に―(コメンテーター:溝上 雅史 氏、是永 匡紹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(178)より-

 C型慢性肝炎に対する最新治療は、週1回のペグインターフェロン(PegIFN)注射とPegIFNの有効性を高めるリバビリン(RBV)に、直接ウイルスに作用する抗ウイルス剤(シメプレビル:SMV)を内服する3剤併用療法である。治療期間は24週間、前治療でウイルスが感度未満にならない(Non-Viral Response:NVR)一部の難治例を除けば、ウイルス排除(Sustained Viral Response:SVR)率は90%を超える。しかし、わが国のC型慢性肝炎患者の多くは65歳以上の高齢者のため、副作用が多いIFN治療そのものが導入できない現状があり、「IFNフリー=副作用が少ない治療」が必要不可欠である。

StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404)

 臨床的StageII/IIIの大腸がんに対して、日本のオリジナルであるD3リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術の有効性および安全性はいまだ明らかではない。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)により、全生存期間について開腹手術に対する腹腔鏡下手術の非劣性を検討するランダム化比較試験が実施されているが、今回、D3郭清を伴う腹腔鏡下手術の短期成績における安全性および臨床的ベネフィットが報告された。Annals of surgery誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。なお、主要評価項目の解析結果については2014年のうちに報告される予定。

C型慢性肝炎に対する治療法の開発は最終段階へ!―IFN freeの経口薬併用療法の報告―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(175)より-

 C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現時点での標準治療はPEG-InterferonとRibavirin・Protease阻害薬(Telaprevir またはSimeprevir)の併用療法(24週)である。この治療法により、Sustained Virological Response(SVR:治療終了後6ヵ月の時点での血中HCV陰性化)を得られる頻度は、初回治療例、前治療無効例で約80~90%とされている。

膵NETが1.2倍、消化管NETが1.8倍に~神経内分泌腫瘍の全国疫学調査

 神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)はまれな腫瘍であるが、患者数は増加している。しかしながら、わが国では2005年からNETの疫学的研究はなされておらず、有病率は不明である。今回、膵および消化管NETの2005年の疫学データを報告している九州大学の伊藤鉄英氏らが、2010年における受療者の全国調査を実施し、疫学的変化を報告した。Journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。

がんのリスクとなる大腸ポリープの再発をアスピリンで4割抑制~無作為化比較試験

 国立がん研究センターと京都府立医科大学は13日、「厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業における研究プロジェクト」によって、低用量アスピリン腸溶錠の服用により大腸がんの前がん状態である大腸ポリープの再発リスクを約40%削減したという研究成果を示したことを発表した。大腸がんの化学予防へ向けた無作為化比較試験において、国内初の成果(アスピリンを用いた研究ではアジア初)であり、今後、大規模検証により罹患率の高い大腸がんの予防法としての確立が期待できる。

ブルーリボンキャラバン2014 in東京 ―もっと知ってほしい「大腸がん」のこと【ご案内】

 東京医科歯科大学大学院 腫瘍外科学とNPO法人キャンサーネットジャパンは、3月2日(日)に東京医科歯科大学M&Dタワー2階 鈴木章夫記念講堂にて、大腸がん啓発のための無料市民公開講座を開催する。一般市民だけではなく、専門以外の医師やメディカルスタッフにとって、大腸がんの診断・治療についての知識の整理・アップデートのよい機会になると思われる。ブースでは「中心静脈ポートに針を刺す」「超音波凝固切開装置で豚肉を切る」などの体験もできる。総合司会は、フリーアナウンサーの中井 美穂 氏。

超高齢者における大腸がん手術は有用か:国内での検討

 超高齢(85歳以上)の大腸がん患者における手術の短期および中期の成績は明確ではない。北里大学外科の中村 隆俊氏らは、超高齢者における腹腔鏡手術の実行可能性を評価するために、腹腔鏡手術と開腹手術における術後の短期および中期の成績を比較した。その結果、超高齢の大腸がん患者に対する手術の安全性と治療有用性が認められ、良好な短期および中期成績を得られた。また、腹腔鏡手術は開腹手術よりも術中出血量が少なく、術後在院期間が短かったことから、侵襲性が低く、超高齢の大腸がん患者に適していることが示唆された。Surgical laparoscopy, endoscopy & percutaneous techniques誌2014年2月号に掲載。

早期胃がんに対するデルタ吻合での完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術の成績

 早期胃がんに対する小開腹創からの手縫い吻合による腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術(LAPPG)については、実行可能性、安全性、術後のQOL向上がすでに確立されている。今回、がん研有明病院消化器外科の熊谷 厚志氏らは、体内デルタ吻合手技を用いた完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術(TLPPG)を受けた胃中部の早期胃がん患者60例の短期手術成績を検討した。その結果、手縫い噴門幽門吻合によるLAPPGより手術時間が長い傾向はあったものの、体内デルタ吻合によるTLPPGは安全な術式であると報告した。Gastric Cancer誌オンライン版2014年1月31日号に掲載。

慢性C型肝炎のIFNフリー療法―リバビリンレジメン/NEJM

 未治療またはペグインターフェロン(商品名:ペガシス)+リバビリン(RBV、商品名:コペガスほか)による前治療が無効であった遺伝子型1型感染患者に対し、経口投与のみの直接作用型抗ウイルス薬(2種または3種)+RBVレジメンが、いずれの患者にも有効であることが示された。米国・バージニア・メイソン・メディカル・センターのKris V. Kowdley氏らが、第2b相非盲検無作為化試験にて9レジメン(14サブ治療群)を設けて検討した結果、治療終了後24週時点のSVR(持続性ウイルス学的著効)は、83~100%であったことを報告した。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。