消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:160

急性胆嚢炎で術後抗菌薬は必要か/JAMA

 軽症~中等症の急性胆石性胆嚢炎で術前・術中に抗菌薬を投与した患者は、術後の抗菌薬投与がなくても重篤な術後感染症には至らないことが、無作為化試験の結果、示された。フランスのピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学のJean Marc Regimbeau氏らが報告した。急性胆石性胆嚢炎の9割は軽症もしくは中等症である。急性胆石性胆嚢炎について術前・術中の抗菌薬投与が標準化されているが、術後抗菌薬投与の有用性に関するデータはこれまでほとんど示されていなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。

総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA

 総胆管結石の中等度リスクを有する胆石症患者の治療では、術前の総胆管精査を行わずに、術中の胆道造影所見に基づいて必要な検査を実施するほうが、入院期間が短く検査数は少なくて済み、周術期合併症や術後QOLの増悪はみられないことが、スイス・ジュネーブ大学病院のPouya Iranmanesh氏らの検討で示された。総胆管結石疑い例には、MR胆道膵管造影(MRCP)、超音波内視鏡検査(EUS)、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)、術中胆道造影などの検査が行われるが、総胆管結石の多くは自然に十二指腸へと排出されるため、術前の総胆管精査には疑問の声もあるという。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告。

進行肝細胞がんへのエベロリムス投与/JAMA

 進行肝細胞がんでソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療が無効または不耐であった患者に対する、エベロリムス(同:アフィニトール)治療は全生存期間(OS)を改善しなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏らが無作為化試験EVOLVE-1の結果、報告した。進行肝細胞がんに対し現状ではソラフェニブが唯一、OSを有意に改善するが、その有益性は一過性のわずかなものである。エベロリムスは、肝細胞がんの最大45%で活性が認められるmTORタンパク質を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。第I/II相試験において進行肝細胞がんへの効果が期待され、今回の臨床試験が行われた。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。

「年齢」は切除不能大腸がんの予後予測因子?

 米国コロラド大学のChristopher H Lieu氏らは、切除不能大腸がんの全生存(OS)や無増悪生存(PFS)において、年齢が予後予測因子となるかどうかを検討した。その結果、切除不能大腸がん患者では、若年齢と高年齢がOSとPFSの低さと関連し、若年者と高齢者が高リスク集団である可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年7月7日号に掲載。

【JSMO見どころまとめ(3)】国内で開発された大腸がん治療薬

 2014年7月17日(木)から3日間にわたり、福岡国際会議場ほかにて開催される、第12回日本臨床腫瘍学会学術集会に先立ち、先月6月27日、東京都中央区にて日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催された。そこで行われた、馬場 英司氏(九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座)による講演「消化器がん」を簡潔にまとめる。

大腸がん肝転移切除患者の予後予測バイオマーカー

 大腸がん肝転移の根治的切除により長期的ベネフィットがもたらされる患者の割合は40%以下である。そのため、臨床管理を改善し、無意味な手術を減らすために、予後予測バイオマーカーが必要となる。上皮成長因子受容体(EGFR)およびプロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素2(PTGS2)の発現が、発がんおよび生存期間と関連したことから、オランダ・VU大学医療センターのJ A C M Goos氏ら(the DeCoDe PET group)は、大腸がん肝転移切除後の患者におけるEGFRとPTGS2発現の予後予測的価値を調べた。その結果、これらの発現は、切除可能な大腸がん肝転移患者における予後予測分子バイオマーカーであることが示唆された。British Journal of Cancer誌オンライン版2014年7月1日号に掲載。

炎症性腸疾患へのTNF-α阻害薬、がんリスクは増大せず/JAMA

 炎症性腸疾患(IBD)患者に対するTNF-α阻害薬投与は、がんリスク増大と関連していないことが、デンマーク・血清研究所(Statens Serum Institut)のNynne Nyboe Andersen氏らによる同国レジストリ患者対象コホート研究の結果、報告された。追跡期間中央値3.7年で、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群の補正後がん発症率比は1.07であったという。TNF-α阻害薬治療後のがんリスクを含む有害事象の検討については、コクランレビューとネットワークメタ解析の結果、全国レジストリの大規模データベースに基づく評価が適切であるとの結論が示されていた。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。

大腸がん診断後のカルシウム・牛乳摂取量が生存率に関連

 カルシウム、ビタミンD、乳製品の高い摂取量は大腸がん発生率の低下と関連しているが、大腸がんの生存率に及ぼす影響は不明である。米国がん協会(ACS)のBaiyu Yang氏らは、大腸がん患者において、がん診断前後のカルシウム(全体、食事由来、サプリメント)、ビタミンD(全体、食事由来)、乳製品(全体、牛乳のみ)の摂取量と、全死因死亡率および大腸がん特異的死亡率との関連を評価した。その結果、非転移性大腸がん患者では、がん診断後における総カルシウムと牛乳の高い摂取量が死亡リスクの低下に関連する可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年6月23日号に掲載。

シメプレビルが慢性C型肝炎の治療期間短縮を達成/Lancet

 シメプレビル(1日1錠服用)とペグインターフェロンα(PEG-IFNα)-2a+リバビリン(RBV)の3剤併用療法は、未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染患者の治療において、PEG-IFNα-2a+RBV関連の有害事象プロファイルを増悪させずに治療期間を短縮することが、米国・ワイルコーネル医科大学のIra M Jacobson氏らが行ったQUEST-1試験で示された。従来のHCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬ボセプレビル(国内未承認)+テラプレビルとPEG-IFNα+RBVの併用療法は、未治療および既治療のHCV遺伝子型1型感染患者で良好な持続的ウイルス消失(SVR)を達成しているが、錠剤数が多いうえに1日3回の服用を要し、また重篤な貧血や皮膚障害などの頻度が高いという問題があった。Lancet誌オンライン版2014年6月4日号掲載の報告。

シメプレビル+ペグインターフェロンα+リバビリン、SVRを改善/Lancet

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染の未治療患者に対して、ペグインターフェロン(PEG-IFN)α-2aまたは2b+リバビリンにNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬のシメプレビルを加えた組み合わせ療法は、PEG-IFNα+リバビリン併用療法での既知の有害事象の増悪なしに、持続性ウイルス学的著効(SVR)を改善したことが、ドイツ・ハノーファー医科大学のMichael Manns氏らによる第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験QUEST-2で示された。HCV 1型感染患者ではPEG-IFNα-2aまたは2b+リバビリンが標準治療とされているが、SVR達成は限定的(北米約40%、西欧約50%)であった。Lancet誌オンライン版2014年6月4日号掲載の報告より。