消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:159

HCVに1日1回IFNフリーレジメンが有用/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染のインターフェロン(IFN)フリー治療として、シメプレビル+ソホスブビル併用療法は肝線維化の程度にかかわらず高い効果を発揮し、忍容性も良好であることが、米国・テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らが行ったCOSMOS試験で示された。HCV遺伝子型1型感染の治療は、従来のペグインターフェロン+リバビリン療法から直接作用型抗ウイルス薬を含むIFNフリーのレジメンへと進化している。シメプレビルは1日1回経口投与のNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、ソホスブビルは1日1回経口投与のヌクレオチドアナログNS5Bポリメラーゼ阻害薬であり、いずれも未治療および既治療の遺伝子型1型感染患者の第III相試験で良好な持続的ウイルス消失(SVR)率を達成している。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。

ステージIV大腸がんの位置による予後の違い

 右側結腸がんは左側結腸がんとは生物学的に異なると考えられているが、予後の違いについては矛盾する結果が報告されている。東京大学の石原 聡一郎氏らは、ステージIV結腸がんにおいて腫瘍位置が予後に及ぼす影響を明らかにするために、多施設共同研究による傾向スコア分析を実施した。その結果、ステージIVの右側結腸がんは、左側結腸がんに比べて、同じステージIVでもより進行した状態で診断され、予後が有意に不良であったことから、腫瘍学的に左側結腸がんより侵攻性であることが示唆された。International Journal of Surgery誌オンライン版2014年8月1日号に掲載。

HIV-HCV重複感染にSOF+RBVが有効/JAMA

 HIV感染患者でC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1、2または3型にも重複感染している患者に対し、インターフェロンを用いない経口薬治療のソホスブビル(SOF)+リバビリン(RBV)は、12週間投与または24週間投与とも高い持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成したことが報告された。米国・ジョンズホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らによる非盲検非無作為化非対照の第III相臨床試験の結果、示された。今回の結果について著者は、「さまざまな重複感染患者集団で、この経口療法の試験を進めるべき根拠が示された」とまとめている。JAMA誌2014年7月23・30日号掲載の報告より。

急がれるAll RAS検査承認

 2014年7月29日(火)、東京都千代田区において大腸がんにおけるバイオマーカー「RAS遺伝子」をテーマにしたプレスセミナー(主催:メルクセローノ株式会社)が開催された。その中で、愛知県がんセンター中央病院 薬物療法部長/外来化学療法センター長である室 圭氏が、「大腸がんのさらなる『個別化治療』に向けて バイオマーカーとしての『RAS遺伝子』の可能性」と題して講演を行った。

脳卒中既往者の非心臓手術のタイミング/JAMA

 脳卒中既往患者への非心臓手術の実施リスクについて、とくに発作後9ヵ月未満で行った場合は有害転帰と関連することが明らかにされた。また9ヵ月超でも、脳卒中を起こしていない患者と比べるとリスクは高く一定のままであることも示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のMads E. Jorgensen氏らが、同国住民コホートで待機的非心臓手術を受けた約48万件の手術データを後ろ向きに解析し報告したもので、著者は「今回の結果は、今後のガイドラインにおいて時間依存的リスクに注意を払う必要があることの根拠になると思われる」とまとめている。JAMA誌2014年7月16日号掲載の報告より。

ランレオチド 腸膵NETのPFS延長/NEJM

 転移性腸膵神経内分泌腫瘍に対し、ソマトスタチンアナログ製剤のランレオチドは無増悪生存期間を有意に延長したことが、英国のロイヤル・フリー病院Martyn E. Caplin氏らによる国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。ソマトスタチンアナログ製剤は、神経内分泌腫瘍でホルモン過剰分泌関連症状の治療に用いられることが多い(日本では、商品名ソマチュリンが先端巨大症・下垂体性巨人症を適応症として承認されている)。しかし、その抗腫瘍効果のデータは限定的なものであった。神経内分泌腫瘍は稀少な疾患で、米国における年間発生例は10万人に5例の頻度であるという。NEJM誌2014年7月17日号掲載の報告より。

炎症性腸疾患患者における抗TNF-α薬と発がんリスクとの関連(解説:上村 直実 氏)-227

炎症性腸疾患(IBD)に対して、成分栄養を含む食事療法、サラゾピリン・メサラジン、ステロイド、免疫抑制薬、血球成分除去、外科的腸切除術など種々の治療が行われているが、最近では高い有用性が報告されている分子標的薬の抗TNF-α薬が頻用されている。抗TNF-α薬は発がんリスクを増大する可能性を指摘する報告もあったが、今回、デンマークにおけるIBD、ならびに、がん患者の全国レジストリを用いて施行された大規模コホート研究の結果、抗TNF-α薬投与は発がんリスクの増大と関連しないことがJAMAに報告された。

日本における大腸がんの新薬開発状況

 切除不能大腸がんに対する化学療法においては、既に発売されている薬剤のHead to Headの比較試験が実施されている一方で、新たな治療薬の開発治験も進んでいる。7月17~19日に開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「切除不能大腸がん治療戦略の展望」をテーマとしたインターナショナルセッションが企画され、そのなかで、日本における切除不能大腸がんに対する新規薬剤の開発状況について、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院消化管内科)が講演した。その内容を紹介する。