消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

肝臓と腎臓の慢性疾患の併存で心臓病リスクが上昇する

 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(IHD)のリスク抑制には、肝臓と腎臓の病気の予防が肝腎であることを示唆する研究結果が報告された。代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)と慢性腎臓病(CKD)が併存している人は、既知のリスク因子の影響を調整してもIHD発症リスクが有意に高いという。札幌医科大学循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の宮森大輔氏、田中希尚氏、古橋眞人氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に7月8日掲載された。

再発高リスク肝細胞がん術後補助療法、アテゾリズマブ+ベバシズマブでRFS改善(IMbrave050)/Lancet

 根治目的の外科的切除または焼灼療法後に再発リスクが依然として高い肝細胞がん患者への術後補助療法として、アテゾリズマブ+ベバシズマブの併用療法はアクティブサーベイランス(経過観察)と比較して無再発生存期間(RFS)を改善したことが、中国・南京中医薬大学のShukui Qin氏ら「IMbrave050試験」研究グループにより報告された。これまで再発リスクの高い肝細胞がん患者への術後補助療法は確立されていなかった。Lancet誌オンライン版2023年10月20日号掲載の報告。  IMbrave050試験は第III相国際非盲検無作為化試験で、世界保健機関(WHO)が定める4地域(欧州、アメリカ大陸、東南アジア、西太平洋地域)の26ヵ国における134の病院および医療センターから、外科的切除や焼灼療法を受けた高リスクの肝細胞がん成人患者を集めて行われた。

HER2+胃がん1次治療、ペムブロリズマブ上乗せでPFS改善(KEYNOTE-811)/Lancet

 未治療の転移のあるHER2陽性胃・食道胃接合部腺がん患者において、1次治療であるトラスツズマブおよび化学療法へのペムブロリズマブ上乗せ併用は、プラセボと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、とくにPD-L1陽性(CPS 1以上)患者で顕著であった。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らが、20ヵ国168施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-811試験」の第2回および第3回の中間解析結果を報告した。KEYNOTE-811試験の第1回中間解析では、奏効率に関してペムブロリズマブ群のプラセボ群に対する優越性が示されていた。Lancet誌オンライン版2023年10月20日号掲載の報告。

食中毒発生率がパンデミック前の水準に増加

 米国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック発生とともに低下していた食中毒発生率が、パンデミック前の水準に戻ったことが報告された。米疾病対策センター(CDC)のMiranda J. Delahoy氏らの研究によるもので、詳細はCDC発行「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」6月30日号に掲載された。  2020年以降、COVID-19パンデミックに伴う人々の行動変容、公衆衛生対策、患者の受療行動の変化、検査施行件数の変動などの影響によって、さまざまな感染症の罹患率が低下していた。食中毒も同様に、米国ではカンピロバクターやサルモネラ菌による消化器感染症が、2020~2021年にはその前年より減少していた。しかし、感染症減少につながった多くの要因が取り除かれたことによって、再びそのリスクが増大してきている。

転移膵がん1次療法、ゲムシタビン+nab-パクリタキセルが最適(JCOG1611、GENERATE)/ESMO2023

 2023年のASCO-GIで発表されたNAPOLI-3試験において、転移のある膵がんの1次療法として、ナノリポソーム型イリノテカンを使ったNALIRIFOX療法の、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル(GnP)療法に対する有意な改善が報告された。しかし、現在ではGnP療法とmFOLFIRINOX療法が同等の推奨とされており、さらにS-IROX療法(S-1、イリノテカン、オキサリプラチン)も第I相試験で高い奏効率が報告されている。これら3レジメンの有効性と安全性を直接比較することを目的とした第II/III相JCOG1611試験の中間解析結果を、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

KRAS G12C変異大腸がん、ソトラシブ+パニツブマブが第III相試験でPFS延長(CodeBreaK 300)/ESMO2023

 KRAS G12C遺伝子変異を有する進行固形がんに対する、KRASG12C阻害薬ソトラシブの有用性をみる大規模バスケットCodeBreaK試験。第I相CodeBreaK 101試験ではKRAS G12C変異の転移大腸がん(mCRC)コホートにおいて、ソトラシブ+抗EGFR抗体パニツムマブ併用療法が30%の客観的奏効率(ORR)を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialセッションでは、イタリアのFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのFilippo Pietrantonio氏が、第III相CodeBreaK 300試験の初回解析結果を発表した。

IBSの2次治療、低用量アミトリプチリンが有用/Lancet

 プライマリケアにおける過敏性腸症候群(IBS)の2次治療として、低用量アミトリプチリンはプラセボと比較し、6ヵ月後のIBS重症度尺度(IBS Severity Scoring System:IBS-SSS)スコアが有意に低く、安全性および忍容性も良好であることが示された。英国・リーズ大学のAlexander C. Ford氏らが、英国のプライマリケア55施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Amitriptyline at Low-Dose and Titrated for Irritable Bowel Syndrome as Second-Line Treatment:ATLANTIS試験」の結果を報告した。IBS患者の多くはプライマリケアで管理されている。IBSに対する1次治療が無効であった場合、英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは2次治療として低用量の三環系抗うつ薬を考慮することが推奨されているが、プライマリケアにおける有効性は不明であり処方頻度は低い。Lancet誌オンライン版2023年10月16日号掲載の報告。

胃がん1次治療、周術期ペムブロリズマブはEFS延長せず(KEYNOTE-585)/ESMO2023

 切除可能な局所進行切除可能な胃・胃食道接合部(G/GEJ)患者における免疫チェックポイント阻害薬の開発が進められているが、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)において術後療法にニボルマブの上乗せを検証したATTRACTION-5試験では上乗せ効果は示されなかった。同じくG/GEJ患者を対象として、術前術後の化学療法にペムブロリズマブの上乗せ効果を検証した無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-585試験においても、イベント生存期間(EFS)に有意な延長は見られなかったことがすでに報告されている。本試験の詳細について、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。

多がん早期検出血液検査は、がんスクリーニングで実行可能か/Lancet

 多がん早期検出(multicancer early detection:MCED)血液検査は、腫瘍から循環血中に排出された遊離DNA(cell-free DNA:cfDNA)のがん特異的DNAメチル化パターンを検出し、がんシグナルが確認された場合はその起源(cancer signal origin:CSO)を予測することから、1回の採血で50以上のがん種の検出が可能とされる。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDeb Schrag氏らは、「PATHFINDER研究」にてMCED血液検査を用いたがんスクリーニングは実行可能であることを確認し、今後、臨床的有用性を検証する研究を進める必要があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2023年10月7日号で報告された。