消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

日本におけるSNS上のがん情報、4割超が誤情報

 SNSの普及により、患者はがん情報に容易にアクセスできるようになった。しかし、患者の意思決定に悪影響を与えかねない誤情報や有害情報も大量に発信されている。日本のSNSにおけるがん情報はどの程度信頼できるものなのか。これについて調べた名古屋市立大学病院 乳腺外科の呉山 菜梨氏らによる研究結果がJMIR formative research誌オンライン版2023年9月6日号に掲載された。  研究者らは、Twitter(現:X)上で2022年8~9月に投稿された、日本語の「がん」という言葉を含むツイートを抽出した。

慢性便秘症ガイドライン改訂、非専門医向けに診療フローを明確に

 慢性便秘症は、2010年代にルビプロストン(商品名:アミティーザ)、リナクロチド(同:リンゼス)、エロビキシバット(同:グーフィス)、ポリエチレングリコール(PEG)製剤(同:モビコール)、ラクツロース(同:ラグノス)といった新たな治療薬が開発されている。このように、治療の進歩とエビデンスの蓄積が進む慢性便秘症について、約6年ぶりにガイドラインが改訂され、『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』が2023年7月に発刊された。そこで、本ガイドラインの作成委員長を務める伊原 栄吉氏(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学)に改訂のポイントを聞いた。

日本人NAFLD患者のCVDリスクはBMI23未満/以上で有意差なし

 痩せている非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者の心血管疾患(CVD)リスクは、痩せていないNAFLD患者と同程度に高いことが明らかになった。武蔵野赤十字病院の玉城信治氏、黒崎雅之氏、泉並木氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Gastroenterology」に6月17日掲載された。  NAFLDはメタボリックシンドローム(MetS)の肝臓における表現型と位置付けられており、世界人口の25%が該当するとされる主要な健康問題の一つ。NAFLD患者の多くは肥満だが、一部の患者は痩せているにもかかわらずNAFLDを発症する。欧米ではBMI25未満、アジアでは23未満のNAFLDが「痩せ型NAFLD」と定義されている。肥満併発NAFLDはCVDリスクが高いことは知られているが、痩せ型NAFLDもCVDハイリスクなのか否かは、これまでのところ十分明らかになっていない。黒崎氏らは同院の健診データを用いて、この点に関する後方視的研究を行った。

虫垂炎に対する抗菌薬治療の長期転帰は良好

 虫垂炎(盲腸)患者の多くでは、虫垂切除術を実施する代わりに抗菌薬を投与しても、長期にわたって良好な経過をたどることが、スウェーデンで長期(19〜26年間)にわたり患者の転帰を追跡した研究で示された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)グレート・オーモンド・ストリート小児保健研究所のSimon Eaton氏らによるこの研究結果は、「JAMA Surgery」に8月9日掲載された。  虫垂炎は、右下腹部の大腸の部分(盲腸)から出る管状の臓器である虫垂に細菌が感染して炎症を起こした状態である。20世紀以前は、多くの患者が虫垂炎で死亡していたが、外科手術の進歩により、現在では低侵襲の「非常に安全」な鍵穴手術(腹腔鏡手術)が標準的な治療法とされている。「とはいえ、これは虫垂炎に対して抗菌薬が使用されるようになる前の話だ。虫垂を含む腸内に生息する細菌についての理解が深まった現在では、虫垂を残すことに長期的な利点がある可能性も考えられる」とEaton氏は説明する。

がんサバイバーの心不全発症、医療者の知識不足も原因か/日本腫瘍循環器学会

 9月30日(土)~10月1日(日)の2日間、神戸にて第6回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催される(大会長:平田 健一氏[神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野])。それに先立ち、大会長による学会の見どころ紹介のほか、実際にがんサバイバーで心不全を発症した女性がつらい胸の内を語った。  今回のメディアセミナーに患者代表として参加した女性は、10代で悪性リンパ腫の治療のために抗がん剤を使用。それから十数年以上経過した後に健康診断で乳がんを指摘されて乳房温存手術を受けたが、その後にリンパ節転移を認めたため、抗がん剤(計8コース)を行うことになったという。しかし、あと2コースを残し重症心不全を発症した。幸いにも植込み型補助人工心臓(VAD)の臨床試験に参加し、現在に至る。

各固形がんにおけるHER2低発現の割合は/Ann Oncol

 新たに定義されたカテゴリーであるHER2低発現(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+)は、多くの固形がんで認められることが明らかになった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのBurak Uzunparmak氏らによるAnnals of Oncology誌オンライン版2023年8月22日号掲載の報告より。  本研究では、進行または転移を有する固形がん患者4,701例を対象に、IHC法によるHER2発現状態を評価した。また乳房と胃/食道の原発および転移腫瘍のペアサンプルにおいて、IHC法およびISH法によるHER2発現状態を評価した。

腸閉塞を起こした進行がん患者の症状改善には手術が有効

 進行した腹腔内腫瘍、特に卵巣がんや大腸がんの患者に頻発する悪性腸閉塞(malignant bowel obstruction;MBO)に対しては、最善の治療法がいまだ明確になっていない。こうした中、MBO患者に対して手術による治療を行うことで、手術を行わない場合に比べて退院後生存期間が延長するわけではないが、MBO関連の症状は改善することが、ランダム化比較試験の要素も含むハイブリッドデザインの臨床試験で示された。米ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学院外科学分野のRobert S. Krouse氏らが実施したこの研究は、「The Lancet Gastroenterology & Hepatology」に8月1日掲載された。  MBOは、嘔吐、疼痛、便秘などの大きな苦痛をもたらし、命を脅かす可能性もある。MBOの原因は、腫瘍による腸の閉塞や、手術や放射線治療の結果として生じた癒着やその他の合併症である。MBOが発生する患者は、概して末期がんに直面しており、生活の質(QOL)を改善し、症状や疼痛を軽減することを目的とした緩和ケアを受けている。

検診で寿命が延びるがんは?

 一般的に行われているがん検診により、寿命が延びるのかどうかは不明である。今回、ノルウェー・オスロ大学のMichael Bretthauer氏らが、乳がん検診のマンモグラフィ、大腸がん検診の大腸内視鏡検査・S状結腸鏡検査・便潜血検査、肺がん検診の肺CT検査、前立腺がん検診のPSA検査の6種類の検診について、検診を受けた群と受けなかった群で全生存率と推定寿命を比較した無作為化試験をメタ解析した結果、寿命が有意に増加したのはS状結腸鏡検査による大腸がん検診のみであったことがわかった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2023年8月28日号に掲載。

PPIと認知症リスクの新たな試験、4.4年超の使用で影響か

 長年にわたってプロトンポンプ阻害薬(PPI)を処方されている高齢者では、認知症を発症するリスクが高まる可能性のあることが、新たな研究で示された。米ミネソタ大学公衆衛生学部教授で血管神経学者のKamakshi Lakshminarayan氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に8月9日掲載された。  この研究は、PPIの長期使用に伴う潜在的な危険性を明らかにした研究の中で最新のものだ。PPIは医師によって処方される医療用医薬品のほか、一般用医薬品(OTC医薬品)としても販売されている。PPIは慢性的に胃酸が食道に逆流し、胸やけの症状などをもたらす胃食道逆流症(GERD)に対して処方されてきた。しかし近年、PPIの長期使用が心筋梗塞や腎臓病、早期死亡などさまざまな健康リスクに関連することを示した研究結果が相次いで報告されている。2016年には認知症もこのリスクに含まれることを示唆する研究が発表されて話題となった。

NSAIDsがC. difficile感染症を悪化させる機序とは

 多くの人々に鎮痛薬や抗炎症薬として使用されている非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)は、クロストリディオイデス・ディフィシル(C. difficile)への感染により生じる消化管感染症(CDI)を悪化させることが報告されている。こうした中、マウスを用いた研究でこの機序の解明につながる結果が得られたことを、米ペンシルベニア大学のJoshua Soto Ocana氏らのグループが発表した。詳細は、「Science Advances」に7月21日号に掲載された。  C. difficileは世界の抗菌薬関連下痢症の主要な原因菌である。CDIは、軽度の下痢から複雑な感染症まで多様な症状を引き起こし、死亡の原因になることもある。