消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:42

血中のDNA断片を用いたがん検査、低コストで簡便な検査法として有望

 複数の種類のがんを、他の検査法よりも簡便かつより安価に検出できる血液検査の開発に向けて、研究が前進した。米ウィスコンシン大学のMuhammed Murtaza氏らが開発したこの検査法は、予期せぬ場所で「壊れた」ように見えるDNAの断片を測定するというシンプルな方法で特定のがんのシグナルを検出するものだ。この方法により、現在開発中の他のがんの血液検査法よりも少ない量の血液検体で、11種類のがんのいずれかがある人と、がんのない人を高い精度で判別できたという。この研究結果は、「Science Translational Medicine」1月11日号に掲載された。  この研究は、複数の種類のがんについてワンストップでスクリーニングできる血液検査の開発に向けたさまざまな取り組みの中では最新のものの1つである。これらの検査法はいずれも、血液中に存在する腫瘍由来の遺伝物質を利用する点で共通している。このような血液検査は、現在は有効なスクリーニング手段のない種類のがんを含めたさまざまながんの発見につながる、簡便なスクリーニング方法となる可能性を秘めている。

胆道がん、S-1による術後化学療法でOS延長/Lancet

 胆道がんの術後補助療法において、経口フッ化ピリミジン系薬剤S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシル カリウム)は、経過観察と比較して、全生存期間(OS)を延長し忍容性も良好であることが、栃木県立がんセンターの仲地 耕平氏ら日本臨床腫瘍研究グループの肝胆膵腫瘍グループ(JCOG-HBPOG)が実施した「ASCOT試験(JCOG1202試験)」で示された。研究の成果は、Lancet誌2023年1月21日号で報告された。  ASCOT試験は、日本の38施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2013年9月~2018年6月の期間に患者の登録が行われた(国立がん研究センターと厚生労働省の助成を受けた)。

スタチン・アスピリン・メトホルミンと肝がんリスクとの関連~メタ解析

 スタチン、アスピリン、メトホルミンが肝細胞がんを予防する可能性があることを示唆する報告があるが、これまでのメタ解析は異質性やベースラインリスクを適切に調整されていない試験が含まれていたため、シンガポール・National University of SingaporeのRebecca W. Zeng氏らは新たにメタ解析を実施した。その結果、スタチンおよびアスピリンは肝細胞がんリスク低下と関連していたが、併用薬剤を考慮したサブグループ解析ではスタチンのみが有意であった。メトホルミンは関連が認められなかった。Alimentary Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2023年1月10日号に掲載。

一般集団よりも2型DM患者でとくに死亡率が高いがん種は?

 2型糖尿病の高齢患者のがん死亡率を長期的に調査したところ、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに結腸直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんのリスクが増加していたことを、英国・レスター大学のSuping Ling氏らが明らかにした。Diabetologia誌オンライン版2023年1月24日掲載の報告。  これまで、年齢や性別などの人口統計学的要因が2型糖尿病患者の心血管アウトカムに与える影響は広く研究されているが、がん死亡率への影響については不十分であった。そこで研究グループは、人口統計学的要因や肥満や喫煙などのリスク因子が2型糖尿病患者のがん死亡率に与える長期的な傾向を明らかにするため、約20年間のデータを用いて調査を行った。

13種のがん発生率と生活習慣・遺伝的因子の関係

 19万人以上のUKバイオバンクのデータを用いて、世界がん研究基金(WCRF)による生活習慣のアドバイスを遵守することが13種類のがんのリスクとどのような関係があるのか、また遺伝的リスクによってこれらの関連性が異なるのかを調査するため、前向きコホート研究が実施された。南オーストラリア大学のStephanie Byrne氏らによるInternational Journal of Epidemiology誌オンライン版2023年1月18日号への報告。  2006~10年にかけて37~73歳の参加者の生活習慣を評価し、2015~19年までがんの発生率を追跡調査した。解析対象は、悪性腫瘍の既往がない19万5,822人。13のがん種(前立腺がん、大腸がん、閉経後乳がん、肺がん、悪性黒色腫、非ホジキンリンパ腫、腎臓がん、子宮がん、膵臓がん、膀胱がん、口腔・咽頭がん、卵巣がん、リンパ性白血病)とがん全体について多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算し、WCRFの勧告からライフスタイル指数を計算。両者の加法的・乗法的交互作用が評価された。

futibatinib、既治療のFGFR2融合/再構成陽性肝内胆管がんに有望/NEJM

 既治療のFGFR2融合または再構成陽性の肝内胆管がん患者の治療において、次世代共有結合型FGFR1~4阻害薬であるfutibatinibは、測定可能な臨床的有用性をもたらし、奏効や生存が過去の化学療法のデータより優れ、QOLも良好であることが、米国・スタンフォード大学医学大学院のLipika Goyal氏らが実施した「FOENIX-CCA2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年1月19日号に掲載された。  FOENIX-CCA2は、日本を含む13ヵ国47施設が参加した非盲検単群第II相試験であり、2018年4月~2019年11月の期間に患者登録が行われた(Taiho OncologyとTaiho Pharmaceuticalの助成を受けた)。

複雑性虫垂炎の術後抗菌薬投与2日間vs.5日間/Lancet

 複雑性虫垂炎に対する術後抗菌薬静脈内投与は、90日以内の感染性合併症または死亡に関して、2日間投与が5日間投与に対して非劣性であることが示された。オランダ・エラスムス大学医療センターのElisabeth M. L. de Wijkerslooth氏らが、同国15施設で実施したプラグマティックな非盲検無作為化非劣性試験「APPIC(antibiotics following appendicectomy in complex appendicitis)試験」の結果を報告した。複雑性虫垂炎に対する術後抗菌薬の適切な投与期間は明らかになっていない。抗菌薬耐性の脅威が世界的に高まっていることから、抗菌薬の使用を制限する必要があり、それによって副作用、入院期間や費用も削減できるとされている。著者は、「今回の結果は、豊富な資源がある医療環境で実施される腹腔鏡下虫垂切除術に適用される。この戦略により、抗菌薬の副作用の減少や入院期間の短縮が期待できる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年1月17日号掲載の報告。

腸からのエネルギー吸収が良いと肥満になりやすい?

 腸内細菌叢の組成によって、食べた物からのエネルギー吸収率が異なることを示す研究結果が報告された。コペンハーゲン大学(デンマーク)のHenrik Roager氏らの研究によるもので、詳細は「Microbiome」に12月12日掲載された。  この研究では、過体重の成人85人を対象に、食物が腸を通過する時間と糞便中のエネルギー密度、および腸内細菌叢との関連が検討された。研究前の仮説は、食物の腸通過時間が長いほど糞便中のエネルギー密度は低下するというものだった。しかし結果は反対に、腸通過時間と糞便エネルギー密度には正の相関が認められた。一方で、腸内細菌叢の組成と、腸通過時間や糞便エネルギー密度との関連も明らかになった。具体的には、ルミノコッカスという細菌が優勢なR型と呼ばれる細菌叢の人に比べて、バクテロイデスという細菌が優勢なB型と呼ばれる細菌叢の人は、腸通過時間が短く、糞便エネルギー密度が低いことが分かった。つまり、B型の人は食べた物からより多くのエネルギーを吸収している可能性が浮かび上がった。

世界初「NASH治療用アプリ」の効果を臨床試験で確認/東大

 肥満を背景に発症する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、国内に200万人程度(予備軍は推定1,000万人以上)存在すると考えられているが、確立された治療法がなく、減量のための栄養指導や医師からの運動の励行など、個々の施設の取り組みにとどまっているのが現状である。そこで、東京大学医学部附属病院検査部の佐藤 雅哉氏らの研究グループは、疾患治療用プログラム医療機器の開発を手がけるCureAppと共同開発した「NASH治療用アプリ」を用いた第II相試験を実施し、その有用性が認められた。本研究結果は、American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2023年1月20日号に掲載された。

コロナ5類変更に賛成は何割?現在診ていない医師は診られるか

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染症法上の位置付けについて、季節性インフルエンザと同様の「5類」に引き下げることを政府が検討を始め、議論が活性化している。ウイルスの性質や医療機関の負担、医療費の公費負担など、さまざまな意見がある中で、医師はどのように考えているのだろうか? CareNet.comの会員医師のうち、内科系を中心として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の診療に携わることが想定される診療科の医師1,000人を対象に、アンケートを実施した(2023年1月11日実施)。  COVID-19患者あるいは発熱患者の診療状況について、「COVID-19患者の診療を行っている」が63.8%と最も多く、「COVID-19疑いの発熱患者の診療を行っている」が18.8%、「いずれも診療していない」が17.4%と続いた。また、「5類となり、COVID-19患者の受診・入院が一般医療機関でも可能となった場合、実際に診療が可能か」質問したところ、「現在診療している」が63.7%、「診療できる」が18.7%、「診療できない」が17.6%であった。