消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:87

大腸内視鏡検査陰性、次回は本当に10年後でいいのか?/BMJ

 大腸内視鏡スクリーニング検査で陰性だった受診者集団について、フォローアップ5年以内にあらゆる腫瘍が20%超で検出されたが、進行がん(advanced neoplasm)の検出は10年以内でもまれであることが明らかにされた。ドイツ・German Cancer Research Center(DKFZ)のThomas Heisser氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析の結果で、著者は「示された所見は、大腸内視鏡スクリーニング検査の陰性者について、次回受診は現在の推奨間隔で十分である可能性を示すものであった。さらなる検討を行い、適切な勧告とするため経験的基礎を強化し、受診間隔の延長についてもさらに調査する必要がある」と述べている。大腸内視鏡スクリーニングで大腸がんの前兆が認められない標準的リスクの受診者について、米国や欧州の主要なガイドラインでは、次回スクリーニングは10年後を推奨している。しかし、この受診間隔を支持するエビデンスは限定的で、勧告の大半が医療費支払いデータやがんレジストリを根拠としたものであり、勧告に基づくフォローアップスクリーニングのアウトカムデータはほとんどなかった。BMJ誌2019年11月13日号掲載の報告。

ポリフェノールは死亡率も下げるか~高山スタディ

 日本人はコーヒーや緑茶から多くポリフェノールを摂取している。ポリフェノール摂取による健康ベネフィットは疫学研究で示されているが、日本人における死亡率との関連は報告されていない。今回、お茶の水女子大学の田口 千恵氏らが高山コホート研究で調査したところ、食事によるポリフェノール総摂取量が全死亡率、心血管疾患および消化器疾患による死亡率と逆相関することが示された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2019年11月15日号に掲載。

「真の逆流によるPPI抵抗性胸焼け」には薬物より手術が有効(解説:上村直実氏)-1138

最近の日本では、ピロリ菌感染率の著明な低下や食事の欧米化による酸分泌の増加や高齢化に伴う下部食道括約筋圧の低下などによる胃食道逆流症(GERD)が増加して、国民の罹患率が10%以上に達している。GERDの主たる症状は胸焼けであり、治療の主役はプロトンポンプ阻害薬(PPI)など薬物による酸分泌抑制である。PPI抵抗性胸焼けとは、強力な胃酸分泌抑制薬であるPPIを投与しても改善しない胸焼け症状の総称である。PPI抵抗性の原因としては、不十分な胃酸分泌抑制、酸以外の逆流、逆流と症状の関連を認めない機能性胸焼け、食道運動障害、好酸球性食道炎、食道過敏、心理的要因、心疾患など食道以外の臓器に原因がある場合など非常に多彩である。

次世代CFTR矯正薬、嚢胞性線維症の呼吸機能を改善/Lancet

 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子遺伝子(CFTR)のF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症の治療において、tezacaftor+ivacaftorにelexacaftorを併用すると、tezacaftor+ivacaftorと比較して、良好な安全性プロファイルとともに、呼吸機能が著明に改善することが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのHarry G M Heijerman氏らが行ったVX17-445-103試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年10月31日号に掲載された。CFTR調節薬は、CFTR遺伝子変異に起因する根本的な異常を矯正するとされる。CFTRのF508del変異ホモ接合体を有する嚢胞性線維症患者では、CFTR矯正薬(tezacaftor)とCFTR増強薬(ivacaftor)の併用により、健康アウトカムの改善が達成されている。同型の嚢胞性線維症患者の第II相試験において、次世代CFTR矯正薬であるelexacaftorは、tezacaftor+ivacaftorと併用することで、F508del-CFTR機能と臨床アウトカムをさらに改善したと報告されていた。

潰瘍性大腸炎に対するベドリズマブとアダリムマブの臨床的寛解効果は?(解説:上村直実氏)-1135

潰瘍性大腸炎(UC)は国の特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在、国内に16万人以上の患者が存在している。UCの治療に関しては、最近、腸内フローラの調整を目的とした抗生物質や糞便移植の有用性が報告されつつあるが、通常の診療現場で多く使用されているのは薬物療法である。寛解導入および寛解維持を目的とした基本的な薬剤である5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、初発や再燃時など活動期に寛解導入を目的として用いるステロイド製剤、ステロイド抵抗性および依存性など難治性UCに使用する免疫調節薬(アザチオプリン、シクロスポリンAなど)と生物学的製剤が使用されているのが現状である。

ピロリ除菌と栄養サプリメントの胃がん抑制効果:世界最長の経過観察(解説:上村直実氏)-1137

H. pyloriは幼児期に感染し半永久的に胃粘膜に棲息する細菌であるが、胃粘膜における持続的な感染により慢性活動性胃炎を惹起し、胃がん発症の最大要因であることが明らかとなっている。さらに除菌により胃粘膜の炎症が改善するとともに、胃がんの抑制効果を示すことも世界的にコンセンサスが得られている。しかしながら、実際の臨床現場では除菌後に胃がんが発見されることも多く、除菌による詳細な胃がん抑制効果を検証する試みが継続している。今回、除菌治療のみでなくビタミン補給やニンニク摂取により、胃がん発症および胃がん死の抑制効果を示す介入試験の結果がBMJ誌に発表された。

2017年の世界のがん患者2,450万例、がん死960万例/JAMA Oncol

 世界におけるがん罹患、がん死の詳細な現状と格差をもたらす要因が明らかにされた。世界のがん疾病負荷(Global Burden of Disease Cancer:がんGBD)共同研究グループが、1990~2017年における29種のがんについて調べ、世界・地域・国別のがん罹患率や死亡率などを発表。がんGBDは国によって大きくばらつきがあり、背景にはリスク因子曝露、経済、生活習慣、治療アクセスやスクリーニングの差があることが示されたという。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月27日号掲載の報告。

ウステキヌマブ(ステラーラ)は潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法にも有効(解説:上村直実氏)-1134

潰瘍性大腸炎(UC)は国の特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、最近の全国調査によると16万人以上の患者が存在している。本疾患に対する薬物治療については、寛解導入および寛解維持を目的として5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されている。なかでも抗TNF-α抗体製剤と異なる作用機序を有する分子標的薬が次々と開発され、さまざまな検証試験が行われている。

がん悪液質のステージと診断基準「知っている」~医師の3割/日本癌治療学会

 がん悪液質は食欲不振・体重減少・筋肉減少・疲労などを主な症状とし、進行がん患者の50~80%に発症する重大な合併症であり、がん患者のQOL低下、全生存期間や治療効果にも影響する原因として問題視されている。しかしながら、がん悪液質は治療対象として十分に認識されていない可能性があり、医療従事者(医師・メディカルスタッフ)のがん悪液質に対する疾患理解度や、食欲不振・体重減少に対する問題意識の程度、がん患者自身が食欲不振や体重減少でどのくらい困っているのか、といった実態は明らかとなっていない。

「酸化コレステロール」を含んだ食品は食べないのが一番/日本動脈硬化学会

 メタボリックシンドロームにしばしば合併する脂肪肝だが、実は動脈硬化リスクも伴う。自覚症状に乏しいことから、一般メディアでは“隠れ脂肪肝”などと呼ばれ、患者から質問されることも珍しくない。しかし、脂肪肝だからと言って、ただ“脂モノ”を控えるという対処は正しくないという。  先日、日本動脈硬化学会(理事長:山下 静也)が開催したセミナーにて、動脈硬化と関連の深い「脂肪肝/脂肪肝炎」と「酸化コレステロール」について、2人の専門医が解説した。