感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:150

COVID-19関連肺炎へのアクテムラ、第III相試験で主要評価項目達成/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は9月18日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体アクテムラ(一般名:トシリズマブ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連肺炎における有効性を評価する第III相EMPACTA試験で主要評価項目を達成したことを発表した。  EMPACTA試験は、新型コロナウイス(SARS-CoV-2)感染が確認され、SpO2<94%で、非侵襲的または侵襲的な機械的換気を必要としない、18歳以上の入院患者が対象。米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーから389例が登録された。

バリシチニブ、レムデシビルと併用でCOVID-19回復期間を有意に短縮/米・リリー

 米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは9月14日、同社の成人関節リウマチ治療薬バリシチニブとレムデシビル(ギリアド・サイエンシズ、商品名:ベクルリー点滴静注液)の併用により、COVID-19の入院患者の回復期間が、レムデシビル単独と比べ中央値で約1日短縮されたと発表した。これは、米国・国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の主導で5月8日から始まったCOVID-19に対するアダプティブデザイン試験(ACTT-2試験)から得られた最初のデータとなる。  ACTT-2試験は、COVID-19の入院患者1,000例超を組み入れ、バリシチニブ4mg 1日1回とレムデシビルの併用療法の有効性および安全性をレムデシビル単独療法と比較評価するもので、主要評価項目は回復までの期間短縮。本試験では、投与開始から29日時点で退院するのに十分な健康状態である(入院中でも酸素投与や継続した治療が不要、もしくは29日時点で退院している)ことを回復の定義とした。

唾液を用いたCOVID-19の検査の注意点/4学会合同ワーキンググループ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査では、鼻咽頭などからのぬぐい液からのPCR検査、抗原検査が行われているが、検体採取者に感染のリスクを伴うこと、個人防護具やスワブを消費することなど、感染対策においてのデメリットが指摘されてきた。  本年6月に唾液検体を保険適用とする厚生労働省の通知がなされ、また、7月にはPCR検査および抗原定量検査について、唾液検体を用いた検査の対象を無症状者(空港検疫の対象者、濃厚接触者など)にも拡大する方針を示したことにより唾液による検査の増加は今後、増えるものと予想されている。

米国Novavax社の新型コロナワクチン、第I相試験で安全性確認/NEJM

 開発中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のワクチン「NVX-CoV2373」は、接種後35日の時点で安全と考えられ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の回復期血清中のレベルを上回る免疫応答を誘導することが、米国・NovavaxのCheryl Keech氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年9月2日号に掲載された。NVX-CoV2373は、三量体完全長(すなわち膜貫通ドメインを含む)のスパイク糖蛋白から成る遺伝子組み換えSARS-CoV-2(rSARS-CoV-2)ナノ粒子ワクチンと、Matrix-M1アジュバントを含有する。動物モデルでは、SARS-CoV-2に対する防御効果が確認されている。なお、Novavaxは本ワクチンの日本国内での開発、製造、流通について、武田薬品と提携している。

本邦におけるレムデシビルの投与基準は妥当か?(解説:山口佳寿博氏)-1285

レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液)はエボラウイルス病(旧エボラ出血熱)の原因病原体(マイナス1本鎖RNAウイルス)に対する治療薬として開発が進められてきた。レムデシビルは核酸類似体でRNA依存RNA合成酵素を阻害する。この薬物が、プラス1本鎖RNAウイルスである新型コロナにも効果が期待できる可能性があり、世界レベルで治験が施行されてきた。とくに、米国における期待度は高く、米国の新型コロナ感染症の第1例目にレムデシビルが投与され劇的な改善が得られたと報告された。それ以降、米国では科学的根拠が曖昧なまま“人道的(compassionate)”投与が繰り返された(Grein J, et al.N Engl J Med. 2020;382:2327-2336.)。しかしながら、中国・武漢で施行されたdouble-blind, randomized, placebo-controlled trial(症状発現より12日以内の中等症以上の患者、237例)では、薬物投与群(レムデシビル10日投与)と対照群の間で有意差を認めた臨床指標は存在しなかった(Wang Y, et al. Lancet. 2020;395:1569-1578.)。本稿で述べる重症度分類は本邦厚労省の『新型コロナウイルス感染症診療の手引き』に準ずる。米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のスポンサーシップの下で施行されたdouble-blind, randomized, placebo-controlled trial(本邦を含む世界9ヵ国が参加、中等症以上の患者、1,059例)の中途解析(731例)では、臨床症状/所見の回復が薬物投与群(レムデシビル10日投与)で対照群より4日短縮されることが示された(Beigel JH, et al. N Engl J Med. 2020 May 22. [Epub ahead of print])。この結果を受け、米国FDAは5月1日にレムデシビルの重症例に対する緊急使用を承認した。本邦の厚労省も5月7日に呼吸不全を合併する中等症患者、機械呼吸/ECMOを必要とする重症患者(小児を含む)に対してレムデシビルの特例使用を許可した。投与期間に関しては、機械呼吸/ECMO導入例では最大10日間、それ以外の場合には5日間と規定された。

ICUでの重症COVID-19、ヒドロコルチゾンは有効か/JAMA

 集中治療室(ICU)での重症COVID-19患者の治療において、ヒドロコルチゾンの使用は、これを使用しない場合に比べ、呼吸器系および循環器系の臓器補助を要さない日数を増加させる可能性が高いものの、統計学的な優越性の基準は満たさなかったとの研究結果が、米国・ピッツバーグ大学のDerek C. Angus氏らの検討「REMAP-CAP試験」によって示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2020年9月2日号に掲載された。コルチコステロイドは、実臨床でCOVID-19患者にさまざまな方法で投与されており、観察研究では有益性と有害性の双方が報告されている。この不確実性を軽減するために、いくつかの研究グループが無作為化臨床試験を開始しているという。

COVID-19重症化への分かれ道、カギを握るのは「血管」

 COVID-19を巡っては、さまざまなエビデンスが日々蓄積されつつある。国内外における論文発表も膨大な数に上るが、時の検証を待つ猶予はなく、「現段階では」と前置きしつつ、その時点における最善策をトライアンドエラーで推し進めていくしかない。日本高血圧学会が8月29日に開催したwebシンポジウム「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」では、高血圧治療に取り組むパネリストらが最新知見を踏まえた“new normal”の治療の在り方について活発な議論を交わした。

ARDSを伴うCOVID-19、デキサメタゾンが有効な可能性/JAMA

 中等症~重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)を伴う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者の治療において、標準治療にデキサメタゾンを併用すると、標準治療単独と比較して、治療開始から28日までの人工呼吸器非装着日数(患者が生存し、かつ機械的換気が不要であった日数)が増加することが、ブラジル・Hospital Sirio-LibanesのBruno M. Tomazini氏らCOALITION COVID-19 Brazil III Investigatorsが実施した「CoDEX試験」で示された。研究の成果はJAMA誌オンライン版2020年9月2日号に掲載された。COVID-19に起因するARDSは、実質的に死亡率や医療資源の使用を増大させることが知られている。デキサメタゾンは、ARDSを伴うCOVID-19患者の肺障害を軽減する可能性が示唆されている。

ロシアの新型コロナワクチン、第I/II相試験で抗体陽転率100%/Lancet

 ロシアのGamaleya National Research Centre for Epidemiology and Microbiologyで開発されている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの第I/II相試験の結果が、Lancet誌オンライン版2020年9月4日号に掲載された。本ワクチンは、組換えアデノウイルス血清型26(rAd26)ベクターおよび組換えアデノウイルス血清型5(rAd5)ベクターに、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の遺伝子をそれぞれ組み込んだ2つの成分(rAd26-SおよびrAd5-S)から成り、凍結および凍結乾燥の2つの製剤が開発されている。著者のDenis Y. Logunov氏らは、本試験の結果から、2製剤とも安全性が高く、強い液性および細胞性免疫反応が誘導されたと結論している。

新型コロナ感染後の抗体、4ヵ月は持続/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染から回復した人は、感染が診断されてから4ヵ月後までは血清中の抗ウイルス抗体が低下しないことが、アイスランド・deCODE GeneticsのDaniel F. Gudbjartsson氏らが行ったアイスランドの住民約3万人を対象とした調査の結果、明らかとなった。また、アイスランドでは、SARS-CoV-2感染による推定死亡リスクは0.3%で、SARS-CoV-2感染患者の44%は定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)による診断を受けていなかったことも示された。NEJM誌オンライン版2020年9月1日号掲載の報告。  研究グループは、SARS-CoV-2感染に対する液性免疫応答の特性および持続性を明らかにする目的で、アイスランドにおける3万576例の血清中のSARS-CoV-2特異的抗体を、次の6種類の方法で検査した。