感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:151

入院中の成人アトピー性皮膚炎患者、全身性感染症リスク増大

 成人アトピー性皮膚炎(AD)と全身性感染症との関連について、デンマーク・コペンハーゲン大学のCatherine Droitcourt氏らが全国規模のコホート研究を行った結果、入院治療中のAD患者において全身性感染症のリスクが増大していることが明らかになった。ADと全身性感染症との関連は指摘されていたが、これまでに行われた大規模研究はわずかで、関連性は明確にはなっていなかった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年8月1日号掲載の報告。

COVID-19治療薬レムデシビルの添付文書改訂

 8月31日、ギリアド・サイエンシズ社は同社が製造販売するレムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液/点滴静注用)の添付文書の一部記載を自主改訂した。改訂箇所は「重要な基本的注意」「相互作用」「副作用」の3つ。  改訂の詳細は以下のとおり。 ●重要な基本的注意  これまでの「Infusion Reaction」にかかる注意喚起を、「Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む過敏症」へ変更し、後段にこれらの発現を回避できる可能性のある方法として、本剤の緩徐な投与を考慮することについて注意喚起を追加した。

SARS-CoV-2変異株、重症度が変化/Lancet

 遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)8領域に382ヌクレオチド欠損(Δ382)を認める新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異体の感染者は、症状が軽症であることが明らかにされた。シンガポール・国立感染症センターのBarnaby E. Young氏らによる観察コホート試験の結果で、著者は「観察されたORF8における欠損の臨床的影響は、治療やワクチン開発に影響を与えるものと思われる」と述べている。ORF8領域にΔ382を有するSARS-CoV-2遺伝子変異体は、シンガポールおよびその他の国でも検出されていた。Lancet誌オンライン版2020年8月18日号掲載の報告。

妊婦の定期健診とSARS-CoV-2感染リスクの相関は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時に懸念されたことの1つに、患者の受診自粛がある。しかし、医療機関を訪れることが感染リスクにどう影響するかについては、十分に明らかになっていない。本研究は、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon C. Reale氏らの研究チームが、コロナパンデミックの中にあっても定期的な診察が必要だった妊婦を対象に、受診回数がSARS-CoV-2感染のリスクと関連しているかどうかを検証した。JAMA誌オンライン版2020年8月14日号リサーチレターでの報告。  本研究の対象は、2020年4月19日~6月27日(産科患者全員が入院時にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を実施した期間)にマサチューセッツ州ボストンの4つの医療機関で出産した2,968例。

COVID-19、第1波・第2波の特徴と転帰を比較/JAMA

 COVID-19感染流行において、初期と2度目の流行では、患者の属性や臨床的症状、転帰に違いはあるのか。Center for Outcomes Research(米国・ヒューストン)のFarhaan S. Vahidy氏らによる分析が、JAMA誌オンライン版2020年8月13日号のリサーチレターで報告されている。  著者らは、テキサス州ヒューストンの8病院が使うヘルスケアシステム・Houston Methodistの電子カルテから、PCR検査で陽性となったCOVID-19重症患者を抽出したうえで、年齢、性別、人種/民族、併存症、投薬、ICU入院、死亡率を分析した。第1波は2020年3月13日~5月15日、第2波は5月16日~7月7日までとした。2020年7月7日時点におけるCOVID-19の入院患者のユニーク数は2,904例、第1波が774例、第1波が2,130例だった。

COVID-19対策のうがいは是か非か

 8月上旬、大阪府知事の吉村 洋文氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にうがい薬ポビドンヨード液を推奨する緊急記者会見を開いた。この会見の報道を受け、うがいは新型コロナ感染症対策として優先順位は低いなどと発言する一部の専門家もいたが、やはり口腔ケアは感染症対策として重要なのではないだろうかー。2020年8月5日に開催された第2回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナーで、阪井 丘芳氏(大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療学教室教授)が「COVID-19と唾液腺~重症化予防のための新たな口腔ケア」について講演し、口腔の衛生管理の重要性について語った。

浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM

 下肢の慢性浮腫による蜂窩織炎がみられる患者の予防治療において、圧迫療法は保存的治療に比べ、蜂窩織炎の再発率が低く、蜂窩織炎による入院も抑制される傾向がみられることが、オーストラリア・Calvary Public Hospital BruceのElizabeth Webb氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年8月13日号に掲載された。下肢慢性浮腫は、蜂窩織炎のリスク因子とされる。蜂窩織炎の再発予防には、下肢の着圧衣類(弾性ストッキングなど)の日常的な使用が推奨されているが、その効果に関する臨床試験のエビデンスは乏しいという。  研究グループは、下肢の蜂窩織炎の予防における圧迫療法の有用性を評価する目的で、単一施設での非盲検無作為化試験を実施した(Calvary Public Hospital Bruceの助成による)。

新型コロナ、前立腺がん患者でアンドロゲン除去療法が感染を抑制か

 イタリアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により最も影響を受けた州の1つであるヴェネト州における集団ベースの研究で、アンドロゲン除去療法(ADT)を受けている前立腺がん患者ではSARS-CoV-2感染が抑制された可能性が示唆された。イタリア・パドヴァ大学のM. Montopoli氏らが報告した。Annals of Oncology誌2020年8月号に掲載。  SARS-CoV-2は、ウイルスのスパイク(S)蛋白であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2への結合とTMPRSS2によるS蛋白のプライミングにより細胞に侵入する。そのため、TMPRSS2を阻害すれば、SARS-CoV-2感染を阻害または軽減する可能性がある。

HIV患者の多剤耐性結核、ART実施で死亡リスク大幅減/Lancet

 抗レトロウイルス治療(ART)とより効果的な抗結核薬の使用が、HIV陽性の多剤耐性結核患者の死亡率の低下と関連していることが、米国・ペンシルベニア大学のGregory P. Bisson氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。HIV感染症が多剤耐性結核治療中の死亡リスクを増大することは知られているが、これまでARTや抗結核薬の使用が同リスクに影響するのかは不明だった。結果を踏まえて著者は、「これらの治療へのアクセスを強く求めるべきだろう」と述べている。Lancet誌2020年8月8日号掲載の報告。

マスク・手袋などのPPEによる皮膚疾患をどう防ぐか

 COVID-19感染流行の長期化に伴い、フェイスマスク・手袋をはじめとした個人用防護服(PPE)の長期着用を要因とした医療者の皮膚疾患が報告されている。こうした皮膚疾患への対応と予防策について、Seemal R. Desai氏らがJournal of the American Academy of Dermatology誌のリサーチレターで提言している。  サージカルマスク・N95マスク・ゴーグル・フェイスシールドなどのPPEは、マスク表面やストラップの摩擦によって耳の後ろや鼻梁、あるいは顔全体に接触皮膚炎を引き起こす、という報告がある。