感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:201

2020までに万全な髄膜炎菌感染症対策を

 2018年4月18日、サノフィ株式会社は、4月25日の「世界髄膜炎デー」に先立って、髄膜炎菌感染症診療に関するメディアセミナーを都内で開催した。本セミナーでは、「日本に潜む10代の髄膜炎菌感染症 アウトブレイクのリスク~海外・国内の感染事例と関連学会による対策変更~」をテーマに、髄膜炎菌感染症のオーストラリアでの疫学的状況と公衆衛生当局による対応、日本の置かれた現状と今後求められる備えなどが語られた。

マラリア感染、殺虫剤抵抗性媒介蚊脅威に2つの対策/Lancet

 マラリア対策は、広範囲にわたる殺虫剤抵抗性マラリア媒介蚊の存在によって、進展が脅威にさらされている。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のNatacha Protopopoff氏らは、近年開発された2つのマラリア媒介蚊の対策製品である、共力剤ピペロニルブトキシド(PBO)含有長期残効性殺虫剤ネットと、殺虫剤ピリミホス-メチルの長時間屋内残留タイプの噴霧製品を評価する検討を行った。いずれも、標準的な長期残効性殺虫剤ネットと比べて、ピレスロイド系薬抵抗性媒介蚊によるマラリアが流行している地域で、マラリア伝播コントロールの改善が示されたという。Lancet誌オンライン版2018年4月11日号掲載の報告。

ジカウイルス、症候性男性精液の3割から検出/NEJM

 蚊媒介性のジカウイルス(ZIKV)は、症候性の男性約3割の精液中に、また約4%の尿中に存在していたことが明らかにされた。6ヵ月以上残存する男性もいたという。一方で、感染性ZIKVが検出されたのはごくわずかで、そのすべてが発症後30日以内に検体が採取された男性だった。米国疾病管理予防センター(CDC)のPaul S. Mead氏らが、185例の男性患者を対象に行った前向き試験の結果で、NEJM誌2018年4月12日号で発表した。ZIKVは蚊媒介性の新出現フラビウイルスで、有害な出生アウトカムとの関連が報告されている。

ニューキノロンの使用は、動脈瘤や動脈解離のリスクを高める(解説:佐田政隆氏)-839

スウェーデンでは、nationwideの国民の医療に関するビッグデータが登録されており、薬の副作用など各種のコホート研究を行うことができる。本研究では、2006年7月から2013年12月に、ニューキノロンを服用した36万88人と、傾向スコアでマッチングしたアモキシシリンを服用した36万88人で、服用60日以内の大動脈瘤、大動脈解離の発症を比較検討した。結果として、ニューキノロン群がアモキシシリン群に比較して、大動脈瘤、大動脈解離の発症が、ハザード比1.66と多かったという。

ジェネリック希少の医薬品、米国で価格高騰/BMJ

 米国において特許期限切れだがジェネリック承認薬がない処方薬のうち、半数超は米国外で少なくとも1社が承認を受けており、半数弱は4社以上が承認製造していた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRavi Gupta氏らが、1939~2017年に米国食品医薬品局(FDA)で承認を受け、その後特許期限が切れた薬剤などを対象に行った観察試験で明らかにしたもので、BMJ誌2018年3月19日号で発表した。米国では、特許期限の切れた処方薬の一部が、競合会社が少ないために急激に価格が高騰し、入手が困難になるといった問題が生じている。今回の結果を受けて著者は、「それらの処方薬について、米国外からの輸入販売規制などを緩和化することで、適正な市場競争が促され、価格低下や患者への安定的な供給につながるだろう」とまとめている。

日本人若年者のピロリ除菌療法、第1選択は?

 若年者のHelicobacter pylori(以下、ピロリ菌)感染に対する除菌治療は、胃がん予防に有効である。今回、JAPAN GAST Study Groupが、プロトンポンプ阻害薬ベースのトリプル療法(PACおよびPAM)について若年者での有効性を多施設無作為化比較試験で検討したところ、PAMによる除菌率がPACより有意に高いことが示された。研究グループは「抗菌薬感受性試験が実施できない場合、PAMが若年者のピロリ菌除菌の第1選択となりうる」としている。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2018年3月28日号に掲載。

米国で死亡率が増えている感染症は?/JAMA

 1980~2014年の米国における感染症死亡の動向を調べた結果、ほとんどの感染症疾患で死亡は減少していたが、郡(county)レベルでみるとかなりの格差があった。さらに同期間中に下痢症の死亡は増大していたという。米国・ワシントン大学のCharbel El Bcheraoui氏らによる調査報告で、JAMA誌2018年3月27日号で発表された。感染症はほとんどが予防可能だが、米国ではいまだに公衆衛生上の脅威とみなされている。そうした中でこれまで、郡レベルの感染症死亡の推定値は把握されていなかった。

市中肺炎の高齢者、再入院しやすい患者は?

 市中肺炎(CAP)で入院した患者では、複数の併存疾患を有する高齢者において再入院が多く、臨床的および経済的負担が生じる。スペインのProject FIS PI12/02079 Working Groupが横断研究を行ったところ、65歳以上のCAP患者の11.39%が退院後30日以内に再入院し、その関連因子として「15歳未満の同居者あり」「発症前90日に病院受診が3回以上」「慢性呼吸不全」「心不全」「慢性肝疾患」「退院先が在宅医療サービスのある自宅」が挙げられた。BMJ open誌2018年3月30日号に掲載。

全国の抗菌薬の使用状況が一目瞭然

 薬剤耐性(AMR)対策のために国立国際医療研究センターに設置された「AMR臨床リファレンスセンター」(センター長:大曲 貴夫氏)は、国内初の取り組みとして「国内都道府県別抗菌薬使用量(販売量)統計データ」の公開ならびに「薬剤耐性(AMR)ワンヘルス動向調査」のWEBサイト開設を4月3日に発表した。これら抗菌薬使用量や薬剤耐性菌のサーベイランス(調査・監視システム)は、今後のAMR対策の重要な基礎データとなる。