感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:202

敗血症の早期蘇生プロトコル戦略、開発途上国では?/JAMA

 医療資源が限られる開発途上国において、大半がHIV陽性で敗血症と低血圧症を有する成人患者への、輸液および昇圧薬投与による早期蘇生プロトコル戦略では、標準治療と比較して院内死亡が増大したことが示された。米国・ヴァンダービルト大学のBen Andrews氏らがザンビア共和国で行った無作為化試験の結果で、著者は「さらなる試験を行い、異なる低中所得国の臨床設定および患者集団における、敗血症の患者への静脈内輸液と昇圧薬投与の影響を明らかにする必要がある」とまとめている。開発途上国における敗血症への早期蘇生プロトコルの効果は、これまで明らかにされていなかった。JAMA誌オンライン版2017年10月3日号掲載の報告。

迅速分子検査法、超多剤耐性結核菌を検出可能か/NEJM

 試薬カートリッジを用いて喀痰検体から直接、薬剤耐性結核菌の同定が可能な自動分子検査法について、研究開発中の試薬カートリッジを臨床評価した結果、イソニアジド、フルオロキノロン系薬、アミノグリコシド系薬への耐性と関連する結核菌の変異を、正確に検出可能であることが確認された。米国・国立アレルギー・感染症研究所のYingda L. Xie氏らが、NEJM誌2017年9月14日号で報告した。同検査法については、試薬カートリッジXpert MTB/RIFと解析器GeneXpertを用いたシステムが、2時間で結核菌群およびリファンピシン耐性遺伝子を検出可能であり、世界中の結核プログラムで使用されている。一方、フルオロキノロン系薬と注射二次薬は、多剤耐性結核の治療の柱であるが、これらに耐性を示す場合は超多剤耐性結核と定義される。開発中の試薬カートリッジは、そうした患者の迅速な検出や、リファンピシン耐性患者の適切な抗菌薬選択に有用なものと期待されていた。

米国で経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが非推奨へ変更された理由(解説:小金丸博氏)-739

米国では2003年より、経鼻タイプの弱毒生インフルエンザワクチンが導入された。経鼻弱毒生ワクチンは一般的な不活化ワクチンと比べて予防効果が高いとされ、とくに小児領域で高い評価を受けてきた。日本でも2016年に承認申請が出され、国内での流通開始が待ち望まれていたワクチンだったが、米国予防接種諮問委員会(ACIP)は一転「2016-17年シーズンの弱毒生インフルエンザワクチンの接種を推奨しない」と勧告した。本論文を読むことで、経鼻弱毒生ワクチンが非推奨へ変わった理由を知ることができる。

HIV-1の初回治療レジメン、bictegravir vs.ドルテグラビル/Lancet

 未治療のHIV感染成人患者において、新規インテグラーゼ阻害薬(INSTI)のbictegravirとヌクレオチド逆転写酵素阻害薬(NRTI)エムトリシタビン(FTC)/テノホビル・アラフェナミド(TAF)の配合薬による48週時のHIV抑制効果は、ドルテグラビル+FTC/TAFに対して非劣性であることが確認された。どちらのレジメンも治療下で治験薬に対する耐性は確認されず、bictegravirレジメンはドルテグラビルレジメンより忍容性が良好であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul E. Sax氏らが、第III相多施設共同無作為化二重盲検非劣性比較試験(GS-US-380-1490)の結果を報告した。INSTIとNRTI 2剤の併用投与は、HIVの初回治療として推奨されているが、アドヒアランス向上のためには固定用量の配合薬が好まれている。Lancet誌オンライン版2017年8月31日号掲載の報告。

HIV-1感染患者への初回治療、bictegravirレジメンが有用/Lancet

 未治療HIV-1感染患者に対する、新規の強力なインテグラーゼ阻害薬(INSTI)bictegravirを含むエムトリシタビンとテノホビル・アラフェナミドとの配合薬(B/F/TAF)の、48週後のウイルス学的著効率は92%で、ドルテグラビルとアバカビルおよびラミブジンの配合薬(DTG/ABC/3TC、商品名:トリーメク配合錠)に対する非劣性、および安全性、消化管系の忍容性が良好であることが示された。米国・Southwest CARE CenterのJoel Gallant氏らが、631例を対象に行った実薬対照無作為化非劣性試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年8月31日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「B/F/TAF投与は、事前のHLA-B*5701検査が不要で、HIVとB型肝炎の複合感染患者に対するガイドラインの推奨治療である。臨床における迅速または初回治療に向いたレジメンと思われる」とまとめている。

陰茎移植で自然な生理機能は回復するか/Lancet

 南アフリカ共和国の若い男性では、儀式として行われる包皮切除からの壊疽が、陰茎損失の主な原因になっているという。この文化的行為は社会に深く根ざしており、やめさせることは容易ではない。同国ステレンボッシュ大学のAndre van der Merwe氏らは、従来の遊離皮弁を用いた陰茎整形術は、社会経済的に課題がある集団には好ましくないが、陰茎を損失した若い男性の精神社会学的影響は甚大であり、同一臓器に置き換えることが最大の便益をもたらす可能性があるとして、同種陰茎移植を実施。24ヵ月間のフォローアップの結果を報告した。Lancet誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。

非喘息性急性下気道感染症に経口ステロイドは無効/JAMA

 非喘息性急性下気道感染症の成人患者において、経口ステロイド薬は症状の持続期間や重症度を改善せず、使用すべきではないと、英国・ブリストル大学のAlastair D. Hay氏らが、プラセボ対照無作為化比較試験Oral Steroids for Acute Cough(OSAC)試験の結果、報告した。急性下気道感染症は最も一般的な疾患の1つだが、プライマリケアではしばしば抗菌薬による不適切な治療が行われている。その中で、経口ステロイド薬の使用も増加しているが、非喘息性急性下気道感染症に対する有効性については十分なエビデンスがない。JAMA誌2017年8月22・29日号掲載の報告。

世界のリウマチ性心疾患死、25年で半減/NEJM

 1990~2015年の25年間で、世界のリウマチ性心疾患・年齢標準化死亡率は、約48%も減少したことが明らかになった。一方で、同死亡率には地域により大きな差が認められ、オセアニアや南アジア、サハラ以南の中央アフリカは高率だった。リウマチ性心疾患は、とくに低・中所得国では依然として心血管系の障害・死亡の、重要かつ予防可能な原因とされている。米国・ワシントン大学のDavid A.Watkins氏らは、2015年世界疾病負担(GBD)研究の一環として、世界、各地域、各国のリウマチ性心疾患有病率や死亡率を推定、分析し、NEJM誌2017年8月24日号で発表した。

米、インフルエンザ弱毒生ワクチン非推奨の理由/NEJM

 2016-17年の米国インフルエンザシーズンでは、予防接種に弱毒生インフルエンザワクチンを使用しないよう米国予防接種諮問委員会(ACIP)が中間勧告を出したが、そこに至る経緯を報告したGroup Health Research Institute(現カイザーパーマネンテ・ワシントン・ヘルスリサーチ研究所)のMichael L. Jackson氏らによる論文が、NEJM誌2017年8月10日号で発表された。これは、Jackson氏らInfluenza Vaccine Effectiveness Network(Flu VE Network)が、2013-14年流行期に、4価弱毒化ワクチンが小児におけるA(H1N1)pdm09ウイルスに対して効果不十分であったと明らかにしたことに端を発する。